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通仙峡の旧道は崩落の危険性がある為、ほぼ通年通行規制なのだというのは後で調べてわかった事。 合流地点で旧道入口となる右手のトンネルは、しっかりとバリケードで封鎖されていた。 左折してダムへ向かう長いトンネルをビューンと抜ければ、出口で景色は一気に開けて明るいダム湖のサイト上へと飛び出す。 山から下りて来て気分もようやく解き放たれたので、木陰のベンチを見付けて湖を眺めながら遅いお昼にした。 ここのダムは「塩川ダム」だが、ダム湖の方は「みずがき湖」と命名されている。 近郷の最近の施設も「みずがき」のかな表記が多いようだが、それは時代なのか、はたまた「瑞牆」という漢字が難しい為なのか。 明るいダム湖の人工的な風景の中、周囲に観光客の姿もなく、そろそろ店じまいの蝉時雨だけがあたりの山々にこだましていた。
食後の行程、ダムから韮崎の市街へかけてもまだまだ緩い下り坂が続いた。 この道を逆ルートで登るのだけは御免こうむりたいな、と心底思う程の快適なコースだ。 そのままラジウムラインを走り抜け、中央高速の下を潜ってから最後の韮崎駅にかけては、国道を避けて田んぼの中の一本道を下る。 信号が少なく、あっても全て黄点滅なので途中で止められる事もなく、自分のペースで走れる自転車向きの道だ。 軽く漕ぎ続ければスピードが落ちる事もなく、どこまでも走って行ける程良い下りは、まさにいま盆地の縁を下っているのだなと実感させてくれる。 気がつくと山塊の向こうで薄いグレーの雲のような稜線をした富士山が、私と、その自転車と、下っている道と、そしてその道が走るこの大いなる大地の窪みを見下ろしているのだった。

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