京王線の次に向かったのは、西武拝島線の「西武立川」駅。 ここは本来なら最後の落ちにとっておきたい所だが、八王子から拝島は八高線で3駅なので、帰りに寄って来た次第。 種を明かすと、乗り換えられない駅として地元ではつとに有名な場所である。 西武立川とJRの立川駅、同じ立川市内の駅同士ではあるが、その間は直線距離でも5km以上離れている。 JRの方は市域の中央やや南に位置するのに対し、西武の駅はほぼ西端部でお隣の昭島市との境界付近に位置するのである。 身の回りでは立川駅と言えばもちろんJRの立川の事を指し、西武立川が話題に上る事は殆ど無いのが実情だ。
島式ホーム1面2線の西武立川駅。7年ほど前に橋上駅舎化され南北を結ぶ通路が出来た
拝島線のスマイルトレインが拝島を発車すると次はもう西武立川、普段はまず降りる事がないが、今日は晴れて目的地の駅となった。 久々に降りてみると駅は橋上駅舎となり、北口も開設され、周辺環境も大分変わっている。かつて駅前には何もなく、広大な空き地の中を柵に囲まれた細い道が駅と表通りの間を繋いでいた。 現在はようやく開発も進み、駅前には広場を囲むようにショッピングセンターやコンビニ、高層マンションなども立ち並んでいる。
駅前には大型スーパーやコンビニ、マンションなどが立ち並び、すぐ南には広大な昭和の森ゴルフコースが広がる
上とほぼ同じ構図の15年前。地上駅舎に跨線橋、駅前は雑草の生い茂る空地。当時から変わらないのは送電鉄塔くらいか…
さて、ここで感慨に耽っている暇はない。立川駅を目指して歩き出すのだ。 駅前から表通りに出て左へ少し歩くと、右手から斜めに玉川上水が寄り添って来る。 本日は何かの大会が行なわれているらしく、リュックを背負った大勢の団体が上水沿いの散策路を歩いていた。 そして、すぐ先の交差点「松中橋」を右に折れて上水の上を跨ぎクランク状に進むと、小さな流れの脇を行く細い車道となる。 この水路は玉川上水の分水の一つで、「砂川用水」と呼ばれている。 用水の向こうはグリコ乳業の工場、構内にチラリと見える胸像は、創業者江崎氏のものだろうか。 道はずっと真っすぐに街中を進むが、すぐ脇を流れる用水の両岸だけは草が生い茂っており、そこだけ眺めると田園を流れる小川のようで癒される。
画面奥の信号が松中橋交差点。人々の歩いているのが玉川上水沿いの遊歩道で、柵の向こうが上水の流れ
松中橋交差点から斜めに分岐する道に入る。並走する砂川用水の両岸だけは緑があってホッとする
しばらく歩くと大きな通りに突き当り、そこは多摩大橋通りであった。 信号を渡ると車道は無くなるが、歩行者道のみがスーパーの脇を抜けて行く。 用水も姿を消してしまい、このあたりは暗渠となっているようである。 すぐにまた車道と突き当り、目の前には「西武蔵野」バス停、西武と勘違いしそうな名称だがもちろんそうでなく、立川バスの停留所だ。 目の前が開けたなと思ったらそこは旧米軍基地跡に出来た広大な公園、ちょうど中神駅から延びていた陸軍航空工廠線の終端部があった辺りとなる。
多摩大橋通りは車の往来がとても激しい。信号の先は歩行者専用道路となり、砂川用水も見えなくなる
歩いて行くと「西武蔵野」バス停前に至る。もちろん「西武・蔵野」でなく、「西・武蔵野」である
基地跡の外周道路を進む。道路向こう側公園内には廃線跡のモニュメントがあるそうだが、本日はスルー
だいぶ暑くなって来たので先を急ごう。 基地跡の外周道路を東へ進むと、いつも流れの無い残堀川を渡る。 私は一計を案じ川沿いの遊歩道を南下、やがて目の前には入場門が見えて来る。 そこは昭和記念公園の「玉川上水口」、ここから公園内をショートカットして立川駅へ向かおうとの魂胆である。 乗り換え連絡としてはギリギリ自分のルール内、目的地へ向かう有料道路の様なものと考えた(笑)
昭和記念公園には6つの入口があるが、その中でもここは駐車場が無く割合ひっそりとしている
入園料は値上がりしたばかりで450円(旧410円)、子供は無料(旧80円)となっている。 中に入ると、森林の間を抜けて行く遊歩道が心地よく、外界とは別天地だ。 昭和記念公園も、青梅線の駅から近い南半分は頻繁に訪れても、なかなかこの最奥部まで足を運ぶ人は多くないかも知れない。 私は一度、ここよりさらに北側の「砂川口」から子供連れで入園した事がある。 その時にここらも散策をしたようで、そこここに設置されている遊具などに何となく見覚えがあった。
園内の北部、こもれびの丘やこどもの森があるあたりは樹木が多く、武蔵野の雑木林をさ迷っているような感覚も
ネモフィラが咲いていたのは、残堀川を渡る「もみじ橋」のすぐ北側にある花壇。華麗な花の青い絨毯が見事だ
地図上でL字型に延びる敷地の足の部分にカナール(静水路を配した庭園)がある。正面奥が立川口ゲートとなる
気持ち良い木漏れ日を浴びながら進んでゆくと、段々と人影が多くなる。 青い可憐なネモフィラの絨毯には多くの人達が集まり、さかんに写真を撮っていた。 昨今人気のあるひたち海浜公園には比べるべくもないが、狭いエリアながらなかなか華やかな眺めだ。 バーベキューを楽しむ人達を見ながら歩を進めるうちお昼近くなり、こちらもお腹が減って来た。 カナール前の木陰でベンチに席を取り、買って来たお握りを一人頬張る。 食後もしばらくプロムナードを散策する来園客の姿を眺めつつ、しばらくマッタリとしていた。 こうしていると、自分がいま乗り換えの最中なのだとはとても思えない(笑)
昭和記念公園のメインゲートとなる立川口であるが、ここから駅へはまだ大分歩かなくてはならない
ゲートを出てもまだ公園の限りなく広い敷地が続く。ここは入園料無しで市民が憩えるエリアだ
さらにまだまだ続く昭和記念公園だが、ようやく行く手に立川駅前のビル群が見えて来た
立川口のゲートを出てもしばらく余韻のように緑地帯が続き、まだ公園の中にいるかのような錯覚を覚えるが、実はここも昭和記念公園の一部(無料エリア)である。 遠くに立川駅前のビル群が見えて来ると、ようやくこの長~い乗り換え行路も終演の時を迎える。 信号を渡ってシネマシティ脇からモノレール下のサンサンロード(立川都市軸)に出ると、もうそこはいつもの買物エリア。 デッキに上がり、モノレールの立川北駅下を抜ければ、目の前が立川駅となる。 途中、休憩したりお昼を食べたりで、タップリ2時間かけた優雅な乗り換えとなった。
多摩都市モノレールに沿って駅前市街地の南北を貫く自転車・歩行者専用道。右手はシネマシティ「シネマ・ツー」
ようやく乗換先の立川北口駅前に出た。駅ビル「ルミネ立川」の中を潜る南北自由通路に「東改札」「西改札」がある
せっかくなので駅正面まで行きたい所だが、モノレール寄りに最近出来た「北改札」がホームまで最短で便利
所要時間 | ★☆☆☆☆ | 地図上約1時間15分(探索含め今回約2時間) |
便利度 | ★☆☆☆☆ | 乗り換えてはいけないww |
面白度 | ★★★★★ | 450円で昭和記念公園を満喫! |