毎年夏はSFを読むと決めているんだが、去年買っておいて読み始められなかったこの一冊に今年は取組んでいる。
ソラリス(ハヤカワ文庫SF)
スタニスワフ・レム(著)沼野充義(訳)
文庫にしては結構分厚い方(イザベラ・バード程ではないww)で、現在、半分弱くらいまで読み進めたところだが、意外と読みやすくて面白い。映画は以前観た記憶があり、文章にするともっと哲学的で難解かと思っていたが、今のところなんとかついて行ける(笑)状況である。
読了したら映画の方もDVDか何か借りて再視聴してみるのも良いかな、なんて考えも首をもたげ始めていたりする。
百閒先生がらみなら何でも読んでおこう精神で買ってしまうのもいかがなものかとは思うが、これはヒマラヤ山系氏に並び、もう一人の百閒を見守った人物の手記。内山保氏は法政大学で独逸語を専攻した事から内田百閒の自宅で書生として暮らした人で、先生のお使いに走ったり、奥さまとの間の連絡係として動くなどしていた。大学では厳しい講師であった百閒も家では優しい一面があったり、色々と興味深い話が展開して面白い。巻末には百閒の文章が何篇か収められている。

中央線に纏わる文庫を2冊読了。「中央線随筆傑作選」「中央線小説傑作選」だ。それぞれ著名作家の中央線に絡む作品を集めたものだが、随筆の方は短編が多数収まっており、就寝前に少しずつ読むには一話が適量で面白かった。印象に残ったのは、中央線の車窓から沿線の民家にライオンがいるのを目撃した、という記述を複数の作家がエピソードとして書いている事。実際に飼っている家があったようだ。他に、電車から高架脇に見下ろせる阿佐谷のプール(その後2016年に廃止)の事も出て来て懐かしい思いがした。一方で小説集の方は、中身は勿論作品として面白いのだが中央線との関係が希薄で、ちょっと無理やり集めた感が否めない気もする。

へるん先生とはハーン先生のこと、つまりラフカディオ・ハーン(小泉八雲)である。執筆者が元鉄道ジャーナル社の芦原伸氏との事で、面白い汽車旅の記述が読めると思って購入した。が、見事に裏切られた。

平山三郎氏の著作。阿房列車愛読者にはお馴染みですよね、かの百閒先生の無用な旅のお供、良き相棒を務めたヒマラヤ山系氏。氏は先生の書籍校正者としての側面も持っています。本書は、ちょっと本人の記述と百閒の著作からの引用部分が入り混じって読みづらい部分はあるのだけれど、安房列車を読んでいれば大体分別はつきます。曖昧模糊とした山系氏の「はぁ」の返答、それがその時々において何を意味するところだったのか、とか、色々と裏事情が判明して面白いです。
