窓の外に波の音を聞きながら現地で第1日目の朝を迎える。 というのはウソで、ホテルの窓は耐寒仕様の二重窓だから余程の音じゃなきゃ通さないが、カーテンを開ければ目の前は一面の海で心の中では潮騒が聞こえている(気がする)。 夕べ買っておいた朝食を部屋で軽く済ませ、連泊なので着替え類を部屋に残してリュックを少し軽くし、9時前には宿を出る。 それはいいんだが出かける際に鍵は持参下さいとの事で、デカいアクリルキーホルダーの付いた鍵を持ち歩かなければならないのはどうなんだ?(笑) 平日の函館市街地、朝の通勤時間が過ぎている事もあって人影も無く閑散としている。 道内の都市は駅前や大通り沿いこそビルが立ち並んでいるが、一歩裏手へ分け入ると途端に一般の住宅街になってしまう傾向がある。 それも嫌いではないが、私が歩いた中で例外はおそらく札幌くらいだろうか。
| 電停名 | 時刻 | 電車 |
|---|---|---|
| 新川町 | 0903 | 函館市電 5系統 湯の川行 |
| 湯の川 | 0929 |
歩くこと15分程で新川町電停に着き、ここから湯の川行きの市電に乗る。 やって来たのは正面一枚窓の主力車両8000形で、これは新製車で登場したのかと思ったが、一桁小さい800形の車体を更新したものだそうだから私と同年代位なのかも知れない。 本日から「はこだて旅するパスポート」が使えるので、乗車時はタッチも整理券も不要だ。 30分弱で終点の湯の川に到着、運転士にパスポートを見せて降車。 ここまで残った客は数名であったが、皆降りると横断歩道を渡って散り散りに街中へと消えて行った。
函館市電 湯の川電停
私はというと、ここから徒歩圏内の戸井線跡を少し散歩する。 遠方にある汐首方面のアーチ橋は足が無く諦めたが、このあたりの街中は線路敷が遊歩道として整備されているそうだから、探検しないわけには行かない。 電停から道道100号の産業道路を少し北上し 2つ目の信号まで歩くと、細長い切り通しの緑地帯が道路下で斜めに交差しているのが見えて来る。 これが未成線である戸井線の線路敷を利用した緑園通だ。 歩道脇にそちらへ下る階段があったのでそこから降りて行くと、通りは自転車と歩行者の専用帯に分離されている。 「何だ、これなら自転車持って来ても良かったな」と考えると同時に、季節が良ければ汐首あたりまでサイクリングで遠征するのも悪くないぞ?という次回訪問(があれば)のプランまで頭をもたげて来るのであった。
戸井線跡(緑園通)
戸井線跡(緑園通)
静かな遊歩道を戸井方面へと向かって独り歩いて行く。 時々ジョギング中の人とすれ違うが、それ以外は人通りが無い。 少し進んで行くと緑道中央に「開進橋」の案内板、その足元には「工」マークの杭が立っていた。 案内板によれば、2024年まで残されていた3連アーチ橋「開進橋」は戸井線と都市計画道路を交差させる物であったが、老朽化が進んだため道路拡幅工事に伴い解体されたとの事。 現在はコンクリートの味気ないカルバートとなっている。 次の道路交差箇所は逆に戸井線側が上になっており、車道の上に後年に作られた物と思われる水色のトラス橋(ライラック橋)が架かっている。 その先には川を渡る小ぶりなローゼ橋もあったりして、なかなかバラエティ豊かである。 少し下り坂になると緑園通は終わり、道道83号線に突き当たる。 その先も住宅地の中に路盤跡は続いているが、本日の戸井線プチ探索はここまでだ。
戸井線跡(開進橋)
戸井線跡(ライラック橋)
| 電停名 | 時刻 | 電車 |
|---|---|---|
| 湯の川 | 1014 | 函館市電 5系統 函館どつく前行 |
| 駒場車庫前 | 1019 | |
| 1035 | 函館市電 5系統 函館どつく前行 | |
| 函館どつく前 | 1117 | |
| 1138 | 函館市電 5系統 湯の川行 | |
| 函館駅前 | 1152 |
湯の川電停に戻り、そこから始発の「函館どつく前」行に乗る。 が、居眠りする暇もなく乗車5分程で途中下車だ。 降りたのは「駒場車庫前」で目的はもちろん駒場車庫の見学、と言っても外から眺めるだけなのであるが。 電停から歩道へ渡って歩いて行くと、車庫前のフェンスには年配の先客が一人張り付いている。カメラ装備からして、ガチの撮り鉄氏と思われる。 車庫内では職員の方がしきりに歩き回っており、何か動きがあるのかな?と思っていたら、お仕事を終えた超低床車9600形が車道から静々と入庫して来た。 朝の通勤ピーク時を過ぎて、しばし休憩タイムのようだ。 車庫内には古参の710形やその顔つきからして私より年齢の高そうな500形の姿も見えた。 成田の成宗電軌にルーツを持つ函館ハイカラ號は残念ながら見かけなかったが、奥の方に居たのかな?
駒場車庫(9600形)
駒場車庫(構内)
車庫前から再び電車に乗り、市電の全線踏破を目指して今度は終点の函館どつく前へと向かう。 踏破と言ったって、最初に函館に来た際に函館市電の現在残っている路線は完乗している。 但しそれは1978年夏のことで、当時はまだ国鉄の五稜郭駅へ向かう本線が運行していたのだが、そちらは乗らずに済ませてしまったのが悔やまれる。 本線の五稜郭駅前~ガス会社前の区間は私が訪問した年の11月に、ガス会社前~函館駅前もその15年後に廃止された。
訪問を終え、駒場車庫前から40分ほど乗って、終点の函館どつく前に到着。 表記が「どっく」でなく「どつく」なのは、電停名の元となる造船所の正式名が、函館どつく株式会社(読み方は 「どっく」)だからである。 ちなみにここは日本海軍の軍艦を国内で初めて建造したという歴史を持ち、この日も近くの岸壁には自衛隊の艦船らしき船が停泊しているのが見えた。 函館どつく前電停の道路脇にはちょっとした公園があり、ベンチやトイレも完備されているので電車を待つにはちょうど良い。 その公園でしばし休憩し、一本後の電車で次の旅程の為に函館駅前へと向かった。
函館市電 函館どつく前電停