~ 三日目(前半):一畑電車&木次線 ~

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松江しんじ湖温泉~電鉄出雲市(一畑電車)

朝7時起床、ゆっくりと朝食を済ませて支度を終え、8時半に宿を出る。 今夜も曽遊の地である松江連泊につき嵩張る着替え類はホテルに置いて来たので、背中のリュックはすこぶる軽い。 島根も連日酷暑が続いているが、朝のうちはまだ何とか外を歩ける気温だ。
松江滞在中の行動だが、前回は午前中に一畑電車を全線乗り潰し、お昼は食事処で美味しい魚をいただき、午後からは松江市内をバスやレンタサイクルでゆっくりと巡って歩き、夕方に宍道湖畔に出て名物の夕陽を眺めるという充実した一日を過ごした。 今回もそうしようかとも考えたが、いったいこの暑さでは市内観光などするモチベーションが上がって来る筈もない。 19年前と比べると、夏季の気温の上がりようは明らかだ。
そこで、とりあえず「ばたでん」は乗るとして、その後はJRの未乗線区を乗りに行こうと目論んだ。 それで、木次線、芸備線、伯備線をつないでぐるっと一回りして松江に戻って来る案などを画策したのだが、ダイヤが閑散過ぎてとてもその日のうちには戻れない。 なので結局欲張りはよして、木次線で備後落合までの往復だけを実行する事に。 それでも同じ箱に乗って行って帰って来るだけで往復6時間あまり、山陰本線との連絡も悪く、乗り継いで松江に辿り着くのが夜7時近くなるという長閑さなのだ。

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ガラス張りの松江しんじ湖温泉駅舎だが、以前 に比べて見通しが…

宿から裏道を繋げつつ、宍道湖畔の遊歩道を通って徒歩15分程で一畑電車の「松江しんじ湖温泉」駅に到着。 ガラス張りの綺麗な駅舎は前回のままだ。 そう言えば前回訪問の翌年に一畑電鉄は持株会社に移行し、鉄道事業は一畑電車株式会社に引き継がれている。 なので現在の呼称は「一畑電鉄」でなく「一畑電車」となる。 券売機でひとまず電鉄出雲市まで700円の切符を購入。 前回に倣って大社線も往復したいところだが、次に木次線が控えているので残念ながらそこまでの時間は取れない。

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ホームへ入って行くと左手に最新型の新製車7000系、右手に元京王5000の2100系が停車中。 新形式に乗りたい所だが、次の発車は右手の2100系と案内されている。 白ボディにドアがオレンジ塗装となっているのは2103編成で「IZUMO-BATADEN 楯縫(たてぬい)」と呼ばれるイベント車両だが、定期列車としても運行している。 2両編成の車内に入ってみると、出雲市側の先頭1両目は椅子が進行左に向いた展望席、2両目は普通のロングシートであった。 もちろん迷わず1両目の展望席に陣を取り、荷物を置いて落ち着いた。 席には木製のテーブルも付いており、飲み物などを置けるようになっている。 発車前にモーニング珈琲でも買っておけば良かった、と少し後悔。
松江を出ると温泉街を抜け、しばらく宍道湖に沿って走る。 一畑電車の絶景区間で、このための展望席である。 空は雲が多いが雨の降りそうな気配は無く、その下で宍道湖は広々とした湖面を見せている。 一畑口まで来るとスイッチバックで逆向きになってしまうが、そこから先は湖面から離れて行くので展望席としての役割は終了となる。 途中から通勤通学客もチラホラ乗って来るがラッシュと言うほどでもなく、大体ロングシート車の方へ行ってしまうようで、観光客との棲み分けが出来ている。 1時間弱走って、電車は高架ホームの電鉄出雲市に到着した。

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出雲市~宍道(山陰本線)

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高架脇を歩いてJRの出雲市駅へ移動、乗り換え時間が約10分と連絡は良い。 ホームに上がると夜を徹して走って来たサンライズが着いたばかりで、向こうのホームにその身を横たえていた。 こちらは黄色い115系に20分程乗り、木次線の出る宍道駅へ移動。 ここまでは順調な乗り継ぎだったが、次の木次線はここで1時間弱待たねばならない。 改札を出てみたが駅前には何も無いので、地図で徒歩6分と出た宍道湖畔まで行ってみる事にした。 ひっそりとした駅前通りをしばらく真っすぐ歩いて行くと、やがて目の前に穏やかな湖面が広がる。 国号9号の信号を渡って波打ち際まで降りてみると、湖の上を吹き来る風が少し涼しさを感じさせるようだった。 ちょうど湖畔の道路脇にコンビニがあったので、ここでお握りとお茶を調達し、駅へと戻る。

宍道~出雲坂根(木次線)

宍道駅は乗り降りする人が多くは無さそうなのに待合室がやけに綺麗だと思ったら、瑞風の停車駅となった際に改修されたそうだ。 跨線橋を渡り3番線で少し待つと、備後落合行き首都圏色キハ120の2両編成が入線。 折戸のドアが開き車内へ、首尾よく後部車両に席を確保したものの、途中の出雲横田駅で2両目は切り離すそうでガックリ。 仕方ない、そこまではこのまま乗って行こう。
列車は発車するとすぐに左へカーブを切って山陰本線から離れ、中国山地へと分け入って行く。 天気は未だ半曇半晴れであまりパッとしない。 途中の木次駅で列車交換、やって来たのは同じくキハ120だが、あちらはグレー&黄色いラッピングで正面に「き」の字とハートマークが。 はて? これが「き・すき」を表すという事は、この文章を書いている今、気が付いた(笑) 

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しばらく走って下久野駅を出ると、やたら長いトンネル(下久野トンネル 2,241m)を通過、抜けるまで5分位かかった。 その後、出雲八代、出雲三成と、出雲の付く駅が続く。 出雲三成では再び列車交換があったが、ここは観光案内所もある立派な駅だった。 亀嵩を出ると、次の出雲横田駅までの間はトンネルだらけだ。 その前後には必ず鉄橋があるので、きっと川の蛇行を貫いて走っているのだろう。 出雲横田では事前の案内通り2両目が切り離しとなり、席を立って前の車両へ移る。 次の八川駅を発車すると路線は里から山中へと分け入り、うねうねとカーブを描きつつ急勾配を登る。 小さな軽快気動車はエンジン音を唸らせながら、30‰の急勾配を健気に登って行く。 こんなパワフルな走りが出来るとは思っていなかったので、少々感激気味でその振動に身を委ねているうち、勾配が一段落して谷あいの出雲坂根に到着。 10分ほど停車との事で、ホームに降りて高原の空気を味わう。 天気もようやく晴れ間が多くなって来て雲が切れ、青空が気持ち良い。

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出雲坂根で10分程停車。乗客たちは三々五々ホームに降りて休憩タイム

駅名時刻列車
松江しんじ湖温泉0857一畑308
電鉄出雲市0955
(徒歩)
出雲市
1006282M
宍道1024
11181449D
出雲坂根1332