下津井電鉄廃線オフ |
■ 下津井駅車庫の電車 |
「倉敷」といえば、大原美術館・アイビースクェアに代表される「美観地区」で有名だが、今回訪れた児島・下津井も倉敷市である。
京阪神のメンバーが小豆島に集まるオフが企画されたが、さすがFCYCLOの誇る鉄メンバーは、この機会を逃さなかった。小豆島に渡る前に児島により、「下電廃鉄」を楽むことになった。対岸の高松に住む私が下見をおこない、いよいよその日がやって来た。
当日(1997/09/27)は広島・岡山・香川・兵庫・京都から7名の鉄とそうでない人が集まり、瀬戸大橋の本州側の駅「JR児島駅」に集合した。兵庫・京都の鉄2名は、予定の新幹線に乗り遅れたのを幸いに(いや、失礼。少しでも遅れが少なくなるようにと)岡山から、わざわざ特急「南風」に乗って、児島に到着した。
児島駅も駅前広場も瀬戸大橋線開通でできたのでまだきれいだ。歩道のところどころには、児島名物を描いたタイルが埋め込んである。その中にかわいい電車が描かれている「ナロゲージ」なるタイルがあり、思わずにっこりする。 (写真1) そういえば、JR児島駅ができたころは下津井電鉄は健在だったのか。
■ 写真3 |
JR児島駅から西(やや北)へ数百メートルいくと、SHIMOTSUI COAST LINEと横文字の看板が丸い屋根についているしゃれた建物がある。 (写真2) ここが下電旅行センターとなっているが、かつての下電児島駅である。中に入ると、おお、切符売り場もホームも看板もそのまま残っている。ここは線路が2線あったはずなんだが・・・これでは1線ぶんしかないなぁ。とY氏が不思議がっている。Y氏が訪れた後、ホームが改修されてのだろうか。(写真3)
■ 写真4 |
そこから直接は廃線跡につながっていない。一旦外に出て、路地を通り、廃線跡に入る。舗装はされてないが、自転車道としてきれいに整備されている。ところどころに架線柱の立つきれいな道だ。(写真4)備前赤崎駅がある。対向式のホームが跡形をとどめている。
その先で、きれいな道は終わり、草が生えた廃線道になる。ここからは「風の道」工事中となっている。工事が終わればきれいな自転車道になる。
■ 写真5 |
踏切跡があった。レール部分がはがされてコンクリートの溝になっている。なぜか道路のほうが柵で閉鎖されている。レールがはずされて、電車だけでなく、車も通れなくなったのか。(写真5)Tさんがメジャーを取り出して溝の間隔を計っている。762mm軌道で合っているそうだ。メジャーを準備しているとは、さすが鉄の「かがみ」。
その先は工事中で通れない。横の道を行くと、阿津駅がある。片面ホームの小さな駅だ (写真6)
廃線跡にもどる。家並みがとぎれたところに大きな病院(神原琴海病院)がある。ここから上りになっていて砂利道だ。ハンドルをとられないように進む。
左にカーブしてJR瀬戸大橋線の下をくぐる。 (写真7) 突然景色が開け、海が見える。海を見ると、なぜかほっとする。しばらく海を見ながら山沿いに走る。砂利はなくなり地道になった。
向こうに人が立っている。おや、他にも「廃鉄」やっている人がいるのかと思ったら、下の競艇場を見ている。舟券買って、ここから見ているらしい。
■ 写真8 |
そろそろ草が多くなってきた。琴海駅につく。島式のプラットホームだ。みんなホームの上で一休み。(写真8)
みんな足に、草の種(名は不明)「ひっつきむし」がついている。三角か四角のちいさな緑色の破片がたくさんこびりつき、爪でひとつひとつはがそうとしたが、かなり強くくっついている。大量にあるので、手間ばかりかかる。 どうせ、この先は「藪漕ぎ」だ、と観念して出発。
私は後ろからついていったので楽に進めたが、先頭は大変だ。山サイクリングで鍛えているY氏が先頭に立ってくれた。ありがとう。蜘蛛の巣などで、ときどき止まりながらも進む。
瀬戸中央自動車道の下のコンクリート壁がトンネル状に開いている。 (写真9) ここだけ道がきれいになっていて一息入れる。この下はコンクリートで覆われていてわからないが、JR瀬戸大橋線が走っているはずだ。
さらに草漕ぎして上りきったところに、鷲羽山駅があった。下津井瀬戸大橋の主塔がみえる。
またまた藪漕ぎで、こんどは下りだ。下津井瀬戸大橋全体が見えて景色もきれい。道も途中からきれいになっている。鷲羽山ハイランドへの一般道を横切った向こうは草むしている。が、地元の人が通るのか、一部が細く踏みしめられている。そこを進むと、すぐに東下津井駅につく。
その先は「茂み」。草を分けるのではなく、上から踏みにじって進むが、進みにくい。自転車のギアが隠れていた木の枝に当たったり散々な目に。みんな、一般道に逃げ出した。 (写真10)
この先、廃線跡は道より低くなる。その上を渡る橋から見下ろしたY氏は「ジャングルだ」。切通しだったところの木が生い茂り、廃線跡を覆いつくしている。
廃線と別れ、一般道を通る。山を下りたところの住宅地へ出ると、また廃線跡がみえる。ふたたび廃線に挑戦するが、草が高くとても進めない。
■ 写真11 |
早々にあきらめた4人は、陸橋から下津井駅を見下ろして待つ。(写真11)Y氏ら3人はさらに藪漕ぎに挑戦していたが、K氏は「くっつきむし」でズボンが緑色に染まってしまった。
下津井駅前は金網がめぐらされ、駅舎はきれいに残っている。 (写真12) 奥の車庫には電車が並んでいるが、屋根が壊れている。 (写真13)
近くの港のはずれで、対岸の坂出側まで見える瀬戸大橋を眺めながら遅い弁当を食べて今日の下津井廃鉄オフは無事終了。我々が去ったあとには、みんなが必死になってとった「ひっつきむし」の山が残っていた。