既に季節外れだが夏の読書そのⅡ、佐藤泰志の短編小説集「海炭市叙景」を9月に読了。毎回、夏の旅にはその行先に纏わる内容の本を購入して持参する習わしになっているので、今回の函館行き用に誂えた本であった。結局、旅の方は中止してしまったので家で読んだ次第。
夏の読書Ⅱ
作者の佐藤泰志は函館出身で、この小説の舞台となる海炭市は勿論そこを模して描いている。従って登場するのはロープウェイ、フェリー、海岸通り、連絡船桟橋、路面電車、競馬場、空港など、どれも函館を想起させるものばかりだ。旅先で読んでいたらさらに没入出来たと思う。
佐藤は41歳で自死しているが、それまで芥川賞に5回程ノミネートされたものの受賞には至っていない。海炭市叙景も、冬と春の章で終わっているが、その後、夏と秋も書き進める構想だったそうだ。氏の短篇小説を原作として2022年に映画「夜、鳥たちが啼く」が公開されており、私はネット配信で観た事があった。
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