2018年8月 5日

サイドストーリー(4)

ss04.png今回のサイドストーリーは、"大人のための下町散策マガジン"「歩の達人」から、コラムニスト:漂泊漫太郎氏の記事「坂下地蔵」を転載します。

歩の達人 2013年8月号
特集:青砥ヶ谷・奥戸・大神宮

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コラム:坂下地蔵

青砥ヶ谷駅前から短い坂を下った所の遊歩道に立つお地蔵さんは、通称「坂下地蔵」と呼ばれ、付近の住民の間で親しまれている。一方でその坂の方は「地蔵坂」なので、これは"ニワトリが先か卵が先か"の問題に似ていると言えなくもない。あるいは、昨今巷で流行のワードで表現すれば「Win-Winの関係」だろうか?違うか...

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何れにしろ、当のお地蔵様にとってそんな問答は無用の長物、世間の疑問などはどこ吹く風で、時おり遊歩道を通り過ぎる人々を見守りながら、日がな一日そこに立っておられるのだ。脇に添えられた石碑の裏には、その来歴を説明したプレートが埋め込まれていたので、参考までにその一文を引用しておく事とする。

『青砥ヶ谷地蔵菩薩:本地蔵尊は青砥川改修工事の際に地中より発掘されたものであり、元々対岸の崖下を掘り込んだ祠に置かれていて、時代の経過による崩落で埋没したと推定されている。道祖神として建立されたと考えられるが、その詳しい由来は不明である。改修事業完工時に付近の安全を祈念してこの位置へと移し、あらためて祈祷を行ない、祀られたものである。』

このお地蔵様、周りを綺麗に掃き清めたりお供え物を用意したりしているのは、すぐ目の前にあるスナックの人生わけ有りママさんだそうだ。それだけでなく、赤い前掛けを新しいものに取り替えたり、季節によって色々なコスチュームを着せたりも(某駅の小便小僧じゃないんだから...笑)しているそうな。何しろ勝手口を出れば真正面におあしますお地蔵さんとちょうど目が合うし、そうでなくても何かと放っておけないのは、世話好きな彼女の性分から来るものも大きいだろう。

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そのママさんが言うことには、お供えした食べ物(実はお店で賞味期限が切れた食材を提供)が時々忽然と消えてしまうという不思議な現象があって、そんな日は決まって身に何かしらほんのチョッと良いことが起きるんだとか。それはかつての常連さんが久しぶりに来店したりとか、なかなか手に入らない珍しいお酒が入荷したりとかの、他愛も無いものだそうではあるが。

「きっとお地蔵様が供物を召し上がったお礼でしょう」と彼女は話しているが、勿論、お地蔵様が思し召しされた生類の誰かが代わりに胃袋に収めたと考えるのが道理。それはママさんも含め誰もが分かっているけれど、口にしないのがお約束というもんだろう。

文:漂泊漫太郎

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コメント(2)

お地蔵様の話、不思議ですね。
世話好きの人生わけありスナックのママさんも、リアルにいそうです。
あら、赤ジャージのおっさん、こんなところにも、こちらもジョギングコースに入っているのですね。

musashimarumaruさん、ありがとうございます。
こちらのスナックも、お酒が進みそうです(私は飲めないんですけどねww)
赤いランナーさん、この時期も冬物ジャージで熱中症になるんじゃないかと…笑

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