常滑線

地下鉄名城線で金山駅までやって来た。 本来は名古屋で乗り換えたかったが、乗り継ぎの関係で致し方なく金山直行だ。 名鉄名古屋駅は何度も利用した事がある(と言っても新名古屋と呼ばれていた頃だ)が、金山は使った事が無いのでこの際、視察も兼ねてという事にした。 地下鉄からエスカレーターで橋上駅舎へ。 さすがにJRの東海道本線、中央本線も接続する大きな駅で、名鉄の構内も広い。 コンビニがあったので例によって昼の握り飯を確保し、さてどこで食べようか、時間は既に14時に近い。 上空をコンコースで覆われた暗いホームの一端に腰かけがあったので、行き交う電車を眺めながら急いでパクついた。

photo
金山駅
やって来ました2ドアの特急内海行きは5700系か?

お茶でお握りをお腹に流し込むと、一息つく間もなく特急電車がホームに滑り込んで来た。 名車パノラマカーの2階運転室を下に降ろし、展望席の半分を潰した様な前面デザインは5700系というやつだろうか。 これで常滑線、河和線を経由して、知多新線の内海駅まで行くのだ。 車内はクロスシートだが、一般車のみの編成である。 かなり混雑しており、補助席も含めて空席が無い。 あのデザインだと先頭車最前列右側は前面展望が良さそうだが、この分では行ってみても座れないだろう。 仕方なくドア脇に立って外の様子を観察することに専念した。

電車は神宮前駅から常滑線に入り、市街地をしばらく疾走するとやがて上下線2段構造の太田川駅に着く。 常滑線から河和線が分かれるこの駅の構造は、関東で言うと京成の青砥? あるいは同時期に重層化された京急蒲田の様な雰囲気だ。 太田川を発車すると周囲は徐々に郊外の様相を呈してくる。 途中でどっと客が降車したのは青山駅で、沿線では一番繁華な場所のようである。 ようやく席が空いたのでドッカと腰を下ろすと、しばらくして眠気が襲って来る。 しかし次の駅の駅名板を見て目が覚めた、「上ゲ駅」と書いてある。 読み方は「あげえき」だろうが何故に「ゲ」なのだろうか? そんな事を考えているうち、分岐駅の富貴に着いた。 ここから電車は知多新線に入る。

知多新線

知多新線はその名のとおり、知多半島を走る新線である。 新線と言っても、私が高校生の頃に部分開通のニュースが雑誌に載っていた位だから、出来てからは結構経っているのであるが。 富貴を出て大きく右にカーブすると、知多半島を横断するルートに入り、なだらかな丘陵地帯を抜けて行く。 どことなく京急の三崎口近辺のような雰囲気を感じるのは私だけだろうか。 知多新線は全区間単線だが、例によって線路敷は複線分が用意されている。 トンネルを抜けると知多半島の西側に出て何駅か過ぎ、知多奥田駅に停車。 対向式ホームの交換可能駅で、向かいの乗り場には名古屋方面へ向かう客がわんさか、それも待っているのは若者が多い。 調べてみたら近くに日本福祉大学のキャンパスがあり、ここはその最寄駅になっているのであった。 ん?日本福祉大学ってどこかで聞いた… 思い出した、御嵩駅の修景をした学生さん達の大学だ。

photo
野間浦駅遺構
宅地開発が行われる筈だったが、計画は進まず放棄された

知多奥田のあたりは丘陵地の間を築堤で繋げて走って行く。 海からは若干離れているが、遠くにチラチラと伊勢湾を眺める事は出来る。 終点1駅手前の「野間」は田んぼの中の高架駅、今時の女子4名が乗車したが、この時間からどこへ行くのだろう? 野間を過ぎると沿線は再び山深くなり、建設途中で放棄された小野浦駅(仮称)の遺構が窓の外を通過。 トンネルを抜けると下り勾配となり、やがて市街地が見えて来て高架の内海駅に着いた。 2面4線のターミナル、人けの無い向こうのホームには、白いボディの1200系パノラマSuperがお昼寝をしている。

photo
内海駅
トンネルを抜けて一直線に下って来たのが分かる
photo
内海駅
高架下の殺風景な駅入口。海岸までは徒歩15分位かかる

折り返しに少し時間があるので他の乗客に続いて階段を降り改札を出たが、駅前は殺風景できれいサッパリ何もない。 内海駅は用地買収の関係で当初の計画が変更されて内陸地に建設されたそうで街の中心部から離れており、海岸まで行くにも歩くと15分位かかってしまう。 改札の正面高架下に小さな店が何軒か集まっているのを眺めていると、背後から「キャーかわいいー!」と黄色い声が。 まさか自分が言われているとは思わなかったが、振り返ると先ほど野間から乗った女子4名だ。 その指さす先を見ると、店頭に飼い猫だろうか野良だろうか、店番をしているニャンコ様が一匹いるのだった。

河和線

海水浴へ行くらしい荷物を持った彼女達を見送った後、階段を登ってホームへと戻る。 復路も乗って来た特急にそのまま乗車するが、特急といったって知多新線内は全駅停車だ。 河和線と合流する富貴まで戻り、構内踏切を渡って向かいのホームへ、ここから終点の河和駅を目指す。 接続良く、すぐにやって来た急行に乗り、富貴を発車して河和口を過ぎればもうターミナルの河和だ。 駅は大型スーパーと一体化しており、見ようによってはスーパー内に駅があるという風にもとれる。 改札を出ても建物の中なのでコンコースは少々うす暗い。 しかし、そこからホームを覗くとスカーレットの電車が見事に並んでいて、これぞ名鉄という風景に少々感動した。

photo
富貴駅
構内踏切の脇には涼しげな藤棚?があった
photo
河和駅
ターミナルらしく、櫛形ホームの先端が改札口だ

さて最後の乗車は名古屋行き特急、ホームで待っていたのは1000系特別車のパノラマsuperだ。 私が今回使っている2日間有効のフリー切符はダメだが、1日タイプの場合は追加料金無しで特別車に乗れるという特典がある。 先頭が展望車なら特別料金を払ってでも乗りたい所だが、残念ながら上り列車では最後尾になってしまう。 仕方なく、先頭となる1200系側の最前列席で富貴駅まで運転室越しの被りつきをして、名鉄旅最後の楽しみとした。 富貴から先は徐々に混雑して来るので、空いていそうな中間車へ移ってボックスに陣取る。 ほんとうは途中で乗り換えて大江駅から築港線を往復して来る心づもりをしていたのだが、すっかり睡魔にやられてしまい、気が付けば電車はもう神宮前に近づいていたのである。

photo
河和駅
特急名古屋行き、リニューアルされたパノラマSuperの雄姿
photo
河和駅
だが先頭側は展望車でなく、一般車の1200系
(おわり)