現地での第2日目(旅の3日目)、最後まで函館滞在は続くが、今夜から宿替えだ。 ずっと連泊でも良いのだがホテルによって当たり外れがあるので、リスク分散の意味もあって、私はいつも最長で一か所二泊程度に留めている。 結果的に、今回の宿はどれも当たりで有難かったのではあるが…。 荷物をまとめ、9時過ぎにチェックアウトして電停まで歩き、市電で函館駅前へ移動。 本日は前半で道南いさりび鉄道を木古内まで往復する予定にしている。 ここは津軽海峡線時代に通過した事はあるが、普通列車で沿線をじっくり堪能するのは今回が初めてだ。 もちろん「はこだて旅するパスポート」が適用出来るので、元を取る為の乗車でもあるが。
| 駅・電停名 | 時刻 | 列車・電車 |
|---|---|---|
| 新川町 | 0913 | 函館市電 5系統 函館どつく前行 |
| 函館駅前 | 0919 | |
| 函館 | 1033 | 124D 道南いさりび鉄道 |
| 木古内 | 1136 |
これから乗る予定の木古内行は10:33発で、まだ1時間以上あるから駅舎内の待合室で座って待とうかと考えたが、行ってみると生憎そこは観光客で既に満杯であった。 しょうがないので2階でも少し探検するかとエスカレーターを上がって行くと、ブリッジを渡った奥の方に待合コーナーを発見! こちらはあまり知られていないらしく、椅子に座っている人は誰もおらず貸切状態だ。 駅の雑踏からも隔離された世界で静かだが、改札前にある発車案内表示がテレビ画面に映されているので乗り遅れる心配も無い。 コーナー前の吹抜けからは下の改札やコンコースの状況も眺められるが、見下ろすと駅務室の屋根上に函館市街地の夜景がプリントされていた。 待合コーナー脇には大きな窓があり、またドアから展望デッキに出る事も可能で、どちらからも駅構内が丸見えなので鉄分のある人にはお勧めである。
函館駅 2F待合コーナーからの眺め
展望デッキより函館駅構内の眺め
デッキに出て風に吹かれながらしばらく見下ろしていると、国鉄急行色の気動車がホームに入線して来て「おっ!」と思ったが、残念ながらこれは一本前の上磯止まりだ。 1階と違ってここからは入線状態も確実に把握出来るので、タイミングを計ってホームへ向かうのにも便利である。 上磯行きが発車してさらにしばらく待つと、やがて遠くから折り返し木古内行となる気動車のやって来るのが見えたので1階へ降りる。 昨日は入構が少しぎこちなかったが、本日はすんなりと自動改札を通り抜けた。 ホームで待っていたのはキハ40-1812 で、山吹色のボディが美しい。 キハ40は本年3月のダイヤ改正で道内JRからは撤退しており、ここでは貴重な存在である。 しかしいさりび鉄道でも、JR北海道の電気式気動車H100形を基本とした新車を2031年度に導入する計画で、その際はキハ40は引退予定と発表されている。
道南いさりび鉄道 キハ40(函館駅)
定刻発車。 座席から伝わるブルブルとした重々しいエンジン音は、やはり国鉄時代から走り続けている気動車で、古めかしいが乗っていて安心感がある。 車内はそれ程混雑していないものの、ボックス席はほぼ埋まっている状態だ。 ホームを出ると留置線を含む函館駅構内の多くの線路が交錯し、徐々に絞られて最後は2本の線路となった。 少し走ってすぐ五稜郭に停車すると、こちらも昨日と同様、新函館北斗大沼方面には行かないという放送が入る。 さらに、この先スイカ等の交通系ICカードは使えない旨のアナウンスが、しきりに繰り返し流されている。
五稜郭を出て単線となった線路は、左へカーブして函館本線と分かれ、まっすぐと海の方へ向かって進んで行く。 本日も外はどんよりとした空模様なため強い日差しは無いが、車内は少々蒸し暑い。 海に囲まれた函館は夏でも比較的冷涼な気候で過ごしやすく、今回の旅でも7月末にして連日最高気温21℃程度であったが、列車内はやはり人が集まるのでそれなりに暑いのだ。 そして、いさりび鉄道は全車非冷房車、また市電も低床車を除き一部に家庭用エアコンを後付けした車両があるのみで、この近辺を走る車両の中は一般的にあまり冷えてはいない。 久根別で貨物と交換し、上磯では先行した当駅止まりの国鉄色キハ40を横に見て、その先は国内現役最古のセメント工場である太平洋セメント上磯工場の敷地を大きく北へ迂回(工場内にかつては専用線があった)。 やがて海沿いに出ると対岸に函館山を見ながら進むようになるが、残念ながら本日は天気が悪く、頂上を垂れこめた雲の中に隠している。
道南いさりび鉄道 キハ40(上磯駅)
道南いさりび鉄道 車窓(函館山)
途中の茂辺地は北斗星広場の最寄り駅、列車ホテルの北斗星スクエアにはいつか泊まってみたいと考えているが、果たしてそういう機会はやって来るのだろうか。 渡島当別では下車客多数となったがトラピスト修道院の最寄駅だから、始終点を除くと沿線では一番観光客の利用が多そうだ。 ここでは貨物と列車交換をした後に発車、貨物の方は立派な電気機関車が牽く一方、こちらは電化路線の架線下を単行ディーゼルが走るという典型的3セク列車である。 先ほどから怪しげな雲が降りて来ていたが、泉沢駅あたりでついにポツポツと来て、すぐに雨が本降りとなった。 この区間、晴れていれば車窓から津軽海峡の絶景が拝める筈だが、せっかく確保した左側の車窓は寒々とした海岸風景がずっと続いている。
道南いさりび鉄道 茂辺地駅
道南いさりび鉄道 車窓(津軽海峡)
列車は特に遅れる事もなく、11:36に終点の木古内着。 いさりび鉄道側は無人駅なので、運転士に切符を見せてホームへ降りる。 乗り換えで新幹線ホームへ向かう客は見かけなかったが、木古内停車の新幹線は上下とも日に8本しかないので、あまりここで乗り継ぎをする利便性は無さそうである。 さて、私の方は帰りの列車まで1時間強、駅を出て、屋根付きの歩道で激しくなった雨を避けながら、駅前ロータリーの対面にある「道の駅 みそぎの郷 きこない」へと駆け込んだ。 なかなか立派な施設で駐車場も広大だから、車で来る人が大半なのだろうと思われる。 建物も全体の作りが新しそうな雰囲気だったが、2016年オープンとの事で今年で10年目になるようである。
道南いさりび鉄道 木古内駅
道の駅 みそぎの郷 きこない
内部は木の材質を活かした造りが際立っているが、地域の特産材である道南杉を多用しているとのこと。 一通り見学した後、お昼に近くなったのでここで何か食べておこうと思う。 レストランもあるが然程お腹も空いてないので、施設内の「キッチンキーコ」にて名物「はこだて和牛コロッケ」と焼きおにぎり(漬物付)を購入しテイクアウト。 多目的ルームの窓際カウンターに腰掛け、雨の降りしきる外を眺めながら軽めのランチとした。 和牛コロッケは生パン粉の表面に、身はじっくり煮込まれた玉ねぎと北海道産メークインで出来ているそう。 噛むとサクサクとして中はしっとりホクホク、食べ応えがあってソース等何もつけずとも大変美味しかった。 ちなみに、はこだて和牛は木古内町内で育てられている希少な赤牛で、肉は赤身の旨味が評判との事だ。
道の駅 みそぎの郷 きこない(内部)
はこだて和牛コロッケと焼きおにぎり