April, 2010
序章
思い返せばこのテーマを最初に掲げたのは96年の暮れだったのだ。 それ以来ずっと長いこと放置していたが、今回やっと重い腰を上げる事にした。 いゃ、腰は重くは無かったのであるが、そもそもやり出すきっかけを逸していただけかも知れない。
京成の鬼越駅
構内踏切は乗り降りが楽で、その点では人にやさしい。 だが、電車の本数が多くなって来ると開かずの踏切と化してしまう。 場合によっては乗るべき電車が目の前のホームにいるのに、そこへ渡って行く事の出来ないジレンマが乗客を襲う事もある。 いきおい、遮断機を無理やり潜って電車に駆け込むという輩が出て来る。 だからホーム間を地下道や跨線橋で結んだり、昨今のように高架化あるいは駅舎を橋上化してしまう方式が主流になるのも無理はない。
なので、大手私鉄でも列車密度の低い支線クラスを除いて、構内踏切は徐々にその数を減らして来ているものと思う。 遮断機が上がり、電車のお尻を見ながら大急ぎで踏切を渡ってホームへ駆け上がり車掌さんのすぐ目の前のドアから車内へ、なんて光景も昨今はなかなか見られなくなって来た。
ちなみに「構内踏切」という呼び方はあくまで俗称である。 駅構内にあるのは公道ではないので、警報機や遮断機があってもそこは踏切でなく届出上は「渡線路」と言う事になっているそうだ。 そんな渡線路 …いや、ここではやはり構内踏切と呼んだ方がしっくり来るな… 構内踏切を観察しに行ってみようではないか。 とりあえず都内の大手私鉄路線を中心として訪問する事にしたいが、さて、今の時代にどれだけ残っているだろうか。