函館へ行って来た。 いや、今回はバーチャルでなくリアルな旅である。 昨年「(行かない)函館旅」として函館へ仮想旅行した記事を書いたが、「おわりに」にも記したようにこれは本来行く予定で計画したプランだったのだ。 が、諸般の事情で直前に中止せざるを得ない事態となってしまったので、せっかく組んだ旅程を無駄にしたくないという思いで、行ったつもりのなんちゃって妄想旅行記をしたためたという経緯なのである。 それで満足して終りにするつもりではあったが、やはりせっかく立てたプランを塩漬けにしてしまうのはどうなんだ?という気持ちが高まり、ほぼ一年後のタイミングで実行に移したというわけである。 さて、では今回は実際に旅して昨年のリベンジを果たす事が出来たのか…… まずは東京駅から新幹線「はやぶさ」に乗っての旅立ちからスタートだ。
E5系新幹線 はやぶさ(東京駅)
2026年7月某日、東京駅10:45発の「はやぶさ17号」新函館北斗行に乗車、車両はもちろん E5系だ。 東北方面へ向かう新幹線は久し振りだが、前回乗ったのは「やまびこ」で、まだ「はやぶさ」は存在しなかった。 発車してすぐ上野、次に大宮と停車すれば徐々に足慣らしから本気のスピードとなり、次は仙台まで停まらない。 私が閑々と座っているのはいつもの E席、新幹線では 2列窓側のここが私的定番である。 切符は「えきねっと」でeチケットを購入し、モバイルSuicaに紐づけしてある。 自宅から東京駅、そして新幹線を挟んで新函館北斗から函館駅の間もSuicaが使えるので、スマホタッチのみで全行程を移動可能なのは便利だ。 逆にスマホを紛失すると全滅という悲惨な事態となるので、気を付けないといけない。 用心深い私は、普段から外出時はスマホをカールコードのストラップでズボンのベルトループと繋いでいるから、まぁ落とす事は無いと思うが。
| 駅名 | 時刻 | 列車 |
|---|---|---|
| 東京 | 1045 | 17B はやぶさ17号 |
| 新函館北斗 | 1501 | |
| 1511 | 3348M はこだてライナー | |
| 函館 | 1526 |
隣に座ったD席のビジネスマン風は、発車早々に駅弁を広げて良い匂いをさせている。 私のお腹も鳴り出しそうだったが、お昼を少し回った一ノ関あたりで持参したコンビニサンドウィッチを軽くつまんで昼食代わりにしておいた。 旅行初日の今夕食はちょっと贅沢をしようと考えているので、あまり満腹にしてしまうのはよろしくない。 盛岡を出るとその先は私としては未乗車の区間となる。 25年前の夏に会社のリフレッシュ休暇を利用して北海道へ渡った際は、この区間の新幹線はまだ工事中だったので、盛岡で在来線の特急「はつかり」に乗り換えて函館へ向かったと記憶している。 今回はその区間も「はやぶさ」に乗ったまま駆け抜けるので便利になったものだが、遡って学生時代に夜行で来て青函連絡船で渡道した頃の「遠くに来た」感は無くなってしまった。 そういえば今乗車している「はやぶさ」という名の列車も、前回乗った時は熊本行きのブルートレインだったのが、今はこうして東北の地を走っており、改めて考えれば隔世の感がある。
そうこうしているうちに我が「はやぶさ」号は新青森を出て青函トンネルに突入、ここも前回は狭軌の在来線で通過したが、現在は狭軌と標準軌の三線軌条だ。 窓外の照明灯で駅としては廃止になった海底2駅通過を確認し、やがて北海道側のトンネル出口を飛び出す。 本州側は晴れていたが、道南地方は薄曇りの天気である。 新青森から交代したJR北海道車掌の車内アナウンスで、「はやぶさ号は北の大地を駆け抜けております」も誇らしく、意外と下車客の多かった木古内を出れば次はいよいよ終点の新函館北斗である。 そろそろ右手には函館湾越しに函館山が姿を現す頃だが、反対側のE席からは見えないのが残念だ。
733系1000番台 はこだてライナー(新函館北斗駅)
定刻15:01、終点の新函館北斗駅に到着。 かつての渡島大野駅は大変貌を遂げていた。 乗り換えは一旦2階に上がって在来線ホームへと移動、既に「はこだてライナー」の733系1000番台3両編成が静かに待っている。 発車すると快速運転で五稜郭までは無停車で疾走するが、私の乗っている先頭車両前部は風切音が凄かった。 五稜郭を出れば次は終着の函館駅、予定通り15:26に長くてカーブした懐かしいホームへ静々と入線した。 列車を降りてホーム先端から通路を通って改札へ向かう。 前回北海道の地を踏んでから25年ぶりの函館駅、5代目となる駅舎は2003年に使用開始しているので私にとっては初めての利用となる。
自動改札を抜け、本日はこのまま宿へと向かうが、その前に明日からの準備を。 指定席券売機で「はこだて旅するパスポート」2日間用を購入しておくのだ。 この切符、電子版もあるが私は記念に券を残したかったので紙を選んだ。 券売機での購入は、パネルからメニューを追っても良いが、QRコードで直接購入画面にアクセスするのが便利。 ブックマークしておいたWebサイトで所定QR画面をスマホに表示させ、券売機にかざす… が何も起こらない。 「あれ?」っと思って何度かタッチしていると、そばにいた女性係員?の方がニッコリ無言で、パネル上の「QR読み取り」ボタンを押してくれた。 後にして思えば「そりゃそうだ」と納得の操作だが、初めての経験はどうしても戸惑ってしまう。
おかげ様で首尾よく切符は購入出来たが、まだ時間もあるので駅構内の売店で実家へのお土産などをしばし物色。 北島製パンの「箱館塩かすてら」というのを目ざとく見つけ、これを一本送っておいた。 自身で試食はしていないが、隠し味として加えている天日干しの海水結晶塩が、全体の味をキリリと引き締めているそうだ。 そして何しろ包装が立派な桐箱で、それだけでも只者ではない伝統と高級感を醸し出している。
JR函館本線 函館駅 駅舎
駅前から市電の湯の川行きに乗り、ようやく宿へと向かう。 本日の宿は昨年の計画で予定していた湯の川温泉ではなく、函館駅前から2つ目の「新川町」電停が最寄りのホテルだ。 昨年の旅程では翌日朝にバスに乗って「汐首灯台」停留所へと向かう予定であったので、アクセスの良い湯の川温泉の旅館を選んだ。 それはもちろん未成に終わった戸井線のアーチ橋跡を見に行く為であったが、今回は諦めざるを得ない。 何故かと言うに、そこを往復する為に丁度良い時間帯のバス便(「はこだて旅するパスポート」で利用可能)が廃止されてしまったからだ。 まぁタクシーやレンタカーで行く手もあるにはあるが、そこまで情熱の無い私は今回の計画からあっさり省いてしまったというわけなのである。
| 電停名 | 時刻 | 電車 |
|---|---|---|
| 函館駅前 | 1600 | 函館市電 5系統 湯の川行 |
| 新川町 | 1605 |
電車は函館駅前を発車すると交差点を2度ほど曲がり、ゴトゴト走ること約5分で新川町電停に到着。 Suicaで精算して電車を降り、右手の通りを進んで函館駅が面している海とは反対側にあたる海岸の方へと進む。 すると、歩くこと5~6分程で行く手正面には立派な建物が見えて来た。 それは大森公園内に建てられた函館市大火慰霊堂、昭和9年3月に発生した大火による殉難者を弔慰するための施設だそうだ。 そう、砂嘴上に形成された函館の街は海風が吹いて涼しいのだが、天気が荒れると強風にさらされ、明治以降何度も大火にあっている。 中でも最大規模だったのが昭和9年の大火で、死者2000名超、1万棟を数える家屋が灰燼に帰した大惨事だった。 街中を歩くと随所に防火帯となる広い道路が見られるのも、そんな歴史あっての事だろう。
函館市大火慰霊堂
その大火慰霊堂のある大森公園内を通り抜けると、目の前には函館から亀田半島を回って森町へ至る国道278号線の広い道路、その向こうには大森海岸が見えて来る。 その海岸沿いに建つ雰囲気のある建物が本日の宿、その名も「シーサイドホテルかもめ」である。 どうだろう、海を背にしたその雄姿はいかにも昭和の佇まいで、サザンの曲にでも出て来そうな雰囲気を醸し出しているではないか。 もちろんコスト面もあるが(一泊6K円台)、私はこの外観を見てここに滞在する事を決めたのだ。
シーサイドホテルかもめ
エントランスを入ると広がる雰囲気のある喫茶コーナー、その奥の窓の向こうには水平線が見える。 目の前にはカーブした洒落た階段が2階へと向かっているので、そちらがフロントかと思って登りかけたら、左手奥から声をかけられた。 1F喫茶コーナーの脇にフロントがあったのだ。 チェックインの手続きをし、これまた昭和なアクリル棒のついた部屋のキーを受け取り、3階の部屋へ。 ドアを開けると窓の外一杯に海が見えるオーシャンビュー、これは見事だ。
シーサイドホテル客室から
さて本日の夕飯だが、海岸沿いの国道を数分歩いた先に「函太郎 宇賀浦本店」があるのに目星をつけておいたので、いそいそと宿を出てそちらへ。 平日のまだ5時前なので待つまでもなくカウンター席へ案内され、タッチパネルで注文を。 どちらかと言うと小食な私は、「えんがわ三昧」と「まぐろづくし」及び「鮭のあら汁」でお腹いっぱい。 さすがにネタも良く、窓の向こうに海を眺めながら大変美味しく腹を満たした。 帰りは宿の近くにコンビニがあるのも便利で、明朝分のパンなど買出しを済ませてホテルへと戻る。 ちなみにアルコールは苦手だが炭酸好きの私、風呂上がりにと北海道のソウルドリンクたるガラナ(最近は近所のスーパーでも見かけるが)を購入した事は言うまでもない。
函太郎 宇賀浦本店
「えんがわ三昧」と「まぐろづくし」