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さてお昼時なんだけども、高松と来たら「うどん」。 だがどちらかと言うとそば派の私、勿体無い事だがうどんに対してはあまり執着心が無い。 何を食べようか考えながらうろついていたら何故かカレーが頭から離れなくなり、そのまま駅ビル2階レストランの扉を押した。 ここは高松駅改札の真上のような位置にあり、窓際のカウンター席では眼下のホームに着発する列車の先頭部を眺めながら食事が出来てお勧めである。 連絡船のあった時代は知らないが、船から降りて来た乗客達は列車のズラリと並ぶこんな光景を目にしていたのだろうか。

午後の行程に入ろう。 築港駅から瓦町まで戻り、ここからは志度へ向かうお楽しみなひと時である。 志度線は以前は他の線への乗り入れ等もあったらしいが、現在は線路が分断されて琴電の他路線からは孤立している。 瓦町駅の乗換えも、長い動く歩道をつないでいった先の独立したホームだ。 この線の車両は名古屋地下鉄から持って来たものだが、待っている電車に乗り込んでみて「おっ!」と思った。 左右から迫り出しているロングシートに挟まれ、中央の通路が明らかに狭いのだ。 両側に人が座っていると、何となく膝突合せたような雰囲気になっている。 車両限界が他路線と異なる為だが、これはこの線の生い立ちによるものか?

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高松駅ビルにて食事中

志度線は高松東郊の街区をカーブを繋いで走り抜け、河口や運河に挟まれつつ鉄橋を渡って琴電屋島に着く。 ここは屋島山上へ行くケーブルがある。さらに進むと、そのうちに国道を挟んで右手から高徳線が寄り添って来る。 このあたりで両線を連絡する駅は八栗新道だが、高徳線の方の駅名は讃岐牟礼となっている。 その高徳線が一旦離れて行くと塩屋駅で、ここからが志度線のハイライトだ。 目の前に海が迫り、そこへ真っ直ぐに飛び込んで行くような線路。 だが、ギリギリで右へ急カーブを切って岬の鼻の先を回り込み、そこからしばらく海岸に沿って進む。 短い間ではあるが、足元を波に洗われそうになりながら行くこの区間の車窓はなかなか見ものだ。

終着の琴電志度駅は1面2線で小じんまり。 駅舎は木造だが、パステルカラー調の水色に塗られていてあくまでも明るいイメージである。 実はここからJRの高徳線に乗って2区間程行くと造田という駅があり、そこは琴電長尾線の終点「長尾駅」から3km位の位置になる。 タクシーか何かで繋げば大分ショートカットになるのでちょっと考えていたが、せっかく琴電のフリー切符もあるしやめておこうか。 そんな事を思いながら駅前であたりの写真を撮っているうち、発車の合図が鳴ったので慌てて折り返しの電車に駆け込んだ。 というわけで、復路も志度線の海岸風景を楽しみつつ瓦町まで戻り、そこで乗換えて長尾線へ。

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瓦町で長尾線へ乗り換え

琴電は路線毎に車両をラインカラーで色分けしているが、今度の電車はクリームに胴体が緑色。 この塗り分け…、どこかで見た事があるように思えるのは気のせいか。 私の乗った600形は志度線と違ってドアステップ付きだった。 やはり琴平線とか長尾線の方が、志度線よりも車両限界が広いのだろう。 長尾線も高松自動車道の前後にかなり長い距離の高架区間があり、こちらは単線仕様だったものの予想外の存在で驚いた。 その間には小さいが一応高架駅も存在し、近代的な郊外路線というイメージがある。 終点の長尾駅は長尾寺の最寄りとなっており、この寺への参拝客輸送が路線開業の目的の一つであったようだ。

長尾線を一往復して三たび瓦町へ戻って来たが、まだ投宿するには少し日が高かったので、車両基地のある仏生山駅まで足をのばしてたくさんの電車を見て来た。 もうここまで来ると電車でおなか一杯、普通は栗林公園か高松城あたりを観光するんだろうが…。 満腹ついでに瓦町駅で下車し、琴電一番の大規模な拠点駅も観察しておいた。 伊予鉄の松山市駅も相当なもんだったが、この瓦町も何せビルの横っ腹から4方向に鉄道線路が飛び出しているのだから、なかなかに凄い光景だ。

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京王と京急の顔合わせ

せっかくなので駅の上の天満屋で少し買い物をしてから外に出てみたら、南側の線路が出て来るあたりはその真上がデッキ構造の遊歩道になっている。 これがちょっと不思議だったのだが、調べてみるとこの駅ビルは将来の高架化を視野に入れた構造になっているらしく、してみるとこれは直上高架なのだろうか。 そう言えばビル内のエスカレーターも、ある階の所だけ異様に長かったような気がする。 駅構造に充当するフロアは天井が高く作ってあるという事か。

最後に高松築港まで乗って今回の琴電は目出度く乗り収め。 宿へ入る前に少しあたりをブラついて来るかと、一人、港の方へ歩いて行った。 高層なビルの林立するこのブロック、さすがに高松は四国きっての都市だと感じさせる。 JR高松駅脇には隣接して大きなスーパーを発見したので、後で酒のつまみでも買い出しをしよう。 歩いていると遠くから何やらごきげんな調べが聞こえて来るなと思ったら、公園の野外ステージで「サンポート・ジャズ・フェスティバル」というのが開催されていた。 休憩がてら少しベンチで聴いて行こうか。

思えば駆け足で慌しかったが、この二日間は私鉄電車ばかり乗りつぶしの日々。 移動に使ったJRの方も四国は気動車のイメージが強かったのだが、こと北半分のエリアに関しては電化が進んでおり、考えてみるとこの旅で乗ったのは全てが電車だ。 往路も電車寝台だったし、明日も普通電車を乗り継いで高松から東京まで帰るので、全くもって今回は電車三昧の旅だった。 暮れなずむ港の公園でしばらくそんな事を考えていたら、BGMのバンド演奏が段々と頭の奥で反響し合い、ちょっと心地よい夢を見ているような気分になった。 さて、そろそろ宿に向かうとしよう。 場所はさっき通りがけに見かけたので大丈夫…。

 おわり
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