魚野川水平歩道(2)
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野反湖を望む

 かなり長いこと登って、どうやらピークらしき地点が近くなった。周囲が開けてきて、風が気持ちいい。振り返ると、出発地点の野反湖が遠く青い空を映して横たわっている。

 野反湖自体、標高は1500mを越えており、そこからこれだけ登って来て既に1800mの高さに達している。眼下の千沢と、その向こうの岩菅方面の山塊を見渡しても、かなりの高度感がある。


大倉山西〜渋沢ダム

 イタドリ沢の上部を渡った後、再び若干登り返して西大倉山の肩へ至る。ここからいよいよ渋沢へ向けて急降下、大倉坂の始まりだ。

 某ツーリングブックによれば、ここは乗車率80%を超えるそうだが、命の惜しい私はひたすら押して下った。乗車率は10%まで行ったかどうか。しかしこれが長かった。さっきから遥か下方に渋沢ダムらしきものが見えているのだが、つづら折れの道を下れども下れども、なかなかそれが近づいて来ない。下りがこんなにつらかったのは、これまでで初めての経験だった。

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渋沢ダム横広場

 ようやく道も平坦になり、沢の景色が目の高さに見える様になって来た。渓流にかかった吊り橋をおそるおそる渡って、渋沢ダム横の広場へと転がり出る。あぁ、やっと着いたぁ... という感じ。


渋沢ダム〜水平歩道

 緑の草原の広場には、切明方面から登って来たハイカーの夫婦が一組。他には誰もいなかった。早速みんな車座になってお昼にする。今日は軽量化のためにコンロを置いて来たので、おにぎりを頬張るばかりな私であった。

 午前中はずっと天気が良かったのだが、ここに来て風が強くなって来た。雲行きも何だか怪しく、気温も下がって来た様だ。避難小屋に入ってノート等読んでいると、下から男女の大集団が登って来て賑やかな歓声が山峡にこだまし出す。

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渋沢ダム

 山スキー組が無事降りて来るのを待って、出発とした。ダム上の吊り橋を渡れば、向こう岸右手にはこれから続く水平歩道が待っている。この水平歩道、現在はダム監視のための巡視路として整備されているが、元々はダム建設の資材を運ぶトロッコ用軌道として開削されたらしい。

 そう言われてみるとそれらしい雰囲気が随所に散見され、途中に何ヶ所かあるトンネルも軌道っぽい断面をしている。しかし人の背丈程の真っ暗なトンネルは、閉所恐怖症の人にはちょっとつらいかも知れない。

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水平歩道のトンネル


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