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カーブの先は船橋市街

 京成はここで海神の高台から飛び出し、築堤の上を大きくカーブして総武線をオーバークロスした後、船橋市街へと下って行く。
 このあたり、総武線から南側は現在連続立体化工事の真っ最中で、線路のすぐ脇に立派な高架橋が姿を見せつつある。この事業、そもそも最初に着手したのは昭和58年度であるが、それ以前から市との間で色々と検討は進められていた様だ。

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連続立体化の工事中


 私が通学で通っていた頃も何度か計画案が取り沙汰されていたが、その中の一つは本町通りを地下で通すというもので、いくら何でもこれは無理があるだろうと素人の私にも思われた。
 この案では京成船橋駅が国鉄から大きく離れてしまい、京成には有利だろうが現実的に乗り換えが出来なくなる。結局この計画は撤回されたが、意外にも反対したのは事業者負担が過大となるとした京成電鉄だったそうだ。

 さてそんな話しを思い出しながら、高架橋下の側道をブラブラと歩いて行く。船橋駅も近くなって来たが、あたりはまだ住宅が多い。中には立派な松の木に囲まれたお屋敷があったりして、やはり古来より交通の要衝として発展して来たこの街は、そこらのものと街並みの格が違う。

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名物踏切を京急600が行く

 軒の間から大きなビルが見え出すと、程なく西武百貨店裏手の立体駐車場前に出て来た。西武もだいぶ通ったが、中でもお気に入りだったのは船橋西武美術館。現在は既にないのかも知れないが、開館記念展に行ってアンケートに答えたらその後数年間、展示会が開催される毎に招待券を送ってもらい、絵に興味を持っていた私は色々と目を楽しませてもらった。
 そんな百貨店を見上げつつ、建物の表側へと周ると駅前の空がやけに広い。それもそのはずで、JRと京成の両船橋駅の間を遮っていたビルが解体され、現在新しい再開発ビルを建築中。これが完成すると、乗換客はペデストリアンデッキで往来する事になるという。

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船橋駅も物々しい面構え


 工事現場に挟まれた細い路地を抜け、京成船橋駅の方へと行ってみる。敷地の無い船橋駅は直上高架方式で工事が進められており、駅全体が鉄骨で武装された未来基地の様な状況になっていた。
 駅前大通りを遮断している踏切りは相変わらず。これが朝夕乗り換え客がJR駅へと急ぐ、名物潜り抜け踏切りだ。
 ここは昔から、あまりに多い人通りと電車や車の往来を柔軟にさばくため、保安掛のいる有人踏切りになっている。走り抜けるサラリーマンのギリギリ頭上でちょっと遮断ロープを一時停止させる等、ある意味人間わざを感じさせる手さばきが見られる事もあった場所だ。

 久し振りに船橋の商店街を少し歩いてみる事にした。ここもまた大型店や郊外店へのシフトが進んで厳しい現況にあるのだろうが、意外に多かった人通りは、ちょっと昔の元気な駅前通り風景を思い出させてくれた。
 21世紀に生まれ変わろうとしている船橋駅前。この街が今後どう発展して行くのか、ある意味大きな岐路に差し掛かっているのかも知れないな...。そんな思いを抱きつつ、私はジャンバーの襟を立てて歳末の雑踏の中を歩き出した。

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 今回初めて使ってみたパスネット。本来は複数の私鉄を乗り継ぐ場合に便利なのだが、途中の思い付いた駅でいきなり降りるのにはとても重宝した。


<Part3 に続く> かもしれない
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