次は神戸線系統の伊丹線に乗るので、振り出しの梅田まで一旦逆戻り。 路線的には十三が分岐駅なのでそちらでも良いのだが、乗り換えの便を考えると、やはり梅田の方を選んでしまう。 ホームの櫛歯部分を渡って宝塚線から神戸線へ移る。 危うく目の前の特急に乗りそうになったが、危ない危ない、乗り換える塚口は特急通過駅だ。 次発の普通に乗って四たび淀川を渡り、所要10分ほどで塚口駅着。 伊丹線の電車は上り側ホームから発車するので、地下道を潜って移動する。 お昼を過ぎて本日も酷暑の空気の中、電車の外を歩くのは身に応える。 幸い、伊丹線の6000系4両編成が既にホームに入っていたので助かった。 すぐに発車、すると右に急カーブを切って本線から90度向きを変え、一路北の方角へ向かう。
塚口発車時に伊丹線は単線かと思っていたが、窓外を見るといつの間にか複線となっている。 終点の伊丹まで所要6分だが、この程度の支線でも複線になっているのは意外だった。 間で2駅ほど停車して、あっさりと高架駅の終点に着き、改札を出て駅入口の写真を撮る。 今回の行脚では mustではないがこれをほぼお約束としている(区切りとしてこれが無いと、どの線の写真か分からなくなってしまう、というのもあるww)。 ところで、阪急とJR福知山線の伊丹駅の間は、近いようで歩くと10分程かかる。 伊丹空港はさらに離れていて、川を渡り滑走路の下を潜って1時間以上、とても歩いて行ける距離ではない。 その駅名から伊丹空港最寄りを連想していた関東人の私は、今回認識を新たにした。 そんな伊丹駅を3分で折り返し、塚口へと戻る。
お昼を過ぎたので上りホーム上の冷房付き待合室に入り、人がいなくなったタイミングを見計らって、宿で今朝食べ残した菓子パンをパクついた。 食後はしばらく涼みがてら、待合室のガラス越しに行き交う電車を眺めて寛ぐ。 ここらでは10分ヘッドで上下線の電車がやって来るし、その間も通過列車があるので、見ていて飽きる事がない。 一休みの後は夙川駅へ西進し、次は甲陽線に乗る番だ。 伊丹線と同様、本線から真っすぐ北へと向かう短い支線だが、こちらは本線と直角を成す位置にホームがあるのが塚口とは異なる。 車両は同じく6000系だが、伊丹線4両に対して甲陽線は3両のワンマン運転となり、線路も単線だ。 しかし伊丹線といい甲陽線といい、阪急には本線から直角に分岐するこういった支線が多いのは何故だろうか。
甲陽線の中間駅は苦楽園口の一駅のみ。 この苦楽園というのは公園か何かだと誤解していたが、高級住宅街の名称なのだそうだ。 そして終点の甲陽園も、付近に有名人の豪邸が立ち並ぶというが、それらの住人が出かける際に電車を使うかどうかは定かでない。 到着したその甲陽園は1面1線の簡素な地上駅。 ホーム頭端部の改札を段差無く出て振り返ると、開業当初からと思われる木造平屋建ての駅舎がいい味を出しつつ佇んでいる。 駅前はどことなく瀟洒な感じもするが、あまり周囲を歩いていないので正直分からない。 今でこそ閑静な住宅地が広がるこの地には、甲陽線開通前に甲陽公園という施設があったとの事で、温泉、旅館、劇場、映画館、植物園、遊園地などで多くの行楽客を集めていたそうだ。
夙川駅に戻り、次は上り電車で西宮北口駅へ。 かつての名所、神戸線と今津線の交差するダイヤモンドクロスを擁した駅構内の線路配置は今も複雑だ。 その後、今津線の南北を直通する線路は分断されたが、それぞれを行き来する連絡線が周囲に配置されており、上空からマップを見るとさながら高速道路のインターチェンジのようだ。 次に向かう今津線だが、北線の方は10年前の初回「脈絡庵旅日乗」で乗車済みだから、本日のターゲットは今津南線の方である。
神戸線の地上ホームから2階の橋上駅舎に登りコンコースを歩いて行くと、その同一平面上に、乗り場である5号線の高架ホームがある。 しばらく待つと入線して来たのはまたまた6000系で、こちらもワンマン対応の3両編成だ。 ホームは1面1線だが、そこを出るとすぐに複線となる。 これは南北線が連結していた頃の名残りだろう。 中間の阪神国道駅を過ぎればもう終点の今津駅、ここまで全線が高架上を走っている。 これでひとまず阪急は終了、ここで乗り換えて次は阪神の方を乗り歩くが、今朝からずっと使用している「阪急阪神1dayパス」が更なる効力を発揮する。
阪急今津駅のホーム前方にある改札を抜けると、そのまま空中の連絡通路が阪神今津駅改札階につながっており、乗り換えは至極スムーズだ。 乗り換え時間僅か4分だったが、写真を撮りつつも余裕で阪神線ホームに到達出来た。 やって来た8000系急行に乗り込み、6分ほど走って武庫川駅へ。 ここは武庫川の真上にホームがあり、右岸左岸側の両方に駅舎のある面白い駅だ。 乗って来た電車を見送った後、しばしホーム上から川面の風景を堪能する。 この暑さでは涼しい…とは言い難いが、地面の上よりは若干気温が低い様な気もする。 これから乗車する武庫川線は右岸の堤防下を下流に向かって走っているので、ホーム後部の連絡通路へと歩を進める。 本線の線路下を潜り少し進んで階段を降りると、目の前に武庫川線のホームが見えて来る。
意外だったのは、ホーム入口に中間改札があった事だ。 後で調べたところによると、武庫川線には券売機の無い無人駅が複数あり(簡易改札機は設置)、ICカードを持たない乗車客が本線への乗り換え時に、この中間改札の所で乗車駅からの切符を買う必要があるためのようだ。 ホームには既に、パステルカラーを身に纏った5500系トラッキー号の2両編成が待っていた。 発車すると最初は席に着いて大人しく車窓を眺めていたが、途中で親子連れが降りて行って場所が空いたので被りつきを敢行。 すると、線路は単線だが線路敷は複線分が確保されている事に気が付いた。
元々この線は軍の要請により軍需工場への客貨輸送を目的として建設されたので、そのせいかも知れない。 それも途中の州崎駅までで終わり、単線幅の敷地になると次は終着の武庫川団地前である。 当初、洲先まで開通した武庫川線だが、その後武庫川団地が出来、住宅公団の要望によりここまで延伸されたものである。 地図的に見ると中途半端な場所が終点になっているようだが、その名の通り周囲は団地で乗降客はそこそこ多く、駅周辺も賑わっていた。 生活に密着したスーパーが駅のすぐ横に隣接しているのも、団地らしさを物語っている。
さてこれで阪神は全線走破達成。 本日の宿は新大阪なので、阪神で梅田まで出て地下鉄乗り換えだ。 が、途中の尼崎に停車した瞬間、ある事が頭に閃いてすかさず電車を降りた。 阪神なんば線の尼崎~大物駅間を乗り残していた事を思い出したのだ。 それは前回、なんば線開通後に訪れた際、起点が尼崎駅とは知らず、本線から分岐する大物から乗り込んでしまったからなのだ。 しばらく待って、やって来たなんば線経由の近鉄車に乗り、尼崎~大物間を達成。 そのまま大阪難波駅まで乗り通し、地下鉄御堂筋線に乗り換えて、目出度く宿に納まった次第である。