北陸鉄道石川線 鶴来〜加賀一の宮駅間
訪問:2014/03 | 掲載:2014/04
北陸鉄道石川線に乗った際に、2009年の廃止区間である鶴来〜加賀一の宮駅間を散策して来た。 この区間は元々金名鉄道が1927年に開通させたものの一部だが、開通2年後、多額の建設資金で負債が膨らんだ為に金沢電気軌道に売却されてしまう。 両社は1943年に北陸鉄道として合併するが、金名線となった加賀一の宮〜白山下の間は1987年に廃止、石川線に編入されたこの区間のみ生き長らえた。 その忘れ形見として残った鶴来〜加賀一の宮駅間も、その後約20年を経て廃止されてしまったわけである。
この日は石川線乗車ついでの探索で、帰りの電車まで時間の猶予は75分。距離的には2kmほどだから鶴来駅前から余裕で歩き出す。
広い駅構内を右手に眺めつつ川沿いに少し歩き、コの字に2回右折すると鶴来駅を出て来た線路が踏切となっている。レールはその手前でプッツリと切断されていた。
もちろん踏切は閉鎖されて警報機も無いが、その先はまだレールや架線も残っており何も撤去されていない状態だ。
発電のために設けられた手取川の分水を渡る部分にも緑色のガーダー橋がそのまま残っている。良く見るとその向こう側にも橋が並んでいるが、大分昔に廃止された能美線のものらしい。
鉄橋を渡ると90度以上左にカーブし、加賀一の宮へ向けて直線的に進んで行く。彼方には雪を頂いた山脈が連なっている。
線路が病院の脇を抜けた先には中鶴来駅の小さな単式ホームが残っていた。金名鉄道開通時からの駅だが、設備は新しく改修されたもののようだ。
線路わきに隣接する製材所らしき古い工場。奥手にホーム跡のような擁壁も見かけたが、貨物用の側線でもあったのだろうか。
用水と手取川に挟まれた半島状のエリアを進む。彼方のローゼアーチは用水が手取川を渡る水路橋だ。このあたり線路は枯草にすっかり覆われた。
線路は手取河畔に出て風景が開ける。電車の車窓からも絶景を拝めたのだろう。行く手にはポニートラスの頼りなげな橋が川に架かっている。
和佐谷橋と言うそうだ。かつては吊橋だったようでコンクリートの主塔が残っている。架け替えられたポニートラスには汽車会社の銘板が付いているというが鉄道橋の転用だろうか。
線路は緩くSカーブして加賀一の宮駅構内へと入って来る。線路沿いはワンちゃんの恰好の散歩コースだ。写真奥手が鶴来方面。