Sep, 2011

東武鉄道(伊勢崎線)

さて本日は最後に残った東武伊勢崎線、及び京成線をまわってみようと思う。 東武の浅草駅は山手線とは起点が離れているターミナルだが、そのルーツとなる本線格の伊勢崎線が発着するとなればここは訪問しないわけには行かない。 JR中央線を神田で下車し、東京メトロ銀座線に乗り換えて浅草入りをする。

地下鉄から階段を上がって松屋の中へ入って行くと、目の前に独特の雰囲気を持つ手狭なホームが待っている。 駅としては一昔前の香りがするが、この空気は嫌いではない。 今現在駅ビルを覆っている外壁を外して竣工当時の姿に戻す工事も予定されており、そちらもとても楽しみである。 待っていたのは区間準急の春日部行き、北千住までは各駅停車となる。 せっかくなのでホーム先端のカーブした部分から、落っこちないように恐る恐る乗車してみよう。

東武伊勢崎線 浅草駅

Photo

普通や区間準急等は主に1,2番ホームを使う

東武伊勢崎線 浅草駅

Photo

ホーム先っぽの方はこんなありさまだ


時間が来て発車すると隅田川上のトラスでダブルクロスを渡り、目の前のスカイツリーが車窓左から右手に変わるともう業平橋駅に到着だ。 伝統の業平橋もスカイツリー駅へと改名が予定されており、何となく寂しい心持ちがする。 通りに面していた旧改札口も既に一旦閉鎖され、ホーム中央付近に新たな改札が設置された。

最初の踏切へは、高架下の線路脇を通って押上駅方向へと歩く。 というかほとんど押上駅の真上にあるのだが、そちらは伊勢崎線の駅ではないのでこうやって止む無く炎天下を移動中なわけだ。 地上に降りて来た東武線とその脇にある留置線を回り込むように進めば、広い空の下に横たわる踏切に到着。 「伊 第2号踏切道」と記されている踏切名は東上線と同じ形式だが、こちらは伊勢崎線の「伊」が冠してある。 行き交う列車は数多いが、それらを引き立てるのはやはり背景に屹立するスカイツリーだろう。

業平橋駅

Photo

新しい改札口が開設されていた

伊 第2号踏切道

Photo

写真だとスカイツリーは近過ぎて上が切れてしまう


伊 第2号踏切道

Photo

踏切の向こうは京成押上線が地上へ出て来る場所


より大きな地図で 都心の踏切 を表示

途中でスカイツリーの写真等も撮りつつ業平橋駅へと戻り、再び電車に乗って次は鐘ヶ淵駅で下車。 ここは駅前すぐに第17号踏切があるから取材は楽で助かる。 駅アナウンスによると乗って来た電車が急行の通過待ちをするというので、駅前踏切という事もあり急いで見てくれば同じ電車に戻れるかと思った。 が、甘かった、この駅は電車の停車位置から改札までが実に遠いのだ。 何故なら、その間に待避線と通過線を分ける分岐器があるからで、さすがにこれでは発車に間に合わない。

ここの第17号踏切が面白いのは、踏切道の真ん中で3本の道路が交差している事。 いわば踏切中央が交差点になっているような恰好だ。それらには特に道路信号が付いているわけでもなく、さらに線路に沿った両側に側道まであるのに混乱なく人や車が流れているのは実に感心してしまう。 交差点の角位置に交番があって、目を光らせているのが効いてるのかも知れない。

伊 第17号踏切道

Photo

踏切中央で3本の道が交差する凄い場所


より大きな地図で 都心の踏切 を表示

そこから先、東武線は荒川の土手に沿って走り、その間に踏切は無い。 この区間は現在の荒川が放水路として開削された際に線路付替えが行われた場所で、昔は川の中央付近を東武線は走っていた。 次の堀切駅も荒川東側の地名だが、そういう経緯で今も堀切を名乗っている。 堀切を発車するとすぐに牛田駅、その間は700mしか離れていない。 牛田は京成線との連絡駅となっており、横断歩道を挟んで双方の改札口が対峙している。 但し京成側の駅名は牛田でなく「関屋」だ。 関屋は昔からの地名、「牛田」は農業用水の名前から来ているという説がある。

牛田駅前で線路を斜めに横断するのが第20号踏切、墨堤通りから分岐して北千住方面へショートカットするルートなのでかなり広い踏切道。 踏切脇では小さな社が交通の安全を見守っている。 さて、ここから次のカウント4,5へ向けて、1.2kmほど歩かねばならない。 左手に京成線の低い築堤を眺みつつ墨堤通りを進み、ビルの間を右に折れると次の踏切が見えて来る。 大きくカーブした上下線に挟まれる形で留置線が3本程ある大変長い踏切道、それが第21号踏切である。

牛田駅

Photo

自動改札の向こうに京成関屋駅入口が見える

伊 第20号踏切道

Photo

踏切のすぐ脇には東稲荷神社の小さな社が


伊 第21号踏切道

Photo

合計5本の線路を渡る第21号踏切


より大きな地図で 都心の踏切 を表示

そこを渡り、しばらく下町風の住宅地の中を進む。 人影は無いがどこからかお囃子の音が風に乗って響いて来る。 線路端に出るとその下を潜る煉瓦積みの古びた歩行者通路があったが、高さ1.6mだから大抵の人は頭をゴッツンコしてしまうだろう。 そんな裏道を散策しつつ最後に着いたのが「伊 第22号踏切道」、これが東武伊勢崎線のカウント5だ。

目の前には引上線を含む東武の線路が4本、踏切の向こうには地下鉄日比谷線の高架がその上に架かり、それらの背後には「つくばエクスプレス」の新しい高架橋が上空を通過、一番奥手にはJR常磐線の3本の線路を渡る「北千住一丁目踏切」があるという大所帯。 さらに地下には千代田線の線路もこの付近を通っている筈という忙しさなのである。 見ていると次々と色々な列車が行き交うのを拝む事が出来、飽きずについつい長居をしてしまった。 という事で、伊勢崎線のカウント5は浅草から約6.8km、奇しくも浅草~北千住間でちょうど5箇所の車道踏切があるのだった。

伊 第22号踏切道

Photo

この脇には駅ビル地下を通る迂回路の案内板もある

伊 第22号踏切道

Photo

東武、日比谷線、TX、その向こうに常磐線の踏切が続く


この先、東武伊勢崎線は高架の複々線となり、しばらくの間踏切は無い。 唯一、地上に降りる竹ノ塚駅前後に2つ程踏切がある(そのうちの1つはかつて竹ノ塚事故のあった第37号踏切)が、その先は複々線の終わる北越谷までの区間で連続立体化が完成している。 その距離は北千住から遥か18.9kmも先、JRを除く私鉄では日本最長を誇る複々線なのである。

東武伊勢崎線の踏切カウント5 「伊 第22号踏切道」浅草から約6.8km(駅数6)