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■3日目:松江、境港

当初の予定では、今日は朝ゆっくり目に宿を出て境港方面へ行くだけのつもりだったのだが、小泉八雲記念館へ昨日行けなかったので少し計画を変更する事にした。 なので本日も早起きをして安来駅からスタート。 通勤の時間帯かとも思われたが駅へ行くとホームは閑散としており、朝ラッシュのピークは過ぎた感じだろうか? 安来駅は南口が無く、そちら側は全面がプロテリアル(旧日立金属)安来工場に面しており、かつては専用線も伸びていたようだ。 08:36の列車で安来から松江へ向かうが、車内もさほど混雑しておらず席に座る事が出来た。

Photo 安来駅裏手はプロテリアルの工場

松江駅に到着し、駅前からレイクラインバスに乗り、09:46小泉八雲記念館前着。 時間も早いし、バス停から道路向かい側の記念館入口に行列は見えないので、幸いあまり混雑はしていないようだ。 と油断したのも束の間、横断歩道の信号待ちをしている間に別方向から団体さんがどっとやって来て、たちまち長い行列が出来てしまった。 やはりNHK効果は大きいようだが、当方は朝ドラが小泉八雲と決まる前からこちらへ来る事は考えていたのだから、少々悔しい気持ちも湧いて来る。

Photo レイクラインバス 小泉八雲記念館前

しばらく団体客が進まないので列の前の方へ行き玄関口の方を覗いていると、係の人が出て来たので、個人客である旨伝える。 すると、ほどなくしてこちらを優先して通してくれたのは有難かった。 八雲記念館と旧居との2館共通券を買い、中を見学。 八雲に纏わる色々な物品や資料が展示されていてなかなか興味深かった。 上階に館長室があり、ひょっとして凡館長在館だろうかとも考えたが、扉が閉まっていてその辺は定かでなかった。 一旦そとへ出て、隣の旧居宅の方も見学したが、元々は松江藩士の武家屋敷との事でこぢんまりした中に瀟洒な趣きがして、大変美しい小庭と共にここで暮らした八雲の生活が想像出来た。

Photo 小泉八雲記念館 入口
Photo 小泉八雲旧居の庭園

見学を終えて再びバスに乗り、松江駅に戻る。 時間調整で少し駅構内のショッピングセンターを覗いて歩き、実家へのお土産発送などを手配しておいた。 今日はここでお昼を食べる予定にしたので、時間をみて駅前から徒歩5分程の所にある「和らく」へ 。 せっかく松江に来たので名物の宍道湖七珍をいただこうというわけなのだ。 宍道湖七珍とは、宍道湖で捕れる7つの魚介類、スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミ(スモウアシコシと覚える)を表し、松江ではこれらを用いた料理が供されており名物となっている。

特に予約もしていなかったので店の入り口で11時半の開店時間を待っていると、係りの方が待合室に通してくれ、しばらくして席に案内してもらった。 店内は中央に大きな生簀が据えられており、板前さんが時々そこから魚などをすくって調理場へ持って行くのも、良きパフォーマンスとなっている。 我々が頼んだのは宍道湖七珍めし御膳で、最初に小鉢(九品)、茶碗蒸し、しじみ汁などが出て、しばらくして七珍を炊き込んだせいろ飯が出て来るという順番。 それはいいんだが、時間配分を間違えて、ご飯が出て来る前に先出しの物をほぼ食べきってしまったのは、ちょっと失敗だった。 もちろん料理はどれも大変美味しかったが。

Photo 宍道湖七珍めし御膳
Photo 宍道湖七珍 品書き

午後からは境港へ移動となるが、選択肢は2つ、列車か?バスか?どちらかである。 バスは松江駅前から隠岐汽船接続バスという境港行の急行バス的な路線がある。 こちらは隠岐の島へ渡るフェリーと連絡するバスで、フェリー客以外も利用出来、松江~境港駅前を40分で結ぶ。 一方の列車の方だと、米子での乗継時間含めて2時間弱かかってしまう。 この時間差は何故かと言うと、列車が米子を経由する迂回ルートなのに対し、バスは中海の海上道路やベタ踏み坂として有名な江島大橋等を経て、松江と境港の間を直線的に走破するからだ。

で、普通はパフォーマンス的に当然バスとなるのであろうが、二人で協議した結果、我々は列車を選択。 理由は、お昼を食べた直後でバス酔いが心配な点である。 40分程度なら酔っている暇はない気もするが、車両が観光バスタイプという事もあり、少々かまえてしまった。 あと私としては、境線が未乗線区であるというのも、実は裏事情としてあったりするわけであるが…

Photo 境線 キハ40系気動車

という事で松江13:40発の電車で米子へ向かい、そこで30分弱待って境線のディーゼルに乗り継いだ。 この境線は山陰地方初の鉄道で、境港から鉄道建設資材を輸送する為に敷かれた重要路線であった。 のはいいんだが、今は純粋なローカル支線となり、やたら駅が多いのもその特徴となっている。 乗り込んだキハ40は国鉄型らしい重々しいエンジン音を唸らせて走り出すが、なかなかスピードが上がらない。 で、少し走ったと思ったらすぐに次の駅となる。 そして時たま長々と交換待ちだ。 結局、松江~米子間約29kmを35分で来たのに、米子~境港間約18kmに50分を費やした。

Photo 境線 境港駅
Photo 境港 水木しげるロード

15:28、日も傾き始める頃に終点の境港駅着。 ここは勿論、水木しげる先生出身の街である。 駅前から水木しげる記念館を目指し、水木しげるロードを歩く。 沿道には鬼太郎など水木先生の作品に出て来る妖怪のオブジェが点々と並んでいる。 お土産店などを覗きながら、のんびり15分程歩けば記念館に到着だ。 早速入場券を買って中へ入るが、時間も時間だしあまり混雑はしておらず、ゆっくり観覧する事が出来た。 館内も、一部を除き撮影可能で有難かった。 見学を終えて外へ出ると既に冬の夕暮れが迫っており、観光客もあまりいないロードは閑散として少々寂しい帰路となった。 朝ドラをやっていた頃は、もっと賑わっていたのかも知れないが、今の松江の人気ぶりと比べて見てしまうのはちょっと可哀そうか。

Photo 水木しげるロード オブジェ

Photo 水木しげる記念館

帰りも境線のディーゼルはトコトコと走り、米子駅では1時間程乗り継ぎ時間があったので、一旦改札を出て買出しを行なう。 お昼は宍道湖七珍で贅沢をしたので今夜はコンビニのお握りで済ませようという事で意見も一致し、駅前のベーカリーで翌朝のパンも買い込んで宿のある安来へ帰る。 そう言えば本日午後から訪れた境港も、ここ米子も、島根でなくお隣の鳥取県である。 米子駅の次の安来駅は島根県なので、という事は米子~安来駅間で県境を越えているのだな。 …なんてことを考えながら列車に揺られる事わずか8分で安来に到着。19:00前には宿に辿り着いたこの日であった。

(続く)