訪問:2013/12
公開:2014/01

おけいはん

「京阪のる人、おけいはん。」という事で、今日は朝から一日かけてその京阪電鉄を乗りつくしてみようと思う。 本来おけいはんは女性だろうがこのさい大目に見てもらう、最近は京阪電車そのものを意味する形でも広まっているようだ。 なぜ京阪なのかはあまり明確な理由は無い、関西の私鉄はどれもみな好きである。 ただ、前回の関西旅で唯一乗らなかった大手私鉄が京阪というのは、今回の行動を起こすきっかけとしてあったかも知れない。 もとより、その本線は何度も行ったり来たりしているし、伝統のテレビカーにも乗車経験がある。 だがいくつかある支線や、何年か前に開通した新線にもまだ乗ったことの無い私だ。 幸い乗降自由のフリーチケットもあるらしいので、それを使ってこれらを周ってみる事にしよう。

淀屋橋駅

昨夜は京都駅前に宿をとったので、朝一のJR新快速と地下鉄御堂筋線を乗り継いで淀屋橋へやって来た。 やはり京阪電鉄に乗るんだったら大阪から京都を目指さねばならない。 京へ上るという言い回しもあるからして… かどうか定かではないが、ここの本線は京都方面行きが上り列車だ。 だがしかし、路線としての起点は淀屋橋なので、京都へ向かう線路自体は下り線なのだ。 上り電車が下り線を走る、何だかややこしいがそういう事になっている。

さてそれはいいとして、フリーチケットはどこで買えばいいのだろう。 事前にあまりリサーチして来なかったので、地下駅の券売機前で表示を見ながらしばし考え込む。 休日ではあるが周囲に観光客らしき人影はなく、みなICカードで出入りしており切符を買う人は殆ど居ない。 朝まだ早いので定期券売場もシャッターが降りて無人、しかたなく私は有人の改札口へ行き尋ねてみた。 「あのぅ、フリーチケットはこちらで買えますか?」 「は?フリーチケットですか…」あまりピンと来なかったらしく、駅員さんの頭上に?マークが見える。 「えぇ、乗り降り自由なやつですけど…」「ああ、それでしたら事務所の方で買えます。ここを真っ直ぐ行かれましてですね…、」 丁寧に事務所の場所を説明してくれた。

前回の旅では切符を紛失したりして、私にとって駅事務所は鬼門であるが、そこへ行かなければ始まらないので勇気を持って乗り込んだ。 ドアを開けるとズラッと並んだ駅職員に迎えられて少々緊張したが、来意を告げると「はい、1,200円になります」とあっさり購入出来た。 それは「きかんしゃトーマス」の絵が印刷された磁気カード、おまけにトーマスのぬりえ帳までもらってしまい、少々口元が緩む。 どうやらスタンプラリーが開催中で、特別にそれに合わせた券面になっているらしい。 鉄道現場をフィールドとしたこのようなゲームは昨今流行りのようであちこちで見かけるが、私はあまり好まない。 だが、おそらく将来孫でも出来て「じぃちゃん行こう!」等とお願いされたら、孫そっちのけで嬉々として駆けまわっている自分の姿は想像できる。

カードを自動改札に通し、地下2階のホームへと降りる。 乗り場は大手私鉄のターミナルとしては少々手狭な感じがしたが、実は縦に長くて縦列停車もあるらしい。 しばらくすると特急の出町柳行きが入線、降車後、同一ホームでドア位置を移動して乗車が開始される。 ここでは乗客の列が動かずに電車の方が位置修正してくれるのが面白い。 乗り込む電車は新3000系で、これは中之島線開業に合わせて新製された車両だ。 3列配置のユッタリとしたクロスシートに身を沈め、さあ発車、だが 3分後の天満橋でもう乗り換えとなる。 [淀屋橋 08:20発 → 天満橋 08:23着 京阪本線上り 特急]

中之島線

ここで乗り換える理由はもちろん中之島線である。 2008年に開通したこの新線は、大阪のビジネス街、中之島地区を貫いている。 しかしどうやらあまり流行っていないのか、本線と比べ中之島線の電車を待つ客は少ない。 やって来た普通列車に乗り、7分程走って近代的で広いホームの終点中之島駅に降りる。 軌道敷の先端にはトンネル掘削に使われたシールドマシンが、モニュメントとして据え置かれている。 ここから先に線路が伸びる事はあるのだろうか? [天満橋 08:29発 → 中之島 08:36着 京阪中之島線下り 普通]

せっかくなので周囲を見てみようと、長い階段を登って地上に出る。 駅上の南側は国際会議センター、北側には堂島川が流れていてウォーターフロント的な景観だ。 あわよくば川べりのテラスで朝の珈琲でもと思ったが、日陰が多くビル風も寒いので早々に退散した。 中之島から乗ったのは再び普通、この線はあまり優等列車が走っていないようだ。 [中之島 08:51発 → 京橋 09:01着 京阪本線上り 普通]

環状線とも接続する京橋で特急に乗り換え、次に向かうのは枚方市駅。 今度の電車は8000系で、京都へと向かう観光客らしき人達で賑わっている。 車内は中央部がクロスシートで車端部はハイバックロングシートとなっている。 かろうじて空席があったのはロングシートの方だが、造りとしては窓を背にしてクロスシートを並べたようになっていて快適だ。 満員の客を乗せた電車は京阪自慢の複々線を疾走し、15分程で枚方市のホームへと滑り込んだ。 [京橋 09:07発 → 枚方市 09:22着 京阪本線上り 特急]

交野線

ここから乗るのは交野線、京阪の中では特に沿線に観光地もない割り合いと地味な路線である。 線名の「かたのせん」は調べるまで関東人の私には読めなかったが、終点の「私市(きさいち)」もまた難しい駅名だ。 発車すると本線からカーブで分かれ、郊外風景の中をワンマンの4両編成が淡々と進んで行く。 各駅は概ね近代化されていて、ホームも綺麗で広い所が多いようだ。

途中でJRの学研都市線(片町線)と交差、乗り換え案内もされるが駅同士は交差部から若干離れているように見えた。 平野部を走って来た交野線は、少し丘陵地帯へと頭を突っ込む形で勾配を登り、終点私市に到着する。 私市では特に見るものも無いと思い、乗って来た電車でそのまま折り返してしまった。 日曜なのでこれから大阪や京都あたりへ出かけるのだろう、電車は各駅で沿線の人達を集めて満員になり、枚方市へ着いた。 [枚方市 09:25発 → 私市 09:39着 京阪交野線下り 普通] [私市 09:42発 → 枚方市 09:55着 京阪交野線上り 普通]

男山ケーブル

枚方市からは再び本線に戻り、次の支線へと向かう。 が、その前に寄る所があった、男山の鋼索線である。 何故か関東だとあまり見ないが、関西では私鉄が直営で運行しているケーブルカーが多い。 京阪でも石清水八幡宮へ向かう男山ケーブルというのがあって、ここはフリーチケットで乗れる範囲に含まれているのだ。 その乗換駅となる八幡市で下車し、地下通路を通って一旦改札を出る。 [枚方市 09:59発 → 八幡市 10:10着 京阪本線上り 急行]

男山ケーブルの山麓駅は八幡市駅に隣接している。 僅か5分後の発車となるが、近いので接続時間としては余裕である。 自動改札を入り京阪旧特急色の車両に乗り込むと、数名の客が既に車内で発車待ちをしていた。 先頭の乗務員脇の席が空いていたので、そこへ落ち着いて、かぶり付きと決め込む。 時間になるとジャンパー姿の係員が乗車してドア閉めを実施。 ケーブルなので運転するわけでなく、発車よしの合図を山頂駅の運転台に送る。 ここはとても短いケーブルなのだが、途中トンネルがあったり鉄橋上ですれ違いをしたりしてなかなかの見ものである。 ゴトゴト走ること2分で、ケーブルカーは「男山山上」駅の階段ホームへと収まった。 [八幡市 10:15発 → 男山山上 10:17着 京阪男山ケーブル(登り) 普通]

山上駅に改札は無く、そのまま駅を出る。 初詣の時期はごった返すのだろうが、今はひと気もなく閑散としている。 空気がヒンヤリして少々もよおして来たが、この駅にはトイレの設備が無いというまさかの緊急事態。 仕方なく、そこから木立の中の日陰で寒い参道を足早に歩き、境内にある公衆トイレへと駆け込んだ。 ついでといったら申し訳ないが石清水八幡宮にもお参り、山上は曇り空で肌寒く、バチが当たったか途中から小雪も舞い出す始末である。 もう一方の参道を通ってケーブル駅へ戻る途中には展望台があった。 そこは眼下の木津川を渡る京阪電車の姿が遠く眺められ、なかなかの景色で良い所だ。寒くなければ。 [男山山上 10:45発 → 八幡市 10:47着 京阪男山ケーブル(降り) 普通]