小田急電鉄
日本列島に台風が接近する中、蒸し暑い薄曇りの一日を費やして小田急と京王の踏切探索に赴く。 まずは小田急。 新宿駅はロマンスカーの出入りする華やかな地上ホームは時々利用するが、各停の発車する地下は初めてかも知れない。 3面2線の地下階へと降りて行くと、両側ホームに囲まれた5番線に各停の本厚木行きが静かに発車を待っていた。 車両は3000形でちょっと見は京成の3000形、いゃ、色味的には京成と共通設計の北総7500形にそっくりだが、同じ日車製のブロック工法電車だから無理もない。
ホームを発車して右に緩くカーブしつつ地上へと勾配を登る。 地上ホームからの線路が左右を囲むようになると、空が開けていきなり広い踏切を渡る。 ビルの間を少し進むともう一つ踏切を通過して半高架の南新宿駅へ到着、まずはここで下車していまの踏切を見に行こう。
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小田急線 新宿駅
地下ホームは地上より手狭で小ぢんまりしている
新宿1号踏切
この先サザンテラスのデッキが屋根がわり
最初の踏切「新宿1号」は新宿駅を出てすぐの場所にある。 実は今回このシリーズを始めるきっかけとなったのがこの踏切だ。 以前サザンテラスのあたりを歩いていて、たまたま代々木方向の階段を降りたらこの踏切に出くわして驚いた。 こんな都心に小田急の踏切が存在するなんて事を当時の私は知らなかったのである。 ここは地上と地下の線路が合流する手前だから、4本の線路が渡っている豪華版(!?)の踏切である。 それぞれのホームに次々と出入りするロマンスカーや急行、各停等、列車の出入りは引きも切らない。 しかしその割に車の渋滞が少ないのはここの交通量が少ないせいなのか、はたまた皆それを見越して避けている為なのだろうか…。
色々な電車を見る事が出来て嬉しいが、きりがないので次へ行こう。 南新宿方向へもうワンブロック進むとすぐに新宿2号踏切がある。 こちらは線路脇に美容学校があったりして人通りが多いためか、踏切と併用して歩道橋が設けてある。 少しいただけだが遮断時間はかなり長く、おそらく通勤通学の時間帯はとても踏切が開くのを待っていられないだろう事は想像がつく。 地図によると南新宿のすぐ先にも一つ踏切があるので、ここも続いて拾っておいた。 しかし南新宿の駅付近は新宿から一駅とは思えない細道が続き、その後駅へ戻るのに迷って思わぬ遠回りをしてしまった。 駅のホーム下を通過する路地は何本もあるのだが、何れも改札口へは到達出来ない迷路なのである。
新宿2号踏切
歩道橋上から新宿2号を俯瞰してみる
南新宿3号踏切
ガード横の短い坂を登った先にある小さな踏切
南新宿3号踏切
銘板はレール柱に針金巻きの結構アバウトな付け方
ここまでで踏切カウントは3、次は参宮橋を目指す。 しかし、南新宿駅で待っていても通過電車ばかりでなかなか各停が来ない。 いっそのこと新宿から乗り直した方が良かったかな等と思ったが、次の参宮橋も優等列車は止まらないので意味ないか…。 そんな事を考えているうちにようやく電車がやって来て、一駅だけ乗車。
参宮橋も南新宿と同様に小さな駅だが、手狭な駅前にどことなく洒落た雰囲気が漂う。 そして何気に既視感があるんだが、何かの用で来た事があったかな、この駅は。 狭い駅前の通りを曲がって少し進むと、ほどなく参宮橋1号踏切に至る。 左手にはすぐ近くに参宮橋駅ホームの突端が見える位置、そして踏切を渡った先にはこんもりとした緑が茂っているが、地図だと明治神宮の裏手にあたるようだ。 そうか、そういえば駅名も「参宮」だから参拝の最寄駅という事になるのか。
参宮橋駅
地上対向ホームに跨線橋の小さな駅
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参宮橋1号踏切
参宮橋駅至近の踏切
青少年総合センター
合宿や社員研修などで良く利用されるようだ
参宮橋3号踏切
至ってシンプルな踏切だが、ここがカウント5となった
そこから通りを次の踏切目指して歩いて行くと、目の前に先ほどのデジャヴの原因が現れた。 通りの向こうに建つ国立オリンピック記念青少年総合センター(かつての東京オリンピック選手村)、記憶の糸をたどると私はここで新入社員研修を受けたのだった。 その頃の若きほろ苦い思い出に浸りつつ歩を進めること数分、そして最後に小田急の踏切カウント5へと到達する。 参宮橋3号は小さな路地裏の地味な踏切で、それとは対照的に、そこを通過して行くVSEの滑らかなボディが白く光り輝いて見える。 新宿からここまで約2kmと短いが、小田急は意外にも都心の地上区間が今もまだ長い距離残っているのである。
小田急線の踏切カウント5 | 「参宮橋3号踏切」新宿から約2km(駅数2) |