サイドストーリー(1)
駅前バス停と本屋さん
最近整備された小さな駅前ロータリー、元々は個人商店などが集まっていた所を整理して無理に作ったもんだからとても狭い。その結果として、乗り入れるバスは小型でここを転回可能なサイズに限定される事となったが、現在は大手電鉄系統のものと他に第3セクターのコミュニティバスの2社で運行されている。地域の足として、地元の人には下駄代わりのようなう感覚で便利に利用されており、キャパは少ないものの至って好評のようだ。停留所名はそのものズバリで「青砥ヶ谷駅前」となっている。
一方で、駅所有者しもてつのグループ会社である東葛バスが駅前に入って来られないのは、まだこの路線専用に小型車を用意する予算が足りないから、という理由なのは少々情けない気がする。東葛の路線バスは大型車のままなので、相変わらず表通りの「青砥ヶ谷駅」で停車し、利用者はそこから歩いて駅までやって来るのだ。だから本来だったら駅前広場が出来た時に、東葛は「青砥ヶ谷駅入口」あたりにバス停名を改称しておいた方が良かったのにと思う。
ちなみに、東葛の路線は駅入口にある「青砥ヶ谷駅」が終点ではなく、もう一つ先の「青砥ヶ谷」という停留場まで行く便もある。ロータリーの「青砥ヶ谷駅前」と大通りの「青砥ヶ谷駅」、さらに線路を越えた先に駅から離れた「青砥ヶ谷」という停留所があるからして、初めて乗る人には大変紛らわしい。終点の「青砥ヶ谷」は元々工場地帯で最近出来たシティホールの最寄りでもあるのだが、誤って手前のここで降りてしまう人も少なからず存在するようだ。
ところで、停留所の目の前には小さなドラッグストアと、その2階にこれまた小さな書店が店を構えている。バス待ちの時間つぶしにはちょうど良いので、この本屋さんで立ち読みをしてゆく客も多いみたいだが、偏屈な変わり者で知られる店主は特に諌めるでもなくむしろ人が入って来るのを歓迎している様子。昨今はネットで書籍を手配してしまう人が多いから、書棚を見て実際に本を手にする事から得られる新しい発見と出会い、そういった機会を大切にしてもらいたいと考えているらしい。店名の「閑窓堂」は、人里離れた静かな庵の窓辺で一人静かに本を読む、という意味の熟語「閑窓読書」から来ているそうだ。
コメントする