Rail & Bikes editorial postscript  ~ 鉄路と自転車な日々@東京西郊 ~

夢より短い旅の果て

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乗換の待ち合わせ時間にたまたま入った駅ナカの書店で発見。この表紙は紛れもなく飯田線という事で期待して購入した一冊だ。

Img_1791.jpg主人公の女子大生が、入会した「鉄道同好会」の Webサイトで公開する記事を書くため、各地の鉄道路線を乗り歩く取材旅をするという今風なストーリー。鉄道ミステリーと言えば西村京太郎氏が有名で昔よく読んだが、これは「鉄道ミステリ」となっている。

だが旅程で出て来るミステリー要素は実はさほど強くなく、むしろ各路線の歴史や車窓紹介などの方が小説の主軸となっている。その話題の濃さから(下山ダッシュなんかも出て来る)、作者もきっと鉄研か何かに所属していた私と同年代位のオッサンだろうと想像しながら読んでいた。

主人公の旅はこどもの国線で始まり、急行能登、浅野川線、氷見線、日光線、そして飯田線や沖縄のゆいレールまで遠征もして、最後は常磐線で終わる。著者がこの小説の取材で常磐線に乗ったのは2010年との事で、震災発生前。初版の発行は2012年春で、それについてはあとがきでも触れられている。小説本体はミステリーによくある劇的などんでん返しで終わるわけではないが、この「あとがき」までちゃんと読むと、ちょっとした衝撃を受ける事になるだろう。

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