2018年9月 1日

サイドストーリー(9)

サイドストーリー9本目。昔は駅前の洋菓子店と言ったら大抵これでした。

思い出の洋菓子店

今は隣町のマンション暮らしですが、私が小さい頃はこの駅が最寄りで、15分ほど歩いて坂を下った所にある、両親が建てた小さな一軒家に住んでいました。甘いものが大好きで、どこかへ出かけた帰りには親にねだって駅前の洋菓子店に寄り、ケーキを買ってもらうなんて事もたまにありました。その当時この近所では、ケーキと言える代物を買えるのはここぐらいしかなかったのです。昨今のような「甘さ控えめ」という風潮もなく、コッテリ甘いクリームにすっぱい苺を乗せたショートケーキは大好きで、これを食べるのは我が家にとって数少ないハレの日でした。

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この洋菓子店、1階の売り場奥には階段があり、それを上って2階に行くとそこは小さなレストランとなっていました。ここは親に連れて行ってもらった記憶はありませんが、高校生の頃にデートの待ち合わせで利用した事はあります。レストランと言っても食事は軽食ぐらいで、あとは階下で売っているケーキを添えて飲み物が飲めるという程度の喫茶店のような存在だったと思います。その当時あまり人はおらず、ガランとした店内に窓からボンヤリとした陽光が射していたような印象があります。

その時に付き合っていた彼女と後に結婚し、生まれた娘も遺伝のせいなのか小さい頃から甘いものが大好きで、今では立派な「スイーツ女子」となりました。この洋菓子店にも何度か連れて来ましたが、最近はもっぱら、口コミサイトなんかでも評判になる都内や近県の小じゃれた店に足を運んでいる様子です。娘はいわゆる「女子鉄」でもあるので、電車に乗ってあちこち巡る為の理由付けにもなっているようです。しかし甘いものを食べる割にそれ程太らないのは、親の体質を受け継いだ事に感謝してもらいたい(笑)と思っている今日この頃です。

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昔は駅の改札も地上だったし、駅前のビルといったらこの建物くらいしか無かったので、ある意味ランドマーク的な存在になっていました。このビルは3階建てなんですが、最上階は店舗ではないので入った事がありません。知り合いの商店主によると、事務所と貸会議室になっているそうです。会議室と言っても、お金を払って借りる正規の利用者はあまりおらず、もっぱら地元商店街の連中が暇を見つけては三々五々やって来て談笑する、寄合場所と化しているそうですョ。

コメント(2)

二階のレストランは丸い照明、三階の会議室は、長い蛍光灯、きちんと点いていますね。住民目線で下から見上げることはあまりないですが、すごいです。

気づいていただき、嬉しいです。
照明はもちろん後から描き足したものですが、雰囲気と遠近感を出すのに苦労しました。

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