Banner 副都心の廃線跡


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Photo.4
センタービル北側を行く。


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Photo.5
三井ビルの地下広場。

 当時は踏み切りで渡っていたんでしょうか、その青梅街道を越えた先から、線路は今の安田火災ビルの前をゆるい右カーブで回り込んで行きます。その安田火災ビルの前には、リクルートスーツに身を固めた女子大生と思われる列が出来ていましたが、会社説明会でもあるのかな。華やいだ雰囲気の中にも、何やらピンとした緊張感が周囲にまで漂って来ます。
 その列の前を過ぎて、新宿センタービルの方へと向います。ここからは浄水場の敷地内に入り、終端点までほぼ一直線。センタービル前は北側のロビー、あるいはその前庭あたりを突き抜けていた事になるのですが、特にこれといった遺構は残っていません(あたりまえ)。(Photo.4)
 この付近、現在の各高層ビルは浄水場の濾過池の底から建っているような恰好になるので、地平面と一階が一致せずにかなりややこしい事になってます。当事の線路は当然地上(池の淵)ですので、良くテレビのロケなんかで使われている、南北方向の高架(というか地上)道路が同一面となるかな。

 次の新宿三井ビルは敷地に対して北寄りに建っているため、線路跡はビル南側のテラス付近。このビルは地下広場がそのまま吹き抜けとなってオープンカフェしてるので、近在の勤め人たちにとっては昼休みの憩いの場、私も何度か白いチェアにはお世話になった事があります。(Photo.5)
 線路はここにくつろぐ人たちを見下ろしつつ、上のロイヤルホスト/シズラーの裏手を通りぬけ、隣の住友三角ビルへと続きます。(Photo.6)

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Photo.6
廃線跡はビルと右手別館の間あたりか。
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Photo.7
地下通路は煉瓦積みポータル風。


 この住友ビル、実は以前うちの本社オフィスのあった場所でして、また大手コンピュータ会社のショールームなんかも入ってたりして、ビジネスでは何度も通った経験があるんです。引込線はここの中空を渡っていったわけですが、ほぼその位置と思われる場所の下には煉瓦積み複線断面(笑)のトンネルが顔を覗かせており、隣の三井ビルからの通路となっています。(Photo.7)
 そこからビルの三角を 2/3ぐらいスパッっと貫いて、線路は反対側へと抜けて行くのですが、その近くには浄水場跡のモニュメントがひっそりと佇んでいました。これはその当時使われていた蝶型弁だそうで、中を覗き込むと確かに分厚い円盤がちゃんと回るようになっているのが見て取れます。弁には「昭和12年」の刻印、壁には「東京水道発祥の地」の解説板が嵌め込んでありました。(Photo.8,9)

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Photo.8
これが浄水場時代の蝶型弁。
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Photo.9
中を覗くと頑丈そうな弁が見える。
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Photo.10
左がハイアットホテル、右が第一生命ビル。


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Photo.11
公園通りを渡った左手が新宿中央公園。

 さて終着も間近になって来ましたが、お隣りの敷地はホテルセンチュリーハイアットと第一生命ビルの間を擦り抜けていた事になります(Photo.10)。この路上を歩いていたところ、ふいに背後から若い女性の声で「ねぇーん、安田ビルってどこぉ」と後ろにハートマークでも付きそうな声色で問いかけが。振り返ると、真新しいスーツを着込んだ女性が携帯で電話しながら、小走りで私を追い抜いて行きました。きっとさっきの行列につくのでしょうが、迷子になって彼氏にでもHELPを求めてたのかな。学生の皆さん、下調べは念入りに。
 ハイアットを過ぎると道路を一本隔てて、新宿中央公園へと至ります(Photo.11)。引込線もここまでで終点、写真を撮ろうと行ってみましたが公園の北側芝生は人口密度が高くて、とてもカメラを出す雰囲気ではありません。かわりに南の方へと周ってみましたが、こちらには富士見台という高台があります。何でも浄水場の沈殿池を掘った時の土を盛り上げて作った山だそうで、頂上にある六角堂は、施設全体が見渡せる見学者のための展望台だったとか。きっと眼下には、モクモクと煙を吐いて引込線上を走る機関車も見えた事と思います。(Photo.12)

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Photo.12
富士見台の六角堂は木々に覆われていた。

 しかしこの引込線の敷設された目的は何でしょう。浄水場建設のため?あるいは濾過に必要な砂利等を搬入出していたのでしょうか。その辺まではまだ突っ込んで調査していませんが、ここ淀橋浄水場や玉川上水、さらには水道全般にまつわる歴史等と共に皆さんも調べてみると良いかも知れません。幸い都内には東京水道歴史館という入館無料の施設もありますので、一度訪れてみてはいかがでしょう。場所はどこ??それはもちろん「水道橋」(^^;)ってわけで、おあとがよろしいようで。。。


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