石山坂本線
石山坂本線の石山寺行き、乗ったのは600形の「ちはやふる」ラッピング車。
これは、漫画の題材となった全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会が、毎年地元の近江神宮で開催される事にちなんでの物である。
途中の京阪膳所からは東海道本線とからみつつ京阪大津まで進み、最後の一区間は瀬田川に沿って一路南へと走る。
終点の石山寺駅は川沿いの山裾にある小さな終端駅、そこから石山寺までは徒歩で約10分と多少距離があるので参拝は省略。
修学旅行で来た時には、ちゃんとグループを引率して石山寺まで歩いて行った筈である。
一度改札は出たが、ホーム向い側に停まっていた電車がすぐ発車する気配なのでそちらに飛び乗った。
[浜大津 13:46発 → 石山寺 14:03着 京阪石山坂本線上り 普通]
[石山寺 14:05発 → 坂本 14:39着 京阪石山坂本線下り 普通]
石山坂本線の上り列車は、途中の近江神宮前行きと、終点の坂本行きが交互に運行されている。
乗り込んだのは運よく坂本行きだったので、そのまま終点まで乗り通した。
浜大津より北側は、湖西線と連絡する皇子山(おうじやま)を過ぎると郊外電車然とした線形となり、結構スピードが出たのは意外だった。
右手の車窓に琵琶湖の湖面を遠く望みながらしばし快走し、電車は終点の坂本駅に到着した。
駅から少し歩くと比叡山へ登る坂本ケーブルがあるが、延暦寺へ行く時に乗った記憶があるので、こちらも今回はここで折り返す。
帰りの電車は浜大津までは乗らず、一駅手前の三井寺で途中下車。
石山坂本線にも短いながら路面区間があるので、ひと駅分歩きながら道路から観察を行なった。
ここはとても良い雰囲気で、路面好きとしてはすっかり気に入ってしまった。
[坂本 14:45発 → 三井寺 14:58着 京阪石山坂本線上り 普通]
京津、東西線
さてこれで京阪線の一日完乗と思いきや、地下鉄でバイパスしてしまった御陵~京阪山科間がまだだった。
帰りはJRでとも考えていたが、東西線に直通する京津線に揺られ、この区間の観察を行なう事にする。
電車は京阪山科を発車すると、二度三度と左右に身をくねらせて東海道本線の下を潜った後、あっけなく地下へと潜って行く。
すぐに御陵駅、上下線が地下2層となっており、しかも地下鉄と京津線が分岐する複雑な構造である。
だが、車内から眺めている限りホームドアの付いた普通の地下鉄駅で、その辺はあまり感じられない。
御陵駅では下車せずに、そのまま次の蹴上(けあげ)まで乗り通した。
既に地下鉄区間に入っているので京阪の1dayきっぷは無効だから、有人改札へ行き乗越精算で210円を支払う。
地上へ出るとそこは京都市街から伸びて来た三条通り、観光的には南禅寺が至近だが私の目的は蹴上の琵琶湖疏水インクラインだ。
初めて見るそれは大層立派な物で、広軌間の線路の上に船を運ぶ大きな台車が乗っている。
あの時代によくこんな大規模な設備を作ったものだと、冬の陽が傾いて来た草の斜面に佇みながら感慨にふけった。
しかしである、有名な「ねじりまんぽ」がすぐそこにあるという事をリサーチしておらず、大事なものを見逃してしまった。
[浜大津 15:18発 → 蹴上 15:37着 京都市営東西線 普通]
場所柄ここでは外国人観光客も多く見かけたが、駅へと戻る道すがら脇の立派なホテルから大勢のスーツ姿の人達が出て来た。
少々場違いに思えたが、あれはホテルを会場にして開かれたセミナーか何かが終わった直後だったのだろうか。
さて、京阪を一日で乗り尽くすという当初の目標は達せられ、何だか満ち足りた気分だ。
多少観光の余裕も持ちつつ一日で全線を巡るという意味では、距離的に大変お手頃な路線と言えるだろう。
冒頭でスタンプラリーは好まないと書いたものの、考えてみればやっている事はそれと大差ないような気がするが…。
[蹴上 15:57発 → 三条京阪 16:00着 京都市営東西線 普通]
近鉄京都線
あとは本日の宿へ向かうだけだが、まだ日も暮れる前なので少し寄り道をして行こうと考えた。
またまたフリーチケットで三条から京阪本線に乗り、3駅目の七条で降りる。
改札を抜け地上へ出て、ここから地図を頼りに京都駅を目指すのだ。
京阪の案内では徒歩で20分程とあり結構離れているが、自分にとっては充分乗り換え圏内だ。
ブラブラと歩いてゆくと京都駅前至近とは思えない程侘しい一帯を通ったりして、なかなか面白い街歩きになった。
しかしながら、これから利用しようとしている近鉄への乗り換えは、これまたリサーチ不足でしくじった事に後から気付く。
あのまま京阪を丹波橋まで乗っていれば、隣接した近鉄丹波橋駅へと通路で繋がっていたのである。
[三条 16:07発 → 七条 16:11着 京阪本線下り 特急]
クリスマス直前の京都駅構内はイルミネーションに彩られ、多くの人達でごった返していた。
私はリュックを背に、雑踏の中を右往左往しながら近鉄の改札口を探す。
近鉄京都線はだいぶ以前に乗った事があるが、駅への行き方をすっかり忘れてしまっていたのである。
通路を通ってようやく辿り着きSuicaをタッチして改札を入ると、目の前には橿原神宮前行き普通列車が待っていた。
ここから一駅だけ乗って向かうは東寺、今ここで「終い弘法」という大きな行事をやっていると駅貼りのポスターで見かけ、訪れてみようという気になったのだ。
[京都 16:36発 → 東寺 16:38着 近鉄京都線下り 普通]
しかし東寺の駅に着いて見ると何だか雰囲気がおかしい。
長いホームに降り立ったのはごく僅か、それも地元の人ばかりのようで観光客らしき人影が見えないのである。
改札を抜けて境内を目指すも、夕暮れの街中に人通りは少ない。
変だなと思いつつ寺の前までやって来たが、塀の向こうはヒッソリとしていて何かをやっている気配は無い。
手元のスマホで調べてみてようやく気がついた、それが午後4時で既に終わってしまっている事を。
関東の縁日のような感覚でとらえていた自分は、夕方からが本番の賑わいだろうと暗に誤解をしていたのだ。
京都九条は東寺のお堀端、ピタリと閉ざされた南大門の前で考えた。
やはり事前のリサーチをしっかりしないと失敗が多くなるなぁ、と。
[東寺 16:58発 → 京都 17:00着 近鉄京都線上り 普通]
~ おわり ~