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廃線跡の魅力


 廃線跡の魅力って何でしょう。代表的な意見を集めると、以下の様な感じでしょうか。


Aさん

 何気ない風景の中に、昔そこに確かに「鉄道」というものが存在したという事実を感じられる瞬間にある様な気がしますね。それは民家の裏の狭い路地だったり、畑の中を一直線に貫く農道だったり、あるいは、いつも走っているサイクリングロードだったりしますけど、そこに少しでも鉄道時代の面影があれば、我々の頭の中にはもう遠くから近づいてくる列車の姿が見えるんです。

Bさん

 よく電車に乗ると、鉄道マニアが運転室の後ろに陣取って線路を凝視しているのを見掛けるでしょう。アレですよアレ。それと同じ気持ちを、列車の通らなくなった線路にも求めているわけ。いやぁ、つくづく「鉄」ですねぇ。
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Cさん

 どんな手段にしろ、昔、人が往来していた経路というのは、気になるんですよ。何故、そこに線路が引かれ、どんな生活がそこにあったのか、調べてみたくなる、コレ性格ですかね。決して、単なるノスタルジックじゃないです。

Dさん

 たぶん我々は、もともと廃線跡自体が好きなわけではないのでしょう。きっと、その線に乗りたかった、その時代に生きたかった、と思っているだけなんです。そしてそれがかなえられないから、そこへ行って、その頃の幻影を追い求めているのかも知れません。


 これら全ての要素が、我々を廃線跡に引き付けて止まないわけです。おそらくそこへ出かけて行っても何もないのかも知れません。しかし「何もない」事を確認するまでは、気が済まないのです。誰も来ない山の中で、錆付いてほとんど土に埋もれようとしているレールが今も呼んでいるかと思うと、もういてもたってもいられないのです。

 こうして我々は今日もバックにカメラと地図を詰め、自転車にまたがって出かけてゆくのです。そして、その口元からはきっと、かすかな笑みがこぼれている事でしょう。


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