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富津岬の軍用鉄道 平野部編
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というわけで、今回はこの廃線跡を探るべく内房線の君津駅へやって来た。 本来の最寄駅は次の青堀だが、ダイヤを見ると君津から先の列車本数はかなり少ないし、幸いにして駅間も短いのでここから実走してしまおうと考えたわけだ。 そろそろ貴重になって来た113系の普通列車を降りて改札を抜け、駅前で自転車を組み立てて走り出す。 綺麗に整備された南口の駅前大通りを南下して行くと、すぐに小糸川に突き当たった。 これが富津岬を造り出す砂を運んで来たんだな…などと思いながら右岸のサイクリングロードをのんびりと下り始める。

何本か車道を橋の袂で横断した後に左岸へと移り、進んで行くと遠くに内房線の鉄橋が見えて来る。 風に乗って踏切の警報音が聞こえて来たのでカメラを構えて待っていたら、轟音と共にガーターを渡りだしたのは新入りの209系だ。 菜の花と海の色を帯にまとったこの電車は新鮮に目に映るが、このあたりの風景にはまだまだ馴染んでいない気がするな。 国道16号に出て車に煽られながら少し進めば、すぐに青堀駅入口の信号が見えて来た。

青堀駅は旧国鉄然とした簡素な駅舎だ。その建物を背にして駅前を眺めると、ロータリーの向こうには何やらこんもりと盛り上がった地形が見える。 このあたりは内裏塚古墳群と呼ばれている古墳の数多く集中した場所であり、駅前にもその小さ目なものとして上野塚(うわのつか)古墳が鎮座しているのだ。 しかしこれ、駐車場用地として半分程削られてしまっているようで「これでいいの?」なんて思うが、このあたりではごくありふれた事象なのだろうか。

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そんな疑問符を頭の中に浮かべつつ、駅前を出て岬方面へ向かう。 かつての軍用軌道は駅構内からずっと続いていた筈で、近くの踏切に寄ってみるとほぼ1線分相当の空地が線路に沿って伸びている様子だ。 内房線はしばらく進むと左へカーブして館山方面へと向かうが、廃線跡の方はそのまま直線状に岬を目指して進んで行った。 この部分、軌道跡は青堀小学校裏手への通学路として転用されている。 また小学校の校庭を抜けた先は、青木亀塚古墳の一部を削りながら通過している。

ところで今回、というか最近は、GoogleMapに現役当時の線路が写っている空中写真をレイヤーしてプロットしたものを道案内として持って来ているのだが、そこにはコンビニのマークも載っているのでこれ幸いとお昼の仕入れ場所も目星を付けていた。 ところが国道沿いを進むうち、知らず知らずその場所を過ぎて大分先へと進んでしまったらしい。 気がついて折り返してみると、看板も外され閉鎖された建物があり、それがどうもコンビニっぽい造りなのである。

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最近はどこもこういうケースが多くて、全然便利じゃないな。などと愚痴を言ってもしょうがないので調達はとりあえず諦めて先へ進む。 そろそろ梅雨入りも目前のこの日だが天気はピーカン。 10時前にスタートしたとは言えもう日は高く、ジリジリと容赦なく照り付けるお日様は頭の中を朦朧とさせてくれるには充分だ。 地図に目を落とすとクラクラして日陰が恋しい。 だから確認作業はなるべく涼しい木陰で行なおう。

このあたり、当時は畑一面の世界だったろうが、現在は住宅地が多く入り混じった地域となっている。 そんな中に線路跡を追う事は困難だが、一部の土地割りでそれらしく感じられなくもない部分が何箇所か散見された。 途中でちょっとわき道にそれて稲荷山古墳を見学したりもしつつ、しばらく静かで人影の無い裏道を走って行った。 岬の入口が近づいて来るにつれ、段々と観光客の喧騒が遠くで聞こえるようになって来る。


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