最後の支線を右手へと分け、インターチェンジの下を潜りぬけてしばらく直進すると、本線自身もやおら直角に向きを変えて埠頭の方へと進みます。 線路に沿った広い車道には相変わらずトラックが行き交い、対照的に狭い歩道は、もうこんな奥地の方まで歩く人は皆無と見え、草ぼうぼうで全くのジャングル状態。 おまけに伸び放題の街路樹の根っこが歩道の敷石を持ち上げて、走り難いのなんのって。 大分奥まで入って来たなと思った頃、線路は小さな踏切を横断し、フェンスの中へ静々と吸い込まれて行きます。 覗いて見るとそこには何本かの留置線があり、まわりにはコンテナがうずたかく積み上げられています。 脇にある建物の入口の所に小さく「京葉久保田」の札が掲げられていて、ようやくここが終点だとわかりました。 コンテナに囲まれた構内は周囲の喧騒から隔絶されてひっそりと静まりかえり、淡い期待を持ってここまでやって来ましたが、機関車は結局最後までその青い姿を見せてくれませんでした。
しばらくの間、未練がましく周囲をうろついたりしていたものの、日差しも強まって背中がチリチリして来たので、ここらで諦めて帰路へと就く事にしました。 全線に渡って光っていたレールの踏面は、京葉臨海がまだまだ元気、コンビナートの屋台骨である事を証明しています。 でもさすがに休日ここを訪れるのは間違いだなと、教訓を得た今回の訪問ではありました。 踵を返して駅へと向かう道すがら、追い抜いていった大型ダンプが巻き上げた砂塵は、自転車と、その車上のリュック姿の訪問者を包み込み、あたりの風景を灰色に消し去ります。 そしてそれが晴れた時すでに自転車の姿はなく、道路とそれに沿った一本の線路が天を仰いでいるばかりなのでした。 |