下りきった所がT字路になっていて、左手に分かれるのが木賊・観音峠の方へ行く道、今日はこのまま右折して本谷川筋をダムへと下る。
勾配は緩くなったが、まだまだブレーキを握っていないとどんどんスピードが上がって来る。
この区間、出かける前に見た林道情報では通行止めになっていたのだが、理由が「倒木の為」で当日は開通見込みとの事だったので迂回はしなかった。
万が一そこがまだ通行止めなら、今下りて来た坂を再び登り返すという悲惨な事態になるが、これまでとくに注意標識もなかったし、対向してダム方面から何台も車が走って来るのでひとまずは安心だ。
途中でその倒木が道を塞いだと思われる地点を通り過ぎ、引き続き森の中をまだまだ下る。
陽射しの届かない渓谷の底を川に沿って下っていると寒い位なので、思わずリュックからジャケットを出して着込んだ。
少し人家が多くなって来たなと思ったらそこが増富温泉だった。
今走っているこのルートもそれにちなみ「増富ラジウムライン」なんていう愛称が付けられている。
温泉成分で茶色く変色した川を赤い欄干の橋で渡り、さらに下りは続いて行く。
ところが温泉街が後方に見えなくなった頃合を見計らい、唐突に「この先通仙峡通行止め」の看板が目の前に現れた。
「うっ」と声が出そうになったが、よく見ると左に分岐する迂回路を利用せよとのお達しがあって胸を撫で下ろす。
でもこれが曲者で、道は一山越すのである。
もう売り切れ間近になった足をだましだまし、予定外の登り坂をフラフラと登るしかなかった。
何とか小ピークの切り通しを抜けると目の前に山里の風景が広がり、そこから一下りすればトンネルの狭間で通仙峡からの道に合流だ。