廃線跡の探索資料と言ったら国土地理院の旧版地形図が定番ですが、それ以外にもいくつか使えるものはあります。その一つが空中写真。地図ほどには広い地域、年代をカバーしていないですが、思わぬ発見をする事もあります。これらは地図以上にリアリティのある情報（あたりまえか）ですので、廃線跡などの現場状況が非常に良くわかります。

ネット上の情報としては従来から公開されていた国土地理院の 「空中写真閲覧サービス」がありますが、残念ながらこれは掲載地域の拡大が遅々として進んでおりません。一方、平成15年3月末から公開開始された、国土交通省国土計画局の「国土情報ウェブマッピングシステム」、写真はこちらも国土地理院が撮影したものですが、撮影：昭和49年〜平成2年まで年度別で都市部を中心に10万枚が公開されています。出展を明記すれば転載、引用も可能との事で、Webサイトでも使用出来そうです。但し原寸の元データはファイルサイズが巨大でして、ブロードバンド環境で表示させようとしても一瞬PCが固まってしまうくらい。

今回は同サイトよりまず、昭和49年度撮影の八王子地区：青梅線小作駅近辺を抜粋して掲載してみますが、小作から河辺駅（左上）方向へと向かう途中から分岐して多摩川べりの小作浄水場（元砂利集積場）へと向かう砂利線跡が良く観察出来ます。そして、小作浄水場裏手から多摩川（写真左下の水色）まで斜面を下るインクライン跡もくっきりと写っています。また小作駅前もまだ広場がなく、奥多摩バイパスは工事中、今はなき青梅スケートセンターの屋根が見える等、当時の状況がありありと伝わって来ますね。

他にも、習志野あたりの写真を開けば谷津遊園の園内の様子が一目瞭然、西武池袋線：東久留米駅近辺では中島航空金属専用線がクッキリと、など、興味のある図幅は枚挙に暇がありません。ちなみに同サイトでは、数値地図のダウンロードも可能となっています。今回、何人かの読者の方からお知らせ頂いてこのサイトに気がついた次第ですが、今後私のお気に入りになりそうです。（2003年7月記）