サイドストーリー(5)
洋食屋「翌檜亭」
駅ビルの裏手にある洋食屋さん、ちょっとレトロで趣のある造りの建物だなぁ~と思っていたら、何と昔の駅舎を二階の内部だけ改装して食堂にしたのだそうで。どうりで場所もホームに隣接しているし、一階には何か待合室っぽい部屋もあったりで不思議な感じを持っていたのだが、それを聞くとナルホドーと納得である。なんでもその昔この線は東葛電気軌道という会社だったとの事で、大神宮駅に社屋が移転する前の一時期は、その本社も兼ねていた歴史ある建物なのだという。
あんな小さな建物で間に合っていたという事で、路線も会社規模も推して知るべしだが、徐々に単独での運行に行き詰まり、下総快速鉄道(略称「しもてつ」)との合併話となったようだ。東葛の社長はかなりのやり手だったらしく、合併で吸収される際にも色々と条件を付けたという。その関係か、その後しもてつ傘下になってもこの線だけは「東葛統轄部」という本社内の別組織で運営されており、何だか特別な存在になっているのがとても興味深い。
聞いた話だと、最初に営業を開始した頃この駅は東葛電軌のみだったが、既にしもてつの延伸計画があってそちらの駅用地買収も開始されていた。後に、しもてつがここまで路線を延ばして来た際に線路が繋がり、ホーム同士も構内踏切で結ばれるようになった。だから、支線ホーム端から構内踏切へと降りる階段の跡が、通路下に今でもチラリと見えていて当時の姿を思い起こさせるのだ。その後に、しもてつ側が築いた二代目の地上駅舎が現駅ビルの位置に出来、連絡も跨線橋化されて東葛の駅舎はお役御免。さらに時代を経て橋上化されたのが三代目の今の駅、という歴史があるそうだ。
駅の業務は、現在は橋上の駅舎内で行なわれており、ビルへ通じる通路上に設けられた支線の無人改札はそこから遠隔監視されている。しかし、年末年始などの繁忙期には大神宮の参拝客が殺到すると思うが、あんな小さな改札口で大丈夫なんだろうか?実はその時期だけ、今も残るこの初代駅舎に臨時改札口を開いて簡易端末を持った応援職員が配置され、降車客を雑踏したホームから逃がす役割をするというカラクリがあるのを知ったのは、あとからのことである。どうりで、「しもてつ線乗り場→」なんてご丁寧な案内板が洋食屋出口の目の前にあるわけだ。ちょっと道路が広がってるのも、元々駅前広場だった名残なんだろう。
で、話戻して洋食屋さんであるが、開店以来「飲めるハンバーグ」ってのが話題を呼んでなかなかの人気。でも、それを真に受けて本当に飲もうとする輩がたくさんおり、むせてしまって店内がざわつく事も数知れず。それで最近では、料理はそのままで「飲める位やわらかなハンバーグ」というメニューに衣替えしたらしい。本質的に変わっていない気もするが(笑)、それで一応の落ち着きを見せているとの事である。あと、何かと商店街の親父たちがこの店に顔を出すのは、ウェイトレスの着ているユニフォームがメイド服(しかもアンミラ風)な為、という事で間違いないだろう。
翌檜亭、昔の朝ドラに出てきたような洋食屋さん、レトロなたたずまいで良いですね。そして東葛電気軌道の本社だったとのこと。昔の鉄道会社の本社の建物の雰囲気もあります。歴史のある建物が残っているのですね。
こんなところに臨時改札口もあったのですね。
Posted by musashimarumaru at 2018年8月19日 10:23 | 返信
musashimarumaruさん、コメントありがとうございます。
GMベースの建物ばかりじゃ単調になってしまうと思って、この建物だけペーパークラフト(元々は医院)なのですが、思いの外目立ってしまうのでこんな設定にしてみました。
臨時改札を出たお客さん、初めての方はちょっと戸惑ってしまうでしょうね(笑)
Posted by H.Kuma at 2018年8月19日 10:59 | 返信