June, 2010

京成電鉄

京成電鉄は千葉県下ではまだ本線上でもいくつか構内踏切を抱えているが、こと都内区間となると残っている駅はたった一箇所のみである。 京急線の訪問を終えた後、そのまま地下鉄浅草線で繋がっている京成へと足を向けたのは自然な流れだが、その途中で少し気になる駅、押上線の「京成曳舟」で下車してみた。 ここは以前、白髭線跡を探索する際に訪れているが、現在、付近の連続立体化工事が進められており、この駅もやがて高架上へ上がる事になっている。

今回下車してみると下り線は既に仮線に移動した後の状態で、ホームも仮設のものに置き換えとなり、上下線の間に挟まれた格好で上り仮線の建設が進められていた。 この駅のホームは昔から生半可な狭さでないのは周知の事実だが、仮設されたそれは以前より若干奥行きに余裕が出来たような気がする。 高架駅になるとホームは多少広くなったりするのだろうか。 いや、そもそも高架であの狭さだったら、恐怖感はより一層増す事だろう。 しかし、対向式の狭いホーム全ての先端に小さな改札口を持つこの駅は、都内でなかなか特異な存在だったと言えるのではないかな? 

京成曳舟駅

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踏切を挟んで両側に小駅舎。ホーム逆端の踏切も同じ

京成曳舟駅

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上り線の仮ホームを建築中


京成高砂駅

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上空を過ぎる金町線の高架(2009/09撮影)

京成高砂駅

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工事中の金町線用改札口(2009/09撮影)


ひとしきり観察を終えて、本日の本題駅へと向かう。 地上3層構造のはしりとなった青砥駅を経て京成高砂へ、ここで乗り換えて目指すはお馴染み柴又駅だ。 高砂では現在、成田スカイアクセスがらみで金町線ホームを高架上へ分離して逃がす工事が行なわれている。 今回改札を出なかったので写真は以前撮影した時の状況だが、7月の開通に向け今はもう少し工事が進んでいるものと思う。 懐かしい鋼体車の3300形金町行きに乗り高砂を発車すると、向かいのホームに試運転中のスカイアクセス仕様3050形が走り込んで来る姿がチラっと見えた。

私の乗った電車は高砂車庫の脇をかすめてカーブを切り、すぐに柴又駅に到着。 連休中という事もあり、非常に多くの客が電車から降りて改札口へと向かう。 …が、その手前で構内踏切の遮断機が乗客達を通せんぼするのもお約束の光景。 ホームの階段を降りた人達は、おとなしく、発車して行く電車が通り過ぎるのを待っている。 電車が金町方面へ去ってしまうとようやく遮断機が開き、広い踏切をゾロゾロと渡って行く参拝客の人波。 これまで見て来た中で一番賑わっている構内踏切を目にして眼福の至り、人知れず嬉しくなる光景ではある。

柴又駅

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電車が通過するのを待つ乗客

柴又駅

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踏切が開いたら民族大移動


ここまで来たからには帝釈天にお参りしないわけにはいかないだろうという事で、人ごみに揉まれながら参道に向かって歩を進める。 駅前の小広場にはこちらもお馴染み寅さんの像があり、携帯をかざす人達が幾重もの輪になっている。 駅前から帝釈天に至る参道の距離は短いが、途中を柴又街道の狭い車道に分断されており、信号待ちの間にたまる人波が混雑に拍車をかける。 歩道から溢れそうな人達に注意しつつ通りを走って行く京成バスの青い塗装が懐かしい。 参道の両側にはお土産屋さんが並んでいて、「男はつらいよ」で撮影に使われた高木屋をはじめ、映画で見おぼえのある街並みが続いている。

柴又駅前

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相変わらず寅さんの人気は高い

帝釈天参道

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参道の途中に柴又街道の信号がある


帝釈天参道

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この人ごみを見よ!

柴又帝釈天

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ようやく帝釈天境内へ


段々と前に進めなくなって来る程の人混みになるが、満員電車のようで足の踏み場も無いとはこの事か。 今でさえこれだから、大晦日や初詣の時期なんかはきっとパニック寸前の状況に違いない。 ひょっとして、行きか帰りの客を外の道に逃がすように一方通行をしたりするのだろうか。 門を潜って小広い境内へ入ると、ようやく人混みは一段落して地面が見えるようになった。 柴又帝釈天と呼ばれているがここの本名は題経寺、その本堂は靴を脱いで上がり、渡り廊下で繋がった回廊や庭園巡りが出来るようになっている。 しかし、順番待ちの長い列が出来ているので私は階段下の賽銭箱でお祈りを済ませ、そのまま引き返して来た。

駅前の広場で改めて駅舎を観察してみると、新しいながら純日本風の装飾を取り入れた建物で周囲の景観に良く溶け込んでいる。 改装時に山田洋次監督の提案もあり、このような形態になったらしい。 「男はつらいよ」シリーズの撮影にあたり監督は古い電車を撮りたがったというが、電鉄側は、なるべく新しい車両を画面に入れて欲しい旨の要望もしていたようだ。 そんなエピソードが「源公」こと、佐藤蛾次郎さんのインタビュー記事に載っていた。

柴又駅

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年末年始対応か、構内踏切はかなり幅広い

柴又駅

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向うのホームに金町行き電車が到着


柴又駅

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電車が着くごとに雑踏を極める改札口

金町方面< [ 柴又駅模式図 ]>高砂方面 Image

柴又駅で帰りの高砂方面行きを待っている間に、乗客で一杯になった逆方向の電車が向かい側のホームに入って来た。 金町線は今の時間一編成での線内折り返し運用で、この電車が次駅の金町まで行って戻って来るのだ。 もう午後の陽も傾きかけている時間帯にもかかわらず、まだまだ多くの人達が降りて来て柴又界隈の人気の高さを物語っている。 電車が金町へと走り去った後、自分が待っているこのホームにも、続々と参拝を済ませた帰り客がお土産を手に戻って来て溢れるような活況なのである。