~ 7号線、1号線、5号線 ~

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横川駅電停はJR山陽本線や可部線への乗り換え客なのか、人の流れが結構多い。 しばらくの間、都会的な大屋根に覆われたホームの下で、その空気を楽しみつつ乗って来た電車の写真など撮っていた。 で、さて次は… と思うまでもなく、ここからの発車は乗って来た 8号線を除くと選択肢が 7号線しかない。 ホームにはちょうど 7号線を走る元京都市電の 1900形が入って来るところだ。 塗り分けもおでこの 2灯ライトも京都時代のままで、修学旅行で乗った頃の事が思い出されて大変に懐かしい。 先頭部にはこちらに来てから車両ごとに京都ゆかりの愛称板が設けられているが、この電車 1912号は「大文字」と書いてあった。

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□Photo-11横川駅ホームのスタイリッシュな屋根の下で暑さをしのぐ。近代的なホームにレトロな電車が並んだ。
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□Photo-127号線を走る1900形がやって来た。京都市電の顔はふりかざす様なおでこの2灯ライトと通風器のルーバーが特徴的。

7号線は横川駅を出ると十日市町で左折して少しの間だけ本線を走り、紙屋町西からは宇品線へ分岐して広電本社前が終点となる。 ここで下車時にちょっとした失敗を仕出かした。 私は一番最後の客として降車したのだが、前のおばさんが現金で精算に手間取っていたので、先に手際良く処理しておこうとリーダーに一日乗車券を入れた。 すると、リーダーの出口に出て来た私のカードを、そのおばさんがヒョイと受け取って出て行ってしまいそうに…。 「あ、違いますよー」っと、運転士が慌てて声をかけたので気づいてくれたが、彼女は乗り継ぎの為に乗換えカードを発券してもらう所。 そこへ私のカードがフライングで割り込む形になったので、運転士が発券した乗換えカードと間違われてしまったのだ。

下車したホームは道路中央、横断歩道を渡って道路端にある広電本社の建屋へ。 ここの裏手は千田車庫となっており、入口から見ると奥の方に様々な電車が留置されている。 ちょっと見た限りでは、この時間に残っているのは旧型の単車が多いようだ。 そして、車庫とは別に少し先の舗道に車両のようなものが見えたので行ってみると、果たしてそれは保存された電車だった。 広島電鉄70形、これは元ドルトムント市電の流麗な 3連接車であるが、老朽化により廃車となってここでレストランとして使用されたらしい。 残念ながら現在は営業していないようで、車内には立ち入ることが出来なかった。

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□Photo-13千田車庫入口から中を覗く。今見ると、今回乗れなかった車両が何形式か待機中で少々残念な気分…
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□Photo-14元ドルトムント市電の70形。廃車後にレストラン電車「トランヴェール・エクスプレス」として利用されていた。

ここから先は、当然ながら広島港へ向かう電車に乗るしかない。 道路中央のホームは夏の日差しが強そうなのでビル影の歩道で待っていたら、油断してる隙に乗るはずの電車が到着して行ってしまった。 しかもそれが乗りたかった 5100形グリーンムーバーマックスだったので非常に悔しい思いをした。 広電は運転頻繁なのでまたすぐ次が来るかも知れない、そう思って横断歩道を渡り、暑いホームで汗だくになりながら電車の姿に目を光らせる。 幸い次にやって来たのも 5100形だったが、後で調べたらこの形式は 1号線で集中的に使われているらしい。 ドイツ製の 5000形コンビーノに対して 5100形は国産で、超低床車は乗り心地がゴツゴツしているかと思ったがそうでもなく快適だった。

1号線の電車は御幸橋を渡り、皆実町六丁目で皆実線と合流すると、宇品通りを真っ直ぐに南へ向かう。 広島高速の下をくぐると右折してその高架に沿って少し走り、再び南へ向き直るともう広島港前の広場に出て駅に着いた。 降車時に又しくじったのは、連接車はワンマンでなく車掌が乗務しており、乗車したのと同じ後部ドアからも降りられる。 その際にリーダーにカードを入れようとしたら「あ、こちらからお願いします」と注意されてしまった。 縦型に設置されているリーダーは乗車時に下からカードを入れて上から出す。 降車時もそれと同じかと誤解していたが、降りる時は逆に上から入れて下から受け取るのが正解。 良く見ると乗車は緑、降車はオレンジの色で差込口が色分けされている。

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□Photo-15乗り損ねた広島港行きを後追いで撮影。ヨーロッパ風デザインの 5100形は優美な姿をしている。
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□Photo-16広島港停留場に到着した。大屋根に覆われたユッタリとした造りで、このすぐ右手が広島港宇品旅客ターミナル。

広島港停留場は広島港宇品旅客ターミナルビルのすぐ前に位置し、トラス構造に支えられた大きな高い屋根で全体が覆われている。 ターミナルビルへもそのまま雨に濡れずに入れるので船便への乗り換えは至極便利だ。 せっかくなので旅客ビル内を抜けて、岸壁へ出てベンチに腰掛け、しばし広島湾の景色を楽しんだ。 桟橋で出航を待つ汽船の向こうに見えているのは、似島にある安芸小富士だろうか。 空は晴れているが、西の方角からどす黒い雲が押し寄せて来ている。 俄かに雷鳴も轟きだしてポツリと来たので、これはヤバいと思い、慌てて腰を上げた。

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□Photo-17旅客ターミナルの岸壁から広島湾を望む。桟橋の延びる穏やかな海面の奥手に、安芸小富士らしき山容がみえている。
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□Photo-185号線運転席より後部被り付きを決め込む。高速道路脇は芝生軌道の緑の絨毯が涼しげで美しい。

広島港からの帰りは、皆実線を経由して広島駅までの間をショートカットする 5号線の電車に乗車。 ホームの先の方で待っていたのは 800形、こちらルートの列車は単車での運行が多いようだ。 最後部の運転台から外を見ていると、発車して少し行ったあたりは目に鮮やかな芝生軌道の区間になっていた。 その頃からポツポツと窓を濡らしていた雨は、忽ち土砂降りとなり、グリーンベルトの視界をすっかりぼやかしてしまう。 電車は皆実町六丁目電停で宇品線と分かれ、そのまま直進して比治山の麓を通って的場へ。 このあたりの沿線は観光通りとは違う普段着の街並みといった感じがした。

再び戻って来た広島駅、ここはホーム側で精算を行なうので電車からはそのまま降りる方式。 女性の職員が持って来ている地上機(移動式精算機)のカードリーダーに、緊張しながら一日乗車券を通す。 …と、吸い込まれて行かない。 2回、3回とトライするがダメだ。 見かねた女性職員の方がやってみるがやはりカードは入らず。 「詰まってるのかな… 大丈夫なんでそのままどうぞ~」という事で放免となった。