無くなってしまった

何となく、新潟へ行ってみようと思う。 エリアとしては越後平野のあたりである。 毎年あちこちを点々と旅して来たが、残念ながらこれまでそこに足が向くことは皆無だったのである。 この地に足を踏み入れた稀有な例としては、過去に北海道へ行く途中、新潟駅で急行「佐渡」から「すらゆき」(車掌さんがそう発音してた)に乗り換えた事を記憶している。 後は深夜の寝台列車等で通り抜けたことが何度かある位、つまり経由地としては通っているが、目的地には成り得なかったのだ。

それは何故かと問われるに、理由は明白、私にとって行くべき地方私鉄が無いからである。 否、正確には「無くなってしまった」と言うべきだった。 越後交通、蒲原鉄道、新潟交通などなど、かつてこの穀物豊かな平野には愛すべきローカル私鉄が幾つも走っていたのだ。 そう、見に行くべき魅力的な電車がたくさんあったのに、行きそびれてしまったのは私の方なのである。

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そんな懺悔の気持ちも抱えつつ、真夏の電車に飛び乗った。 とりあえず目指すのは新潟駅、ポケットにはいつもの青春18きっぷが収まっている。 特に訪れるターゲットは具体的に決まっていないのであるが、未乗の越後線と弥彦線には乗って来ようと思う。 というわけで 脈絡庵 旅日乗、第2巻は「新潟遠征之記」とする。 8月の新潟は暑そうだが、冷房の効いた電車に揺られている限りは何の問題もない。