山梨交通鉄道線 YAMANASHI TRAMWAY | [5] | ||||||||
□今諏訪付近 開国橋を渡ると線路は一旦堤防を下り、向こうの段丘上にある次の駅「今諏訪」へと水田の中の築堤を登って行く。冒頭で触れた「山梨交通鉄道線回想録」に、この開国橋を渡りきった所で撮られた一枚の写真がある。鉄橋を越えた電車が、ちょうど青柳へと向けて走り去って行く場面だ。
そんな長閑な風景が展開した場所、そしてこの地点の現在の姿は...、想像を絶する変貌ぶりを見せている(写真上)。実はこれだけの変化を与える要因となったものがあるのだが、それについてはこの後もう少し走った地点で触れたい。今はその頃の道路は左へ分岐する形になり、逆に電車道の方が本道となっているが、右へゆるくカーブして坂を上って行くさまは当時の軌道を髣髴とさせるものがある(幅は全然違うが)。
山交線の再急勾配40‰を登りきって到着するのが、崖上の今諏訪。日中の閑散時は唯一、列車交換が行なわれる駅だった。現在は勾配を緩和した四車線の道路に掘り下げられてしまった為、駅と同一面にあった神社の木立ちが切り通しの上から見下ろしている。坂の途中にある「上今諏訪」というバス停が今諏訪駅のあった所だそうだ(写真15.)。 そこから青柳方へ駅を出外れたあたりは、当時から若干の切り通しとなっていた。「鉄道廃線跡を歩く3」で"電車が走って来そうなムードが残る..."と表現されていた区間だが、今や高速道路かと見紛う程の立派な車線が横たわる。ここは少々期待して来たのだが、現実の風景は残酷で、これでは電車の姿を想像するべくも無い(写真16.)。 |