サイドストーリー(10)
雑貨屋のばあちゃん
おやまぁ、またやってるのかね?アーケード通りのど真ん中で、書店のおやじと八百屋のおばちゃんが睨み合ってる。そりゃ~無理もないよねぇ、賑やかして野菜を売らなきゃ儲からない八百屋と、静かにじっくりと本を選ばせたい本屋さんでは、所詮そりが合わないんだから。ほら車が来てるって、そこじゃ邪魔ですよお二人さん。
しかし、いさかいの原因はまた騒音問題なのかしら?最近バイトで入った八百屋の女の子が、やたらハリキッて声を張り上げるもんだから、はたから見ているこっちもハラハラしてたところなのよね。彼女、体が小さい割りに声量が大きくて良く通る声だもんで、きっとおやじの癇に障ったんだヮ。それに声優を目指しているとかで結構なアニメ声を出すんで、聞く人によってはちょっとイラッと来るのよねぇ、私はカワイイと思うけど。
え!?なに、『うちの娘に手を出さないでよっ』て?あぁ、そうか。本屋の息子がこないだあのバイトの娘と歩いてるの見かけたから、きっと付き合ってるのね?それで八百屋のおばちゃん、自分とこにも男の子がいるもんだから、よそに取られたみたいになっちゃったのかしら。八百屋の末っ子もいい歳なのに、未だに電車のおもちゃで遊んでるとかで、女の子に興味なさそうだし。
しょーがない、ここはあたしの出番ですかね?何しろダテに煙草売って八十年も生きて来てないからね。ちょっと店長!そこの棚にある「熱さまシート」ちょうだい。少し、おつむ冷ますように、あの二人のオデコに貼って来るんだから。え、お代は?って、何言ってんの、あたしゃ店は引退したけど、このドラッグのフランチャイズオーナーだってこと忘れないでおくれョ!?
八百屋の末っ子さん、部屋に届いたのは、プラレールアドバンスの「こまち」でしたね。壁に貼ってあるポスターも、「あきたこまち」ですね。実は両親のどちらかが秋田県出身とか、何か思い入れがあるのでしょう、と勝手に想像しています。
Posted by musashimarumaru at 2018年9月22日 22:12 | 返信
musashimarumaruさん、すごいです。
そこまで気づかれるとは!
よく見てらっしゃいますネ。
出身は… どうでしょうか。
正直、親の出自と絡めるトコまでは考えていませんでした(笑
Posted by H.Kuma at 2018年9月22日 22:45 | 返信