~ 三日目(後半):木次線 ~

出雲坂根~備後落合(木次線)

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ご承知のように木次線に乗る意味の大半はここ、俗に三段式と呼ばれるスイッチバックを持つ出雲坂根にある。 当然ながら乗客はそれ目当ての人が大半となるので、ここに来て車内の動きが慌ただしくなるのも無理はない。 しばしの停車時間を活かして、みなホームに降りて撮影に勤しむ姿が見られる。勿論私も同類であるが。
やがて発車時刻となり、運転士は席を反対側に移動してスタート。 直線状にしばらく登り、雪避けの屋根付き分岐器が見えて来ると、山を下りて来た線路が右手から合流。 列車は停車し、運転士は再び位置を反対側に変え、単行の気動車は切り替わった分岐器を左手へ。 さらにエンジンの唸りを上げ、パワフルに急勾配を登って行く。 ここをC56等の蒸気が登っていたとは俄かには信じられない。
列車はワンマン運転だが、この区間は車掌?が乗務するようで、発車前後の安全確認や車内放送などを行なっていた。 要所要所でスイッチバックや景観の説明などもあり、観光列車としての色彩が強い。 しばらく登って勾配も落ち着いて来ると景色が開け、進行右手に奥出雲おろちループの道路橋が見えて来る。 木次線の車窓としては最大の名所で、列車も速度を緩めて乗客が楽しめるようにしてくれる。 だが、鉄道のライバルとも言える国道の眺めをビューポイントとしている所が私としては何だか引っ掛からないでもないが、止むを得なければ止むを得ない。 次の三井野原駅は木次線… というかJR西日本全体で最高所にある駅で、JR東で言うと野辺山駅のような存在だろうか。 さらに進んで柚木駅を過ぎれば、まもなく終点の備後落合駅に到着となる。

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奥出雲おろちループの景観。左は赤い三井野大橋、右手白い橋がループ部分

備後落合~宍道(木次線)

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備後落合は木次線と芸備線が接続する山間の駅で、広い構内を持つが現在は無人である。 計画通り乗って来た列車で折り返すが、20分程あるので改札を出て駅の外を少し観察してみた。 と言っても集落沿いに走る国道に対し、川を挟んだ反対側にある駅周辺に商店らしきものは何もなく、至って寂しい駅前風景であった。
ホームに戻ると少し遅れていた芸備線の列車が到着し、閑散としていた構内は3方面の気動車が勢揃いする束の間の賑わいタイムとなっていた。 それぞれこの駅で折り返して元来た方面へ戻って行くのだが、毎度乗り間違えが発生するらしく、臨時の駅職員?が各列車を回って注意喚起をしている。 私が乗り込んだ木次線の車内にも首を突っ込んで、「芸備線三次方面発車しますが、行かれる方いらっしゃいませんかぁ?昨日も誤乗車で、2時間待たれてましたよー」と叫んでいた。 日に3~5本しか発車の無いこの駅での誤乗はまことに致命傷である。
14:40に芸備線三次行き、14:42に同じく新見行き、そして14:44に木次線宍道行きと、2分おきに発車となり、後に残った備後落合駅は静寂の世界に戻ったであろう。 来る時は気づかなかった(居眠り?)が、木次線のこの区間、発車してしばらくは渓谷沿いを最徐行でノロノロと進む。 これが、一部から「必殺徐行」と揶揄される常時制限25kmの徐行区間だろうか。 沿線は保守があまり行き届いていないようで、枝木がバチバチと音を立てて車両にぶつかってくる箇所も多かった。
再び出雲坂根のスイッチバックを堪能し、帰路は出雲横田で増結するのかと思ったが単行のまま、木次では15分停車の合間にリュックから今朝宍道湖畔で仕入れて来たお握り(唐辛子味噌)を出して頬張った。 その後は食後の睡魔に襲われてしばしウトウト、気が付くと山陰本線の架線柱が左手から寄り添って来て、夕刻の宍道駅に到着した。

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乗車して来た木次線キハ120がそのまま折り返し宍道行きとなる

宍道~松江(山陰本線)

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あとは山陰本線に30分弱乗れば松江に帰れるのだが、ここも接続が悪く40分近く待たねばならない。 仕方がないので冷房の効いた綺麗な待合室の隅に陣取り、今朝ここで買ったお握りの残り(鯖寿司)1個をゆっくり時間をかけてお腹に納める。
その後ホームの方を見ていると向こうの線路に特急やくもがやって来て停車、この春から運行に就いた新形式273系の振り子車だ。 遠目にはシックなブラウン塗装に見えるが正式には「やくもブロンズ」だそうだ。 そのやくも停車中に上り列車も到着し、しばしの乗車でようやく松江へと帰還、無事本日の旅程を全て消化した。
駅から宿まで戻る道すがら買出しを済ませ、川沿いをぶらぶら歩く。 宍道湖の入口まで来ると、橋の袂には揃いの法被姿でお神輿を担ぐ一団が。 後で調べると、どうやら湖畔にある白潟天満宮で「松江天神さん夏祭り」が行なわれていたらしい。 ホテルに戻り入浴夕飯も済ませ、部屋で寛いで本日の疲れを癒す。 なにしろ「宍道湖展望風呂付DXクイーン」であるし、風呂には天然温泉が引かれているのだ。 松江最後の夜でもあるし、勿体無いので寝る前にもう一風呂貰ったのは言うまでもない。

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ホテルの部屋備え付け展望風呂に浸かると、宍道湖の夜景に癒される

駅名時刻列車
出雲坂根13421449D
備後落合1425
14441462D
宍道 1743
1820286M
松江 1847