塗装剥離(4)

IPA漬け開始から3週間ほど。一部に残る白とグレーの塗膜をブラシで擦るも、なかなか完璧にはおちない。塗料が充分に変質しておらず、まだネットリと弾性が残っている感じだ。そこで一計を案じ、歯ブラシの代わりにバルサ材の木片で擦るという手法を編み出した。細かい隅の方は無理だが、これで平面部に関してはほぼ綺麗にそぎ落とす事が出来た。

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だが作業の過程で油断したのか、ボディの弱い部分がパリっと割れてしまった。実際にパリっと音がしたかどうかは良く覚えていないが、そんな感触が手に伝わって来て「あっ!」と思ったが時すでに遅し。写真はボンドで修復後だが、塗装完了して組付けが終わるまでは注意して扱わねばならない。IPA漬けが長過ぎて素材を変質させてしまったのか?いや、元々弱い部分ではあるので、何か補強をした上で作業を行なうべきだったのは確かだ。何しろ連接車の模型では、妻板の無い部分が構造上の大きな弱点となる。

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シンナーの悲劇

Img_4844.jpg写真は Mr.COLOR のシンナーだが、左の青ラベルは普通の薄め液、右側の黄ラベルがエアーブラシ用だ。これらは単純に用途毎で濃度などが少し調整されているだけで、基本成分的には同じものと思っていたが、どうもそうでは無いようである。

事件が起きたのは、前回までIPAでおおよその塗装剥離が出来たが屋根の溝部がどうしても落とし切れないので、昔の様にシンナーで拭き取ろうとした時の事だ。たまたま黄ラベルが多めに残っていたのでそちらで作業に取り掛かった所、何だかやっているうちに屋根がベタついて来た。Mr.COLOR用なので溶けるわけないと思いつつ綿棒で擦り続ける事しばし... 「ん!?これは明らかに... 溶けている!」

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調べてみると、ラッカーシンナー程では無いが、黄ラベルはプラ素材を若干溶かすというタレ込みが...。危ない危ない、どぶ付けしてたらエラい事になっていた。幸い屋根上の模様を一部溶かしただけなので、塗装で誤魔化せるレベルで済んだのが救いだ。以降は安全な青ラベルに切り替え、無事に作業を完遂した。

割れた!

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そして、先頭部を磨いている最中に怖れていた事態が発生した。この割れ方は、間違いなく素材が侵されている証左であろう。とりあえず間にラッカーシンナーを流し込んで修復はしたが、IPAで全体にこの程度強度が弱っていると見るのが妥当な気がする。これ以上ボディに負荷がかかる作業はやめにして、早いとこ塗装を済ませてしまおうと思う。

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下地塗装

今日は天気が良くない筈だったが、予報が外れて晴れて来たのでおもむろにベランダで塗装を開始。この作業は土日の昼間しか出来ないから、延期すると一週間が無駄に過ぎ去ってしまう。塗装に先立ち全体を一度ウォッシングしたい所だが、素材が脆くなっている様なので、表面に付いている埃だけルーペで覗きつつピンセットで注意深く除去して済ませた。

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塗装内容はまだホワイトベースで下地を整える段階だが、塗り終わってみるとこれだけでもなかなかいい感じ。後からデビューするVSEの塗色を纏ったHiSE、といった雰囲気である。ここまでで一度仮組みを行ない、窓ガラスなどの嵌合具合をチェックした。

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塗装シミュ

基本色は決めたものの塗り分けをまだ考えていなかったので、本塗装に入る前にどうするか考えねばならない。前回、仮組み状態で写真を撮ったのは、塗装シミュレーションに使用する為でもある。ペイントツールを活用し、種々のパターンで色付けを行なってみよう。

ColorImage1.jpg1. 昨今の私鉄有料特急車両に多い、全身一色塗りのパターン。プレミアムカラーと銘打って、ハイグレードな雰囲気を醸し出すには良い手法であろう。

ColorImage3.jpg2. 運転室及び窓周りを白く、他を青帯で巻いてみたもの。色違いだが、HiSEオリジナルの塗り分けに似ているので、これはあまり採用したくないな。

ColorImage2.jpg3. 先頭部を除き、窓から上を白抜き。塗り分け段違い部の角アールは、1700形からの継承。他の画像もだけど、床に映ってる姿が白地のままなので、写真加工がバレる(笑

ColorImage4.jpg4. 上のパターンに近いが、窓周りのみを白抜き。こう見ると京急っぽくもある。こちらはスカートも露出させてみた。

ColorImage5.jpg5. ちょっと冒険気味だが、フロントを縦に塗り分けてみる。これはちょっとイマイチかな...。

ColorImage6.jpg6. 上と同じパターンで、正面をブラックフェイスに。シックでいい感じだが、電車接近を気付かれない危険性があるかも。

ColorImage7.jpg7. ならばと、思い切って警戒色を前面に。かなり奇抜だが、英国の電車でも良く見られるデザイン。てか、ライバルのBVEだな、この色の組み合わせは。

さて、最終的にどれを採用しようか?フリーな電車だと実車を追求する必要が無いので、ついついマスキングの楽な方向へと誘われてしまう傾向があるのだが...(笑)

本塗装開始

とりあえず塗り分けに影響しない部分から、エアブラシで本塗装を開始。地色はあくまでも白く、ボディ全体にスーパーホワイトを塗る。が、下地の目止め塗装にベースホワイトを吹いているので、色が被ってどこまで塗れているのか良く分からない。表面の光沢具合で確認しつつ、作業を進めた。

屋根は艶消し白に微量のグレーFS36081を混ぜて、限りなく白に近いグレーを調色したオリジナルカラー。これはボディの白を見た目で汚さない様にと配慮した結果だが、ちょっと白過ぎて遠目だと区別がつかない。クーラーや屋上機器類はこの色のままじゃちょっと不自然なので、後から色差しをしてやらねば。ホロは明灰白色が塗装剥離前の元々の色に近かったので、それをそのまま使った。

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マスキング

Img_4873.jpg車体の塗り分けに備えて、マスキングを行なう。使用しているのは普通にタミヤのマスキングテープだ。昨今はお洒落アイテムとしても注目を集めているマスキングテープだが、もちろん模型用のは絵柄など無い。トレーの端に貼ってあるのは、運転室後部境界に貼るテープの試作に使った雛形である。

塗り分けの角Rの箇所は、Φ3.5のポンチでテープを抜いたもの。ドアの段差部分はテープにカットを入れて、その上から2重貼りしてある。さらに隅に塗料が回り込まない様にマスキングゾルも併用するという、念の入れようだ。そんなこんなで、この日はマスキングだけで日が暮れてしまった。さて、このテープの貼り方を見れば、どの案が採用されたかは大体想像がつきますね。

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塗り分け塗装

Img_4888.jpgマスキングの出来たところで一週間寝かし(笑)、いよいよ青を塗り分けてみる。ブルーは最終的に発色の良さそうな「スージーブルー」を採用、パターンはシミュレーションをした中の 3.案をベースとして少し変化を加えた。その心は... 前面の塗り分けの難易度が高く思え、スッキリと仕上げられる自信が無かったのでその部分を避けた形だ。塗装結果は写真の通りで、念入りにマスキングした甲斐あり、ドア部の吹き込みもほぼ無くキレイに仕上がった。

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最終案の塗り分けシミュレーションも、事前に一応やってある。但し、実際に採用したブルーは結果としてこれより鮮やかになった。それと、ダブルデッカーの部分の処理も検討していなかったので、今回同時に行なった。

ColorImage8.jpg8. 前頭部の塗り分けを避けたパターン。塗分け線を前側ドアの後部で屋根まで持ち上げ、運転室もろともブルーに染める。運転室後部のマスキングも横一直線で楽勝だ。

ColorImage9.jpg9. 上のパターンに対し、前側ドアの上半分は白く塗る形に変化させたもの。こちらの方が明るく感じるが、運転室後部マスキングがカーブを描くのが少し面倒(採用案)

ColorImage10.jpg10. ダブルデッカーの塗り分け案その壱。段差部の処理は、先頭車両の塗り分けに準じてコーナーRを付ける形。窓周囲は連続窓風に黒染めとする。

ColorImage11.jpg11. ダブルデッカーの塗り分け案その弐。こちらは他車両との一貫性を考慮し、2階窓下に同じ幅で余白を残してある(採用案)


クーラー他塗装

その他の塗装だが、各車両のクーラーはダークシーグレー、先頭車のスカートはスーパーシルバー、これは当社1700形と同様である。クーラーは再び念入りなマスキングを施したが、スカートは別パーツなので塗り分けが楽ちんで助かった。

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ダブルデッカーの窓はそのままだと他の車両とバランスがとれないので、連続窓風に仕上げる為セミグロスブラックで周囲を黒染め。1階席の下のボディ裾部はグレーFS36081とした。

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パンタ、アンテナ

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誘導無線アンテナは、GMの京急600板キットに入っていたもの。流線形特急に続きクーラーに邪魔されて設置スペースが無いので、場所を離して置かざるを得なかった。それはいいんだがこのパーツ、取付用の足が無いので屋根にイモ付けなのである。接着以降は注意して扱わないと、ポロリと取れる危険性がある。

パンタグラフは、下枠交差式からシングルアームに換装。鉄コレ用のPS35Dは台座サイズがちょうど良さそうだったのでこれをチョイスした。元々付いていたパンタは中央のフックで留める構造だが、こちらは碍子部の足で固定するタイプなので、ピンバイスで4箇所×2両分の小孔を開ける必要があった。

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パンタ周囲の配線や機器類は、エナメルの筆塗り。これは、はみ出しても後からシンナーで落とせるからという理由に他ならない。