今日でこの旅行も最終日である。 本日の訪問先は、かの有名な足立美術館。 収蔵された数々の美術品もさる事ながら、そのお庭も素晴らしく、昨今人気の観光地となっている。 朝08:20に宿をチェックアウトして出発、国道9号の信号を渡ればもう美術館最寄りの安来駅に到着だ。 これぞ駅近の利であり、その為に安来に宿をとったわけでは無いが、結果としては甚だ好都合なこととなった。 美術館へは無料のシャトルバスがあり、第1便は開館時間に合わせて安来駅前から発車する。 停留所にはまだ誰も並んでいなかったので、安心して駅のコインロッカーへ行き荷物を押し込んだ。
安来駅 シャトルバスは2番乗場
バスは08:50発で、少し時間があるので駅舎の奥手にある観光交流プラザ内の待合コーナーに陣取り、缶コーヒー等飲みながら余裕で待っていた。 すると、俄かに駅前が騒がしくなって来たので慌てて外へ出て見ると、何とバス停に長蛇の列が出来ている。 いつの間にこんなに並んだんだろうとその時は不思議に思ったが、後で調べてみると、我々が待合コーナーにいる間に上り下りの特急が各1本到着しており、それに乗って来た観光客が大挙して押し寄せたようだ。 急いで最後尾に並んだものの、バスは定員25名なので列の人数が気にかかる。
安来美術館 エントランス
やがて小型のバスがやって来て停車、乗車が始まると同時に運転手が列の人数を数えだしたが、ちょうど我々の前で定員に達してカットされてしまった。 それはなかなかにショックであったが、当方の後ろにもまだ多くの人達が並んでいたので、発車の際に運転手から「続行便を手配しているので5~10分程お待ちください」との案内があり、一同安堵した次第である。 結局15分位待ってやって来た次のバスが残りの客を乗せて駅前を発車、20分程走って9:30頃に美術館に到着した。 私はバスを降りると一人、一目散に美術館入口へとダッシュ。 それは帰りの便のバスを予約する為であるが、入口カウンター脇に発車時間毎の整理券が定員分置いてあり、それが無いと乗車出来ないシステムなのだ。
安来美術館 庭園
首尾よく整理券を確保し、相方が追い付くのを待って入館券を購入し、中へ入る。 美術館は回廊式に順路が決まっていて、それを順番にまわって行くシステムだ。 天気は快晴ではないが、部分的に青空が見え出して来て、その下に広がる庭園が見事だ。 その美しさはやはり評判通りだが、これだけの広大な庭を毎日維持して行くのは大変な事だろう。 アメリカの日本庭園専門誌が選ぶ「日本庭園ランキング」で、22年間連続日本一を獲得しているのも頷ける。
安来美術館 庭園
展示されている日本画の方は、横山大観、伊東深水など巨匠の名前が並び、その中には青梅に縁の川合玉堂の作品もあったのが嬉しかった。 他に北大路魯山人の陶芸展示などもあり盛りだくさんだが、お土産など物色しているうちに帰りのバスの時間が迫ってしまい、新館の現代日本画の方を見る時間が無くなったのは残念だった。 なお、帰宅後にたまたまNHKスぺシャル「驚異の庭園」の再放送があり、足立美術館の庭を守る職人の仕事が紹介されていたのはグッドタイミングで、感慨もひとしおであった。
安来美術館 庭園
美術館を後に帰りのシャトルバスに乗って、安来駅には11:20に戻って来た。 これで予定していた一通りの観光地を巡り、あとは電車に乗って我が家へと帰るだけだが、その前にお昼をどこかで食べておきたい。 乗車までに1時間というのは微妙なところだが、駅舎内の観光交流プラザ奥に、デリ&キッチン「ハロ」という軽食コーナーがあるのを発見。 注文したおまかせデリプレートは、お握り2個におかずとサラダ、それにスープも付くというヘルシーでほどよい量のランチであった。
本日のお昼 おまかせデリプレート
時間が来てホームへ出ると、やがて12:27発のやくも16号が1番線に入線。 これに乗り込めば後は大人しく座っているだけ、やくも+新幹線+青梅特快の3本だけで山陰から東京の家まで着いてしまうというのは、この上もなく有難い話だ。 発車する特急やくも、案内放送と共に流れ出す髭男Pretenderの車内チャイムが耳に優しく、たちまちにして心地良い眠りを誘うのだった。
安来駅 特急やくも
今回の旅は相方の希望を全面的に取り入れ(一部脱線もしているが…)、大衆的な観光地を巡り尽くす旅程となった。 私としてはそれらを完璧に網羅して効率よく周るプランと自負していたのだが、帰ったら開口一番「あー、分刻みで目まぐるしかった」とのお言葉に、いつものクセで詰め込み過ぎてしまった事を実感。 当初相方は他に津和野や岩国まで巡りたいと言っていた位なので、少し欲張り過ぎなプランは話し合って是正していかないといけないなと、反省する事しきりな私なのであった。
お土産 松江の銘菓「薄小倉」