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この先まさか通行止めなんて事は無いだろうな… などと不安を感じながら自転車を進めている。 大して山深いわけではないが、ここで転倒して動けなくなったらとか、何かの発作が起きたらとか、単独行だと色々と良からぬ事もつい頭に浮かんで来てしまい、慎重にならざるを得ない。 と、後方から突然白い軽トラックがやって来て私を追い抜いていった。 よし、あれが戻って来ない限り道は大丈夫だ、と少々安心する。 いくつかカーブを曲がると景色の切り開けた崖上に出て、目の前にバーンと瑞牆山の奇怪な姿が現れた。 岩峰の聳えるその山容は、威厳に満ち溢れていてまさに信仰の山だ。
しばらく峨々とした頂を仰ぎ見て感動していたが、まだ先は長いと思い出して再び走り始める。 進んでいるうち前方からトラックが荷台を揺すぶる音、先ほどの軽トラが途中で折り返して来たのだ。 こりゃ道がやばいか?と思い、擦れ違いざまに尋ねようとしたら、向こうから窓越しに「自転車でごくろうさーん!」とやけに明るく挨拶されて通り過ぎてしまった。 運転していたおじさんに機先を制されてこちらも「どうもー」と返すしか無かったが、この先通れなければ何か助言してくれたに違いないと楽観的に解釈してそのまま走る事にする。

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