奥多摩工業を巡る鉄道たち

2007/10

奥多摩の山中より採掘した石灰石を近代日本の工業・産業界に供給して来た奥多摩工業ですが、その前身が実は奥多摩電気鉄道という鉄道会社であったという事実は以前より何度か触れてきました。 それは同社の Webサイトにある沿革のページにも記載されていますが、そもそもこの企業は青梅電鉄の御嶽駅と氷川(現奥多摩)駅を結ぶ区間の鉄道路線を敷設した上で、さらにその奥地の日原にある鉱山から石灰石を採掘し、東京湾岸部の京浜工業地帯へと運ぶ目的で設立されたものなのです。

ところが、この線区の開業と同時に奥多摩電鉄は青梅電鉄もろとも国鉄へ買収されてしまった為、残念ながら私鉄線として日の目を見る事はなかったわけです。 その後、社名を奥多摩工業へと変更して本来のミッションである採掘事業に精を出しますが、氷川駅に集められた鉱石は青梅線上を行く石灰石貨物列車で運ばれ、長らく沿線の風物詩となっていました。 しかしそれも 1998年に廃止されてしまい、以後表向きには鉄道と縁の切れた存在となって現在に至っています。

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でも忘れてはいけません、奥多摩工業は休止線であるものの現在も鉄道路線を保有しています。 そう、東京都が小河内ダム建設のために敷設し、一時期は西武鉄道の手に渡った事もある水根貨物線ですね。 また、それ以外に現役の鉄道も運行させている事に気づく人も多いのではないでしょうか。 奥多摩駅に隣接する奥多摩工業氷川工場と日原の氷川鉱山を結ぶ曳索鉄道がそれです。 大部分がトンネル内ですが、日原街道の何箇所かで沢を渡るその姿を目にする事が出来ます。 もう一つ、一般の人の目に触れる機会はまずありませんが、氷川鉱山の中には鉱石運搬用の鉱内軌道もあった筈で、実は奥多摩電鉄以外でも鉄道と深い関係を持つ会社と言えるかと思います。

という事で、一部は過去のレポートも含め、以下に奥多摩工業を巡る鉄道たちについてまとめてみたいと思います。

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