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草生す線路の風景

頭上のスピーカーから急に女性の声で「社長、お電話です」。するとその男性は「じゃ」と片手を挙げ、唖然とする私をその場に残し、建物の中へ消えてしまいました。そんなわけで、ここで何を作りどんな荷物を運び出しているのかは、残念ながら聞きのがしてしまったのです。



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しばらくホーム上に佇んでいましたが、当然列車の来る気配などなく、陽炎の向こうにひょろひょろと延びる線路が揺れています。反対側を見ると、深くて底まで見えないものの、どうやら線路は小さな流れを鉄橋で渡っているようです。ホームを降り、工場の正面へとまわって見ると、看板には「シモウサ エレクトロニクス」と書いてあり、「SRRグループ」の文字も見えます。電鉄のグループ会社と言う事は、車両関係の部品でも作っているのだろうか。それとも...。



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産業道路の歩道をもう少し進むと、工場の向こう側にこんもりとした緑の一角が見えて来ました。そこは短い緑道になっており、その尽きる所から先がさっき見えた流れになっています。という事はどうやら水路はここから上流で暗渠になっており、その上部が公園として整備されたという事か。緑道は行き止まりで柵があるけど、脇には踏み跡があるのでままよとそこを乗り越えてみました。



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その先はちょっとした空地になっており、むっとした草いきれを感じつつ歩を進めます。草地の向こうには檸檬色の二階家が見え、その手前を線路はカーブして通過していました。近寄って行くと、線路の周りには何やら箱が並べてあり、野菜だの草花だの色々な物が植わっている。いくらなんでも線路敷にこういうのはまずいだろうと思われますが、レールの間まで草ぼうぼうだし、列車も長い事通ってないようなので、大目に見られているのかも知れません。



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