天上のプロムナード 
魚野川水平歩道 1998/10
Map

 長年の夢であった魚野川水平歩道へ行って来た。メンバーは Kintaro氏、180G氏、と私の3人。NIFTY FCYCLO 上ではお馴染みだが、180Gさん と私は今回が初対面だった。
 このコースは、山岳派サイクリストの上級コースとしてつとに有名だが、それ以上に私を惹きつけて止まないのはコース後半に待っている水平歩道。そう、水平という言葉にピンと来た方はお気づきだと思うが、これが実は廃線跡でもある様なのだ。


Photo
野反湖駐車場にて


プロローグ

 土曜日の朝7:00過ぎ、朝日のあたる駐車場で我々は自転車の組み立てを開始した。となりでは、既に先行して着いていた別のグループがMTBを調整している。山スキーで知り合った仲間たちで、夏場のオフシーズン!?は自転車に乗って楽しんでいるという。先週は上高地の徳本峠へ行って来たという事で、なかなか活発な活動をしているみたいだ。

 さて我々の方はというと、夕べ遅く羽村に集合した車2台に分乗し、吾妻線の長野原草津口駅前で仮眠。早朝、1台を駅前にデポしてもう1台でここまで上がって来た。今日は山の向こうの民宿で一泊し、明日の列車でデポ地まで輪行、車を回収して帰るというパターンだ。

 アプローチ的にはかなりズルをしているが、私にとってはかなりハードな山道なのでこの辺は大目に見てもらいたい。実は帰路の列車の旅も、私の中ではかなりの重要素を成しており、他の二人には申し訳ないが密かに楽しみにしている部分でもある。(^^;)

 何はともあれ走り出そう。今日は走行距離は短いけれど、かなりの山奥に入る分、時間には充分な余裕をみたい。自転車に跨り、登山道の入口から見上げると、先にスタートした山スキー組の一行がシルエットになって尾根を越えて行くのが見える。

Photo
山道入口から見上げる

野反湖〜地蔵峠

 山道に入り歩を進める程に、私はだんだんと「マズイな...」と思い始めた。ここ数日の大雨の影響で道はぬかるんでおり、歩いていると軽登山靴の足元がおぼつかない。自転車に乗っても濡れたブレーキは効きが悪く、650Bのタイヤも全くグリップしない。道は最初の沢へ向かって徐々に下りだし、前後の二人はMTBでビシビシ走っているが、私はぬるぬるとした道を自転車と一緒にただ滑り落ちて行くばかりだ。

 必死で道を踏み外さない様にコントロールしつつ、何とか沢まで降り着いた。途中で山スキー組を追い抜いた時は、その目の前で木の根を踏んでスリップし、見事に転倒してしまったが...。

 一息ついてハンノキ沢を渡渉。次の北沢へ向けて、最初の本格的な山越えが始まる。自転車を押したり、担いだり、引きずったり(~~;)しながらじわじわと登って行く。久々の本格的な山サイで、なかなか本調子が出てこない。運動不足で体の中に溜まった毒気が、冷や汗となって額から首筋へと流れ落ちるのがわかる。

Photo
地蔵峠

 しばらく登ると道が3方向に分かれている地点に着いた。ここが白砂山登山道との分岐点、地蔵峠。少し右手へ歩を進めると、赤い前掛けをしたお地蔵様が、旅の安全を見守って鎮座ましましている。

 リュックを降ろして最初の大休止とする。ひと通り汗をかききるとだいぶ気分も良くなり、調子も取り戻して来たようだ。休んでいると、途中で追い抜いた山スキー組や登山者のパーティが次々に到着。静かな峠はひととき、賑やかな話し声に包まれた。

Photo
大倉山西

地蔵峠〜大倉山西

 先行して出発。ここから北沢へ向けて下って行く。北沢もかなり増水していたが、何とか自転車でバランスをとりながら石づたいに渡渉。ここからは大倉山の西尾根へと向けて、本コース最大、標高差200m程の登りとなる。

 調子は出てきたものの、基本的に体力は無い(泣)からゆっくりと歩を進める。前後の二人も私のペースに合わせてくれているみたいだ。日陰から日向の斜面へと出てきて、所々にある紅葉している木々を眺めつつ歩いていると、だんだんと気分はハイ(廃ではない)になって来た。

Button次へ



ButtonBack