Photo

 日ごろ山野を駆けまわってばかりのこのテーマ、たまには都心に出没するのも良いだろう... という事で、やって来たのは新宿副都心。皆さんもきっと何度かは歩いた事があるかと思いますが、西口の高層ビルひしめく一帯にも、かつて線路が延びていたのです。
 ご存知の様にここはビル群の出来る前、東京都水道局の浄水場があった場所。その地名は某カメラ店にも使われて今や全国区ですが、この淀橋の地に1898(明治31)年開設された淀橋浄水場は、その後67年間にわたり都民の水を一手に引き受けて来ました。その浄水場内にも、昔の地図を見ると三鷹の境浄水場の様にかつて引込線が延びていたのがわかります。で、この地図を現在の新宿西口エリアにコンピュータ上で重ねあわせてみると、おぉ、ここが線路であったのか!という驚愕の事実(おおげさ)に気がつくのです。



Map
国土地理院発行1/5万地形図「東京西北部」S.4
Map
現在の西新宿一帯
(茶色の線が浄水場の引込線跡)

 重ねあわせの方法ですが、ビル街のあたりは大規模に道が変わっているので、周辺のわりと昔から不変と思われる交差点をトンボでマークし、それを基準としてトライしてみました(左図赤マーク)。これでスケールを合わせ、Paint Shop Pro のレイヤー機能で半透明にし、現在の地図にマークした同じ場所とトンボが一致する様に微調整。その結果から描き起こして堂々完成したのがこの自作地図(右図:原版はもっと大きい)であります。早速これをプリントし、都心への買い物ついでにあたりを歩いて来ましたので、以下若干の写真と共にレポートします。





Banner 副都心の廃線跡
Photo
Photo.1
分岐点付近。左手は中央線、山手線。


Photo
Photo.2
直線部の路地を行く。

 新宿西口を地上へ出て大ガード西の交差点を渡り、まずは大久保駅の方へと線路沿いの路地を歩いて行きます。脇を走る中央線の線路がぐぐっと西へと向きを変え、その上を山手線が高架で乗り越して行くあたり、地図によればここらが引込線の分岐していた場所です。心なしか道路がわずかに分岐に引っ張られて湾曲してる様に見えますが、地図上でもこのカーブはピッタリと一致しているので、位置的に間違いはないでしょう。(Photo.1)
 線路跡、というか跡と同じ場所の街路を歩いて行きます。新宿の駅前からすぐの所にいるわけですが、一本裏通りに入るとこんな静かな場所があるのですね。日陰の路地の向こうに、白い大きな高層ビルが何本も光っています。(Photo.2)
 これもランドマークとなる常円寺の脇を抜けると、青梅街道の「新都心歩道橋下」交差点に出て来ます。歩道橋が交差点の名前に冠せられているのも笑ってしまいますが、さすがにそれだけあって大規模な歩道橋です。その上に立って眺めると道路は大きな川のようで、彼方にその流れの上を新宿駅に出入りする電車が大ガードで渡って行くのが見えます。
 右手を見れば、対岸に山脈峨峨として相ひ連なり、いゃ山脈というか絶壁ですね、ビルの。歩いて来た左手を振り返ると、線路跡の路地が真っ直ぐと青梅街道に向かって来ているのが見えます。(Photo.3)

Photo
Photo.3
新都心歩道橋から路地を振り返る。
ButtonNext

ButtonBack to Rail Page