京王電鉄(井の頭線)
京王線の探索で明大前まで到達し、次のターゲットは井の頭線だからこのままここから乗ってもいいのだが、やはり渋谷から入りたい気持ちがあり敢えて別ルートをとってみる。 明大前で再び京王線に乗り一駅、下高井戸から久し振りの東急世田谷線を満喫し、三軒茶屋で田園都市線に乗り継いで渋谷に出る。 という事で、ここから正しく井の頭線に乗車しよう。
井の頭線の渋谷駅もリニューアルされてだいぶ明るくなったな何て思ったものの、調べてみたらもう改装なってから10年以上が経っている。 社名の京王帝都電鉄から「帝都」が取れたのも、確かその前後の頃だったんじゃなかろうか。 1番線から発車する急行を見送り、2番線で待っている各停吉祥寺行きに乗り込む。 登場時の3000系は長らくここの顔だったが、現在の主力1000系も井の頭線らしいなかなか好ましいデザイン。 伝統の前面レインボーカラーも引き継がれていて、今乗っているのはそのうちのアイボリーホワイトだ。
井の頭線 渋谷駅
ドーム屋根だが採光が良く明るいターミナル
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井の頭線は渋谷駅を発車するとダブルクロスを渡ってそのままトンネルに突入、渋谷の谷の縁を抜け、神泉で一旦トンネルから出て来る。 トンネルを抜けると一瞬踏切を通過して神泉の駅ホームに滑り込む。 だがこの駅自体もほぼ次のトンネルの中にあると言っていい。 初めて降りるがまったくもって奇っ怪な駅で、それは谷構造となっている渋谷近辺の地形によりもたらされていると言えるだろう。 渋谷駅のあたりを本谷とすると、そこから派生する谷筋の一つがグルリと回り込んで来て、その上流がこの神泉の谷である。 そして井の頭線がそれらを真っ直ぐに貫いているので、トンネルとトンネルの間で一瞬地上へ出るというわけだ。 その一瞬地上に出た所にそれを横断する形で道路があるので踏切が出来た。 それが「渋谷1号踏切」という事になる。
考えてみれば起点の渋谷からわずか500mほどの距離にある踏切で、東急の渋谷1号、京急の品川第1、そして小田急の新宿1号に至適する都心の踏切と言っていい。 だがトンネルを隔てているせいか周囲の風景はあまり都会的なギスギスした雰囲気が無く、駅周辺にはどことなく大人の隠れ家的な緩い空気も漂っている。 しばらくここで撮影していたが、あまり車に邪魔される事もなく、次々トンネルに出入りする電車がやって来る様はアトラクションのようでなかなかに面白かった。 ちなみに神泉の名の由来だが、昔は霊言新たかな泉がここにあったからという事なのだそうだ。
渋谷1号踏切
神泉の谷底にある渋谷1号踏切
神泉から一駅乗って駒場東大前へと駒を進める。 駅正面の東大口に用事はないので、ホーム下の小さな西口から改札を抜ける。 線路下をくぐって緩い坂道を登って行くと、左手に目指す踏切、駒場東大前1号が見えて来る。 曇天とは言え歩き疲れてだいぶ暑くなって来たが、踏切の向こうに緑濃い公園の入口が見えるのでここらでちょっと休んでゆこうか。 門柱には「駒場野公園」と表示されている。
そこにあった解説板によると、明治期にドイツ人ケルネルという教師がここの田んぼで土壌や肥料の研究を行ない、日本における近代農業に貢献したとある。 それがここにある「ケルネル田んぼ」なのだった。 ああ、そう言えば井の頭線の車窓から一瞬小さな谷津田っぽい風景の見える場所があったっけ。 それがここなのか。 日陰で飲み物で喉を潤しながら少し汗が引くのを待ち、再び駅へ戻って一駅乗車。 昨今は各駅共ホーム上にエアコンの効いた待合室を設けている私鉄が多くて助かる。
ケルネル田んぼ
田んぼの向こうを井の頭線が通過
駒場東大前3号踏切
住宅地の中の静かな踏切
駒場東大前3号踏切
線路右手の側道はこの先ゆきどまり
次が池ノ上で駅舎は階段の上。 ここで下車して小学校の裏手を抜け、渋谷方向に少し戻ると駒場東大前3号,4号と踏切が仲良く2つ並んでいる。 ここまでで踏切カウントが4、そして栄えあるカウント5は池ノ上の駅前踏切「池ノ上1号」、起点渋谷からの距離は約2.4kmとなった。 井の頭線は比較的後期に出来た鉄道路線だが、渋谷からトンネルを抜けて少し進むと周囲の風景はガラリと変わり、閑静な住宅地の中を抜けて地上を走る区間が多い。 いきおい踏切も多くなるが、立体化されている主要道以外はさほど交通量は多くなく列車ダイヤの方も比較的単純なので、車の渋滞が問題になるような事もあまり無いのかも知れない。 さて、せっかくなので帰りは井の頭公園によって、オープンカフェでもして行くとしようか。
駒場東大前4号踏切
池ノ上駅ホーム裏手に隣接する駒場東大前4号
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池ノ上1号踏切
駅正面にある池ノ上1号踏切
井の頭線の踏切カウント5 | 「池ノ上1号踏切」渋谷から約2.4km(駅数3) |