現地2日目(後半)

道南いさりび鉄道(復路)

木古内では天気が良ければ海岸あたりまで散歩してみようかとも思っていたが、この雨じゃあ今一つ気分が上がらない。 食後もそのまま道の駅でしばらく物産品などを見学した後、駅へと戻る。 ホームで待っていたのは何の事は無い、往路で乗って来た車両だ。 発車の20分程前だが、海側のボックス席はラスト1つしか空いてなかったので、早めに来て良かった。 ただ、走り出すとそこの席あたりエンジンに近いのか、軽油の臭いが強くて少々鼻についた。 途中の渡島当別は乗車客多数で、やはりトラピスト修道院を訪問した観光客は多いようだ。 駅から徒歩だと往復で1時間近くかかる筈だが、この雨の中、歩くモチベーションを私は持ち合わせていないのだった。

木古内駅 いさりび鉄道 木古内駅(待合室)
駅名時刻列車
木古内1251129D
道南いさりび鉄道
函館1356

上磯駅停車中にはアナウンスがあり、列車交換する貨物の遅れにより、4分程遅延になるとの事。 やはりこの線路の主役は、どちらかと言うと貨物列車なのだという現実を突きつけられる。 五稜郭駅ではホーム向かい側に四季島が停車していたが、この時期に北海道を訪れるコースがあるのだろうか?  定刻に少々遅れて函館駅着。 ふと見ると隣りのホームに発車待ちの いさ鉄「ながまれ号」、今年で開業10周年ということで記念のヘッドマークを掲出していた。 行きと同じく帰りも自動改札をスンナリと通過し、駅を出て駅前広場を横断し函館市電の電停へと向かう。 目的は谷地頭まで行って、そこで今回の市電全線完乗とし、ついでにそこから徒歩で立待岬へ向かうという予定にしている。

ながまれ号 いさ鉄 ながまれ号(開業10周年記念ヘッドマーク)

函館市電(宝来・谷地頭線)

電停名時刻電車
函館駅前1407函館市電
2系統 谷地頭行
谷地頭1421
1457函館市電
2系統 湯の川行
十字街1506
1522函館市電
2系統 湯の川行
函館駅前1528

函館駅前から市電の2系統に乗車。 谷地頭行は3つ目の十字街で本線から分岐して左折し、段々と函館山の山懐の方へ向かって走って行く。 2系統は路線の末端になると山が近い為か、路面電車にしては昇り降りが結構激しいのに驚く。 最後の坂を下った先が終点の谷地頭で前に来た時の記憶があまり無いが、待合室もある立派な電停になっているのが意外であった。

さて、ここから立待岬までは徒歩で20分弱であるが、目の前の函館山麓は中腹まで雲に覆われていて何やら怪しい雰囲気。 傘をさす程でも無いがまたポツポツと雨も降りだし、それだけで軟弱にも気持ちが折れてしまった。 48年前ここに来た時は暑さにめげてやはり岬行きを断念しているので、おおよそ半世紀を経て今回もリベンジならずである。 そのまま折り返すのも勿体ないので近くの函館公園でお茶を濁す事にしたが、そう言えば前回もここの木陰で午睡を貪るという暴挙に出ていたのを思い出す。

谷地頭電停 谷地頭電停
谷地頭電停付近 谷地頭電停付近(谷地頭町)

電停のある場所が窪地状になっているので、公園へ向かうには少し坂を登り返す形となる。 さらに山の斜面に位置する公園内も奥まで行くには高低差があるので、それだけでも結構な運動になった。 園内は博物館や小遊園地などもあるのだが、私にとってはあまり見るべきものも無く、前回のように木陰で昼寝としゃれ込むにはベンチが濡れている。 記憶が古すぎて確証は得られなかったが、その昼寝場所と思しき辺りだけ確認して、早々に電停へと引き上げた。 人影の無い待合室に入ってしばらく待っていると、やって来たのは超低床車の9600形。 この旅で初めて乗車する最新形式であるが、この号車9604は運行開始から8年程経っているようだ。 発車するとさすがに視点は低いが乗り心地は良く、冷房も効いていて快適である。

函館公園 函館公園
9600形 函館市電 超低床車 9600形
※クリックで拡大 函館市電 案内図 函館市電 案内図函館市ポータルサイトより)

十字街・金森倉庫

さて立待岬を端折ってしまったし、その後向かおうと予定していた五稜郭公園も、天候不良と前に行っている事もあって行く気が失せたので、宿のチェックイン予定時刻までどこかで時間を潰さねば。 なので十字街停留場で途中下車し、明日ブラつこうと考えていた金森倉庫のあたりを覗いて見る事にした。 その前に、十字街の分岐点で少し撮影を…。 ここには既に使われていないものの、市電の操車塔が現存している。 その脇には解説板も設置されていて、ここに移設保存された操車塔についての詳しい説明を読む事が出来た。 ついでに、往来する電車も何本かカメラに収めてから金森倉庫へ。 歩いているうちにまた雨が本降りになって来たので、途中から小走りで倉庫へ飛び込んだが、入ってしまえば中は普通に今どきのモール風で、とくにこれと言って私の目を引くものは無かった。

操車塔 十字街の操車塔
十字街交差点 十字街交差点
金森倉庫 金森倉庫

そうこうしているうちにチェックイン時刻も近くなったので、再び電車に乗って函館駅前へ戻ろう。 本日の宿は駅近の「コンフォートホテル函館」、後半の2泊はここのお世話になる。 前半の宿と違ってこちらは今どきの最新システムで、事前にWeb登録しておけば、発行されたQRコードをフロント前の端末にかざすだけで瞬時にチェックイン完了。 料金が表示され、精算と同時にカードキーが出力されるという手筈である。 その後、一応フロントの人が施設や朝食などの説明を補足してくれ、自分でナイトウェアを棚から取って部屋へ向かうという段取りになる。

一旦部屋に入ってしばし昼寝(夕寝?)休憩をし、その後近くのコンビニで食事の買い出しをして戻った。 この日は乗り疲れたので外食は無し、お腹を休めるために夕飯もインスタントのお茶漬けだけで済ませたが、油断をして熱いお湯で口内を火傷してしまい、その後数日間は痛い思いをする羽目になった。 なお、この後の予定としては夜景を見にケーブルカーで函館山に登る筈だったのだが、天気もよろしくないし昼間見た感じでは山頂が雲に覆われていたので、明日に延期する事とした。 その分の余った時間は持参の文庫本でつぶす。今回のお供は三島由紀夫「夏子の冒険」。 知らなかったが道内で昨年爆売れしたそうである。 破天荒な夏子とそれに振り回される母、祖母、叔母の三人組が函館をはじめとする道内各地を転々とするコメディタッチの作品。 そして昨今巷を恐怖に陥れている例の野獣もキーになっている所が、とてもタイムリーな小説だ。

コンフォートホテル函館 コンフォートホテル函館
(つづく)