宇治線

ケーブルで山を下り、八幡市からまた本線に戻って次は中書島(ちゅうしょじま)で宇治線に乗り換える。 中書島駅はその名の通り島状の地で宇治川と分水路に囲まれており、ここはかつて付近の水運の中心であった伏見港跡でもあるそうだ。 カーブしたホームに待っていたのはワンマンカーの4両編成、緑と白の13000系だ。 発車すると観月橋、桃山南口、六地蔵など雅な駅名が続き、JRの奈良線と並走するようになると間もなく終点の宇治である。 「宇治」は京阪の駅だが、宇治川を挟んで対岸に離れて位置するJRの宇治と駅名がモロ被り。 普通は頭に社名を付けて区別するところだが、京阪は大津線系統を除き駅名に「京阪」を冠した例がなく、堂々としたものだ。 [八幡市 10:58発 → 中書島 11:06着 京阪本線上り 普通] [中書島 11:14発 → 宇治 11:28着 京阪宇治線下り 普通]

その宇治駅に電車は静々と到着。 島式ホーム先端の改札を抜けて階段を下り、JRの線路下を潜る形の通路を進んで再び階段を上がると駅前ロータリーに出る。 すぐ目の前には古い欄干の造作を持った宇治橋があり、その上に立って眺めると、川の流れと背景に見える低い山々が京都らしい気分を盛り上げてくれる。 せっかくなので宇治橋を渡り、徒歩10分程の距離にある平等院へ行ってみた。 が、ちょうど鳳凰堂が改修工事中で足場に覆われているとの案内掲示があり、それではつまらないと拝観受付でUターン、またまたリサーチの足りなさが露呈した。 [宇治 11:52発 → 中書島 12:06着 京阪宇治線上り 普通]

鴨東線、三条駅

中書島に戻り、さあ本線系の最後は京都側の終点である出町柳まで駒を進める。 カーブした中書島駅のホームに滑り込んで来たのは、再びコンフォート・サルーン3000系の特急だ。 私の好みは京阪の顔として君臨した初代3000系の方だが、既に全車引退しているので致し方ない。 中書島を発車して丹波橋に停まると次はもう京都市街の地下に潜り、七条、祇園四条と停車。 次の三条はかつての京都側ターミナル、ここに停車するとそれより先は本線から鴨東線(おうとうせん)となる。

後年開通したこの区間は実質本線の延長なのだが、線名を分けているのは何か理由があるのだろうか。 三条から4分ほどで終点の出町柳に着いたが、地下駅なのであまり京都にいるという実感はない。 ここは以前、叡山電車を利用する際に乗り換えた経験があるから、地上へは出ずにそのまま三条へ折り返す。 乗った準急は古豪の2200系で嬉しかったが、更新により似合いだった塗装が変わってしまったのはちょっと残念である。 [中書島 12:09発 → 出町柳 12:26着 京阪本線上り 特急] [出町柳 12:31発 → 三条 12:35着 京阪本線下り 準急]

午後からは大津方面へ向かうため、三条で一旦京阪を降り地上へと出てみた。 前回ここへ来たのは高校の修学旅行の時で、地上の三条駅で京津線へ乗り換えた。 当時はまだ京阪本線も鴨川沿いを走っており、京都の街の風情となっていた。 お昼に寄った四条駅では四条通りと平面交差、橋の袂が信号機式の踏切で珍しかったのを覚えている。 ここ三条の地上駅跡はどこだろう、川沿いの緑地帯と道路(川端通)の一部か? その東側の商業施設になっている場所が京津線の駅跡のようだ。

京津線

再び地下へ潜り、京都市営地下鉄東西線「三条京阪」駅への連絡通路を歩く。 京阪の駅がただの「三条」なのに対し、京阪ではない地下鉄の方が「三条京阪」と名乗る不思議。 それはこの付近の地域名が「三条京阪」という所から来ているのだそうな。 京都の地名は東西と南北の通りの名を組み合わせて冠す場合が多いというのは良く知られている。 たとえば四条通と烏丸通の交わる所は「四条烏丸」となる。 ところがここは東西に三条通、南北は京阪線が走っていたので「三条京阪」となったらしいのだ。 その三条京阪からしばらくは京津線の廃止区間で、それに代わるのが地下鉄東西線だ。 Suicaで入場しホームドアの前でしばし待つと、六地蔵行きがやって来たのでそれに乗った。 京津線の残存区間が地下で分岐する御陵(みささぎ)駅を過ぎて次の山科駅で下車する。 [三条京阪 12:56発 → 山科 13:05着 京都市営東西線 普通]

乗り換えのため地上へ出て、JR駅の脇に位置する京阪山科駅へ行く。 京阪のフリーチケットは大津線系統には使えないので、別途「おおつ1dayきっぷ」というのを買う為だ。 京都市交通局の管轄する御陵駅では扱っていないらしいので、わざわざここまで来た次第。 ところが改札へ行くと無人だったので、私はまたもや券売機の前で悩んでしまった。 しばし考えているうち人の流れが踏切を渡っているのに気づき、そちらへ付いて行くと駅舎があった。 私が迷っていたのは反対方面ホームの簡易改札口で、これまた事前のリサーチが足りてない結果である。 有人改札で無事に1dayきっぷ500円を購入し、ホームで5分程待つと水色の800系、浜大津行きがやって来た。 電車は国道1号に沿ってしばらく走り、名神高速の下を潜ると大津の街へと降りて来る。 上栄町の駅を発車すると有名な路面併用区間となり、電車はゴロゴロとしばらく道路中央を走って交差点を右折し浜大津駅に収まった。 [京阪山科 13:15発 → 浜大津 13:28着 京阪京津線上り 普通]

浜大津では同じホームで待っていればそのまま石山坂本線の電車に乗り換えられるが、私はとりあえず階段を登り橋上の駅舎を外へ。 修学旅行の時は乗り換えのみだったのでここで降りるのは今回が初めて、お目当てはモチロン路面上を走る京津線の電車だ。 特に地下鉄直通となって以降は、16m級とは言え大型電車の4両編成が堂々と大通りを往来する事となり、その様は中々に見ものである。 しばし通りをあちこち移動しながら写真や動画も撮って楽しんだ後、駅へ戻り、次は久し振りの石山坂本線に乗る。 先にどちら方面へ行くか迷ったが、ちょうど石山寺行きがホームに入って来たのでそれに乗車した。