●私の紀行文創世記
パソコンの中をお掃除していたら、代々のパソコンで引き継いできた old dataの中に niftyというフォルダを見つけ、懐かしくて思わず開いてみました。そこに、昔毎日のように使っていた NifTermなるアイコンを発見し、起動したところまだ動き、その中には当時のログがいっぱい残っていたのです。
昨今はご存じない世代も多そうですが、これはインターネット普及前のパソコン通信の世界、富士通系で運営していたニフティサーブという、今で言う SNSです。そして NifTermはそのニフティを自動巡回するソフト、当時は常時接続なんて夢の話、これで読みたいフォーラムを一気に巡回してログを落として後でオフラインで読めるようにし、電話回線は切って通信料金を節約していたわけですね。
それでは、 当時在籍していた自転車系のFCYCLOというフォーラムから、私の投稿した小文を転載したいと思います。会議室名は「道ばた」、オフ会や個人ツーリングの紀行文を投稿するところでした。ヘッダの QWA00146は私の Niftyアカウント、OakBearはこのフォーラム内で使用していたハンドルネームです。私の紀行文、創世記はここで育まれたとも言えます。
01444/01448 QWA00146 OakBear 平日ポタリングの薦め(前編) ( 9) 95/10/28 22:36 ☆ みなさん、こんにちは ☆ 徳本峠へ行く予定が、休日作業のため参加出来なくなってしまった (T_T) の で、代わりの休みを平日にとってポタって来ました。全く、サーバーのお守りを してると、ユーザーが使わないときの作業って宿命ですかね。^^; □□□ 平日ポタリングの薦め(前編)□□□ 「それじゃ、行って来るよ。」と言って家を出る。門の外でいつもの向きとは 逆に曲がり、通勤する人達の流れに逆らって走り出す。スーツを着て、しかめっ 面で自転車を漕ぐ人達とすれ違うと、ちょっぴり優越感と申しわけない気持ちも あるが、その代わり明日の休みは出なきゃならないので、まぁ許してもらおう。 いつもは逆光で無彩色に見える景色も、走る向きが違うと順光となり、何かいき いきとして見えるのが嬉しい。 街を出外れるとパッと視界が開けて、一面の田んぼに出る。今日は風が強い分 空気が澄んでいて、奥多摩の山並みの向こうには富士山が頭を覗かせている。田 んぼには稲藁が干してあり、その間でスズメの一団がにぎやかに騒いでいる。し ばらく足を止めて、飽かず眺めていた。 笹仁田峠に差し掛かる。ここは典型的な片峠で、ちょっと登ってズーっと下る という、行きはヨイヨイパターンである。森の日陰に入ると空気がもうかなり冷 えこんでいる。スピードを出すと寒いのでソロソロと下る。 下り着いた所は岩蔵という。まだ東京都であるが、ウネウネとした畑と小川と 森に囲まれた山里、日本のパターソンの世界だ。鉱泉だと思うが、地図には温泉 マークも付いている。ここまで約15分、う~んなかなかローカルな場所に住ん でいるな... と再認識。 さらに小峠をもう一つ越して飯能へ出る。いつものお約束の場所で朝食。河原 の運動公園の一画、八高線の鉄橋が見える芝生の上だ。メニューは、ヘルシーな お粥。レトルトで、しかもあっためた袋からそのままむさぼり食う姿は、どう見 てもへるしぃとは程遠いが、家でトーストをかじってるよりは幾分ましか。八高 線の電化工事もだいぶ進んで、鉄橋にはもう架線が張られている。国鉄時代から の標準色である朱色のキハ35が見られるのも、あとわずかか。 入間川を渡って飯能から宮沢湖へ。いつもならカッ飛ぶ下り坂も、今日は人の いない歩道をポタポタと行く。高麗川駅に着き、頭のつきそうに低い連絡地下道 を抜けて、駅の裏手へ出る。ここから今日のメインディッシュが始まる。 01445/01448 QWA00146 OakBear 平日ポタリングの薦め(後編) ( 9) 95/10/28 22:36 □□□ 平日ポタリングの薦め(後編)□□□ 今日のメインディッシュ、そう廃線探検である。ここ八高線の高麗川と、東武 越生線の西大家を結ぶ貨物線が昔あったのだ。廃線歩きの楽しみは、何気ないそ こここの日常風景の中に、むかし確かにここに線路というしっかりしたものが存 在したという証拠を発見する瞬間にある。それが自然に帰する寸前で、目立たな ければ目立たないほど、発見した時の喜びは大きいのだ。 さて駅の北方から探索を始めよう。踏切から見ると、八高線と川越線が左右に 分岐していく真ん中に、架線のない線路が一本伸びている。これが件の貨物線だ が、レールの頭が光っている事から、まだこの区間は現役である事がわかる。し かし、列車は滅多に通らないのだろうか、その線路の上をサラリーマン風の背広 の男が歩いて来て、踏み切りから道路へ出ていった。さすがに自転車では真似す るわけにもいかず、道路を迂回して先へ行ってみる。 少し先で再び線路の方へ近づいてみると、そこは日本セメントの巨大コンビナ ートの入口であった。線路は堂々たる複線になって、その正門脇から工場の中へ と吸い込まれていた。ここは入るわけにもいかないので、横道を走ってコンビナ ートの裏手へまわってみる。 あるぞあるぞ、小高い築堤が工場の裏手に続いている。ちょっと周りを気にし ながら、自転車を置いて上によじ登ってみる。線路はあったが、さっきと違って レールが錆び放題、こちら側は使われていない様だ。さらに築堤沿いをもう少し 進んだ所で又よじ登ってみたが、もう線路はなくて、雑草が晩秋の陽射しを浴び ているだけだった。 さらに先へ行くと、築堤は段々と地表へ下りて来て、畑の中をまっすぐに進ん で行く。線路跡を走れれば早いのだが、ほとんどバリケードで封鎖されているの で、あぜ道をあっちへ行ったりこっちへ来たりしながら追っかける。木の上で大 きなカラスが「カァ」とバカにした様な声を上げる。全く、何でこんな事やって んだろうと、我ながら思ってしまう。この区間での収穫は、枕木の残骸が井桁に 組んで放置されてるのを発見した事だった。 線路跡はやがてゆるくカーブした先で、東武線へと合流していた。西大家の東 方、地図で変電所のマークのあるあたりだった。ほぼ、100%トレース出来た ので、満足して帰途に就く。近くばっかり見ていたが、気がつくと、遠くに奥武 蔵の山並みが連なっている。高指山の目印のパラボラも良く見える。帰りも飛ば さずに行こう、あの山の麓あたりで紅茶でも沸かすとするか...。 o o ('・') OakBear(QWA00146)お気づきかも知れませんが、東武沿線廃線めぐり(その2)はこの投稿をベースに後日再構成して書き起こしたものです。
以上、20周年を記念したコンテンツ特集でした。コメントやご感想などありましたら、下記リンク先のブログ記事コメント欄へお願い致します。
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