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まだ夏を引きずっているとはいえ朝晩めっきりヒンヤリして来た9月の初旬、小淵沢から乗り込んだ高原列車は、たくさんの観光客を乗せて大築堤を力強く登りだす。 清里で大方の客を降ろすと身軽になってJR最高地点を越え、その名の通り高原を軽やかに走って野辺山駅に着いた。 この「八ヶ岳高原列車」、年輩の方ならご存知だろう、かつて新宿発で仕立てられていた休日ハイキング客向けの客車編成で、小海線内はC56型蒸気機関車が牽引したという魅惑の列車だったのだ。 その高原のポニーことシゴロクが道路向こう側に展示されている駅前で、自転車を袋から取り出し組み立てを開始。 駅舎は現在補修作業が行なわれているようで、全体が足場に覆われていて建物本体が見えない。 近くのコンビニで買出しを済ませたら、踏切を渡り川上村へ向けて早速走り出す。
朝の高原の清々しい空気を全身で浴びながら、その起伏の端っこをしばし下って行くプロローグは極上の時間だ。 しばらくぶりのツーリングらしい走りに、少々気分も高揚して来る。 途中で右折して橋で小海線の上を跨ぐと、程なく信濃川上方面からの道路にショートカットして合流する。 下から登って来るよりはちょっと楽が出来る美味しいコース、でもそこからがいきなりの急登である。 最近乗ってなかったので久々の本格的登りで足にズッシリと来るが、ここはギアをロー&ローにして「いっちに、いっちに…」と頭の中で一人呟きつつ、重いペダルを押して行く。 体の中にたまっていた悪い汗をひとしきりかかされた頃、道は台地上に到達して勾配はとりあえず一段落。 顔を上げると山の向こうにはこの夏最後といった青空が白い雲と共に広がっていた。

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